毎年の定番です。時々飽き気味になったりもしますが、今年は何故か新鮮な気持ちで会いました。

 いつもは近所の街路樹の時が多いけど、今年は郊外なのでかしら・・。

 

 

 春の晴天によく似合います。

 大木もあります。 そして大木だし見上げて首が疲れてしまいます。

 花を下からと斜め下から見ても面白くありません。

 

 

 今年は仲間のコブシなども咲き出していますが、この花は大きくて豪華です。

 桜に話題やいいところをみんな取られてしまう・・と焦ったようです。

 

 

 お馴染みの「ハクモクレン」です。 漢字では「白木蓮」です。

 モクレンの漢字もたくさんあって「木蘭」、「辛夷」、「木筆」、「望春」や、「女郎花」まであります。

 モクレン科、モクレン属の落葉高木です。

 

 

 モクレンに比べて2週間くらい早く咲いてしまうので、これをただ「モクレン」と呼んでいますが、本物のモクレンから毎年クレームが届きます。本物とは花の紫色の「シモクレン」です。

 

 

 この白い花のモクレンはいわゆる栽培品種なので、正しく名前を呼ぶときには「ハクモクレン」と呼ばないとダメだそうです。

 

 

 でも、このモクレンの仲間、最近はいろいろな園芸種も多くなって、低木のもあり庭などにも植えられるようになりました。
 

 

 このモクレン属についても毎年調べては「あぁ、そうだった」と思いだし、1か月もしないうちにすっかり忘れてしまい、毎年その繰り返しです。
 今回もメモを出して復習です。

①モクレン属は世界に約90種ほどあって、主にアジアとアメリカに分かれて暮らしています。

 

 

②数はアジアに多く、ヒマラヤ~東南アジア~東アジアにかけてが中心です。

③アメリカ大陸では北米の東~東南部、また中央アメリカ~南米の北部です。山岳地帯が暮らしやすい?(追いやられたのかも) のか山地に多いようです。


 

④いずれにしても熱帯~亜熱帯です。また、常緑のものと落葉するものもあります。

 高木~低木まであります。

⑤早く落ちてしまう托葉は膜質で幼芽を包み守っています。また、厚く長い毛で冬芽を守ります。

 

 

⑥花は大きく、両性花を一つ頂生し、香りを放つものが多い。葉よりも先に花開くタイプと葉と同時咲くもの、さらに葉の展葉後に咲くタイブと様々です。

⑦萼片が3つ、花びらは6~12(まれに多数)、花色は白、ピンク、紫、黄色などもあります。

 

 

 萼片が花弁に近くなって区別が困難なものもあります。花弁は花軸にらせん状に配置するのに対して、萼片は基部に接して輪生するように付きます。

⑧雄しべはヘラ形で葯が出来る場所が花軸側のものと、花軸に対して横向きに付くものがあります。

 

 

⑨雌しべは2胚珠を含む1心皮で、心皮の縁が嘴状に伸びて側面にむけて柱頭があります。

⑩雄しべも雌しべも多数あって、花軸にらせん状に付きます。

 

 

⑪果実は革質、木質の袋果でデコボコ集合果。袋果は背面の所が裂けて、赤く肉質の外種皮と黒い内種皮をもっている種子が白い糸状組織でぶら下がります。

 

 

⑫日本に自生しているものは「コブシ」「シデコブシ」「タムシバ」「ホオ」「オオヤマレンゲ」です。

⑬「モクレン」や今回の「ハクモクレン」は中国ですし、「キャンベリー」はヒマラヤ、「キモクレン」は北米です。

 

 

 さらに、このモクレン属の植物は「生きた化石」などとも評されるものです。これって誉め言葉なの?。イチョウなどもそうですけど・・

 

 

 とにかく白亜紀という地質時代、約1億3000万年前、裸子植物から被子植物が誕生して、その後次々に誕生した被子植物をルーツにしています。

 

 

 ハチが誕生し、様々な昆虫が姿を現すのですが、ハチの前は主に甲虫が支配していた昆虫界なので、このモクレン属の花も甲虫をお客様にしていました。お客様でもありますが、食害される敵でもあったので、花の色や形、大きさ、咲く向き、香り、雄しべ・雌しべの形状(特に雌しべは頑丈に作られていた)も甲虫の動きや習性に適応しているそうです。

 

 

 で、ハクモクレンを見ます。

 葉っぱは花の後から出ます。倒卵形~広倒卵形~楕円形、特に下の葉ほど楕円になるそうです。紙質の葉で基部の方にだんだん細くなります。葉裏の脈に毛があります。 

 

 

 春3月、今年は特に早いですけど、ツボミを包んでいた毛皮のような托葉が取れて花びらが出てきます。ほとんど白ですが、基の方が少しピンクを帯びるのもあります。

 萼片が3つ、花弁が6つです。これが9枚の花びらのようになっています。

 花の中央にたくさんの雌しべが固まって、その周りにたくさんの雄しべがあります。雄しべは細長い刺のよう、1cm前後です。

 

 

 で雄しべ多数・・がどうも気に入らないので、今回科捜研で調査。

 そしたら、69本ありました。雌しべは硬くて分解しませんでした。

 花は雌性先熟型です。まず雌しべが受粉可能になると前屈するように曲がっています。花粉を受ける柱頭が花柱の横になります。そして受粉すると反転して元に戻ります。

 

 

 次に雄しべが花粉を出せるようになります。雄しべはへら状で葯はこれもその側面に線状なって花粉を出します。

 なんとも不思議な形状ですし、雄しべ、雌しべがらせん状に配置されているのも古い植物と言われる特徴だそうです。

 

 

①花びらを開いた状態のものです。雄しべも離れているので雄性期かもしれません。

②は①をひっくり返したものです、外側の萼片3つが分かります。

③ 雄しべ、雌しべをアップしてみました。

 

 

④外側にあった苞です。細かくて柔らか暖かいモフモフ毛が密生しています。

⑤萼片3つ、花弁6つを剥がしてみました。

➅雄しべを少し取り除いてみました。

⑦雄しべ、すいません・・取りました。全部で69本でした。

 

⑧まだ花が開いていない花の雄しべ、雌しべです。

 痛いけど半分にしてみました。