秋にキンモクセイの強烈な匂い、早春はジンチョウゲの仄かな香り漂っています。

そしてジンチョウゲの仲間も少しずつ知られるようになってきたようです。

 

 

 この花のデザインをみると、なんとなく似ているって思います。

 最近になってやっと分かるようになりました。
 

 「ナニワズ」です。  漢字では「難波津」と書きます。 

 ジンチョウゲ科、ジンチョウゲ属の落葉小低木です。

 

 

 花と名前が全く一致しないというか、そもそも名前の「難波」というので、関西、大阪の花と思ってしまいます。でもなんか違うようです。

 

 別名が「エゾナニワズ」とか「エゾナツボウズ」とかいうので北海道みたいです。

 そしたら東北から北、北海道で暮らしているようです。もっと寒い、樺太や千島にもいるそうです。

 福島よりも南や西で暮らしているのが「オニシバリ」です。オニシバリの方が小型っぽいですけど・・イマイチ違いも分かりません。

 

 

 図鑑では・・ 

①オニシバリの花は薄黄緑でナニワズよりも薄いし香りも違う。

②ナニワズの萼は筒状部分が短くて裂片が長いが、オニシバリの萼は筒状部が長くて裂片が短い。

③ナニワズの葉は幅が狭く小さい。

 などと書かれています。

 

 

 ナニワズの名前の謂れで調べると、牧野富太郎先生の説明が出てきます。「ナニワズはオニシバリの長野県の地方名、方言です。北海道に咲いているの長野県人がナニワズだと言ったのが始まりです」 とのことですが・・長野の人は長野ではそんな名は知らない‥という人もいます。(長野は広い)

 また、植物の名前の権威の深津正さんは牧野先生の説の他に「オニシバリの別名のナツボウズが転化してナニワズになった」としています。そして深津先生は『難波津に咲くや此の花冬ごもり今は春べと咲くや此の花』という歌を出して、雪深い北国では、春といっても梅の花が代表だが、雪の多い早春に咲くこのナニワズに春の到来を感じた・・とのことです。

 

 それより、なにより、これがジンチョウゲ属の花なので、この香りに引き寄せられます。 

 葉っぱは互生について、倒披針形~長楕円形で先がやや幅広で丸くなっています。基部はクサビ形です。4~7対の側脈がありますが、葉柄はありません。この葉っぱの謎が、夏に落葉してしまいます。そして、秋になると新しい葉を出します・・これって普通と逆でしょ。

 

 そしたら、このナニワズ、雌雄異株だそうです。(多くの図鑑ではそうなっていますが、詳しく調べると違うようです。⇒下に調べた菊池先生の研究結果があります)

 花は色は黄色ですが、姿形はジンチョウゲです。

 雄しべは8つあり、萼筒の内側の上部に4つ、下に4つあります。雌しべは1つ。

 

 

 葉、枝、果実にも毒があって食べられるのを守っています。

 出来る果実は液果です。初めは緑色で熟すと8~9月に赤くなります。

 

 気になる雄花、雌花について調べて、以前「メモ」にしました。 

 ①普通の雌雄異株だと、雄花をつける雄株と雌花をつける雌株がありますが、これは緑色がかった小さい花が雌花、一回り大きく濃い黄色で山吹色の雄しべが出ているのが雄花。

 ②雌花を調べると内側に雄しべ8本があるがこの雄しべには花粉が入っていない。雌花に雄しべがあるというのは、もともとは両性花だったことをしめしています。

 ③雄花を見ると花粉の入った雄しべがあるが、立派な雌しべもある。この雌しべは雌花の雌しべよりも大きいくらいです。この雄花も両性花と言える。

 ④両性花なら機能的にも働いて、この雌しべから種子にまで成長するはず。調べるとこの結実率は数%~10%前後。つまり雄花の雌しべも結実する。これで、ナニワズの雄花は両性花だと言える。 つまり、雌株と両性個体が共存するので、雌雄異株ではなく、雌雄両全異株という体制です。

 この見解、レポートは菊沢喜八郎さんの研究からですが、さらに実験では、

 ⑤両性花に袋をかけてしまうと結実しない・・。これで自家受粉はしないことがわかります。

 ⑥開花前に両性花から雄しべを取り除いてみると、結実率が増加します。これで、雄しべの存在が結実率を抑制しているものと考えられるそうです。

 ⑦雄しべを除いてその上に強制他家受粉してみると、さらに結実率が上がり30~50%になりました。

 ⑧そして、雌花の結実率は両性花の約2倍以上になるそうです。

 

 どんな花も調べるほど複雑、難し!