今年は7月に北アルプスの山麓でタマガワホトトギスに会って、から、10月、11月に近所でもいろいろなホトトギスに会いました。
11月も終わりですが、まだタイワンホトトギスは咲いています。
そして自宅のホトトギスの花を思い切って解体してみました。
いつも長ったらしい能書きばかりですが、ネタのメモは去年までのを書き足し続けてものなので、中身は変わり映えしません。
好きな秋の山野草の中でも自分の中では横綱クラスに位置するので、やはり今年もアップしてしまいました。
もうこれでいいかなって感じもします。
今年もほぼ花の時期も終わりになったので、パスしようかな・・って思っていたのですか、このホトトギスは日本固有種が圧倒的に多い種なので、やはり書いてしまいました。
「ホトトギス」です。 漢字で「杜鵑草」です。
他に「時鳥草」「時草」「杜鵑」「ユテンソウ(油点草)」とも書きます。
ユリ科、ホトトギス属の多年草です。
日本がユリ大国だったように、ホトトギスもユリ科なので、日本はホトトギス大国でもあります。・・・いつものように、ちょっとホトトギスの能書きを垂れます・・・
ホトトギスは東アジアが故郷です。日本、台湾、朝鮮半島、に主に暮らしていますが、その種類は19種です。そして、日本には13種が住んでいますが、なんと、その内の10種が「日本固有種」なんです。日本が誇るべき花です。
山野の林下、林縁、崖地、傾斜地などの日当りの少ない所に自生しています。
葉っぱは互生し、楕円形で長く、葉脈は縦方向にあり、表面に毛があります。
雌雄同花で上向きに咲きます。花弁は6枚です。1つの花は2~4日咲くそうです。
こんなに誇るべき花ですが、秋の七草には登場するのは知っている範囲では1つしかありません。
東大の先生だった本田正次・篠遠嘉人先生が選定した七草に選ばれているくらいなんです。
日本で自生しているのは
「ヤマジノホトトギス」、「キバナノホトトギス」、「タイワンホトトギス」、「ホトトギス」、「サガミジョウロウホトトギス」、「タマガワホトトギ、「タカクマホトトギス」、「キバナノツキヌキホトトギス」、「セトウチホトトギス」です。
日本以外では「オオヤマホトトギス」これは中国。 「ケタイワンホトトギス」は名のとおり台湾。 「マンシュウホトトギス」も中国。 「ミヤマホトトギス」は台湾。 「ヒマラヤホトトギス」は中国~ヒマラヤ地方。
そして園芸種、ハイブリッドも多くあります。
図鑑にリストアップされているので86種もありました。
今回は近くの山野で出会ったのを2つ・・。
①「ヤマジノホトトギス」だと思います・・。 漢字で「山路の杜鵑草」です。
日本固有種です。北海道の西南部から九州の山野林内です。
そもそも、ホトトギスの名前は鳥のホトトギスからですが、花のホトトギスにある斑点模様が鳥のホトトギス(杜鵑)の胸にある斑点に似ているので付いた名前です。この模様がまた、多種多様、千差万別・・悩ましいのです。
茎は直立して斜め下向きの毛があります。葉っぱは互生し、葉身は卵状の長楕円形で先が尖ります。基部は茎を抱きます。
花びら(花被片)は6個で、平開しますが、反り返らないのが大きな特徴です。
これに白花品種があります。でも下部に黄色の斑点がないのです。
※ずっと下の方に出て来ます。
内花被片が3、外花被片も3枚で、外花被片の方が幅が広くなっています。
雄しべは6本で、花糸は寄り添って立ち上で反り返って先端に葯を外向きにつけます。花糸にも紫色の斑点があります。
名前も混乱してしまうのが
②「ヤマホトトギス」です。 漢字で「山杜鵑草」です。「路」がないのです。
一番の違いは花弁が反り返って下向きになるくらいです。
また、雄しべの下にも紫色の斑点があります。
でも、よく分からないのですが・・・多分ですいませんが・・
関東地方の太平洋岸、長野県に多いようです。花は2日間さいているそうです。
③タマガワホトトギスです。 漢字で「玉川杜鵑草」
山地、高原で暮らしています。 葉っぱが互生し、形は広楕円形。
茎先に腺毛を密生させる花序を出します。
黄緑色がかった花の内側に紫褐色っぽい斑点が入ります。
外花被片が内花被片よりも幅広です。
④タイワンホトトギス。 漢字で「台湾杜鵑草」です。
ポピュラーなものですが、台湾が故郷です。沖縄の南部の諸島にも自生しているようです。また栽培品種として、本州各地でも花壇を中心に植えられています。
地下茎がよく分枝して茎もよくわかれ30~80cmになります。
葉っぱは互生し、倒披針形~狭い楕円形で先が尖ります。基部は心形で茎を抱きます。茎に斜上する毛があります。
花びら6枚をラッパ状に開き、白色から淡紫色で、内面に紅紫色の斑点があります。外花被片の3枚が幅広で基部に袋状の膨らみが2つにはっきり分かれます。
雄しべは6本、花糸を寄り添って立ち、上で反り返り先端に葯を外向きに付けます。花柱の先に3つに分かれた球状の突起があります。
このタイワンホトトギスを片親にして、園芸種がいろいろ作られているようです。
そうなるとお手上げです。
⑤「シロバナホトトギス」です。
白い花のホトトギスには主に2種類あるようです。
「白ホトトギス」で、ホトトギスの白花品種。別名が「シロバナホトトギス」とか「白楽天」と呼ばれます。花の中心というか基部に黄色い斑紋があります。これはホトトギスと同じです。
もう一つが 「ヤマジノホトトギス」の白花品種です。
こちらは全部真っ白です。
さらに「ホトトギス」と「タイワンホトトギス」の交雑によってできる「シロバナ」もあります。
雄しべの基のところに黄色があります。
雄しべも葯も真っ白です。
⑥ 「サガミジョウロウホトトギス」だと思います。 漢字で「相模上臈杜鵑草」です。黄色いジョウロウホトトギスによく似ていますがその小型版かな。
どちらかと言うと釣鐘形で、ホタルブクロのようです。
13種ある日本の自生種で黄色いのが8つと黄色のが多いのです。でもこのような釣鐘形はジョウロウホトトギスで3つですが、ほとんど盗掘されて絶滅寸前だそうです。
これは「サガミ」と付くように、神奈川県のごく限られたところに自生します。
これの変種とされるのが「スルガジョウロウホトトギス」ですが、さらに小型です。これもほぼ絶滅寸前だそうです・・・。
でも、日本に自生しているのは殆どが絶滅危惧種です。
そんな絶滅危惧種のひとつ。
⑦「キバナノホトトギス」です。漢字では「黄花杜鵑草」ですね。
釣鐘形のジョウロウホトトギスとは違うタイプです。デザインはシンプル。
「ヤマホトトギス」や「ヤマジノホトトギスなどとは花のデザインが違います。
主に九州の深山でくらしています。
⑧「キイジョウロウホトトギス」です。
漢字では「紀伊上臈杜鵑草」です。
紀伊半島に特産するホトトギスです。
この垂れた茎を初めて見たはびっくり!。そしてこれがホトトギスと教えられて、もっとびっくりしました。 50~80cmにも垂れて、節が多くて節間は短く、上部には毛を疎らに出す。
茎は分枝せずに、葉は茎の左右交互に2列に並び、披針形で先端は伸びて尖ります。
葉の下面では脈上に粗い毛がある。葉の基部は両側とも耳状で、これは葉の基部が茎を深く抱きます。この葉の形状が他のジョウロウホトトギスとの区別点となるそうです。
花は葉脇から出て1個ずつ咲キますが、茎の先端から出るのは1~2個咲くのもあるそうです。花には短い柄があり、途中で曲がって、基部には披針形の小包が数個あるます。
花は斜め下向きに咲き、釣り鐘型ですが全開しません。
花の内側に紫褐色の斑点がある。外花被片は内花被片よりやや幅狭く、基部に4~5mmほどの距があります。
雄しべは6本、花糸は長さ2cm、扁平で下部には小さい突起がある。
雌しべは1つ。花柱は先端が3つに裂け、さらに先端がそれぞれ2裂しています。
また上部には球形の突起が多数あります。
出来る果実は蒴果は線状長楕円形です。
⑨「ヤマホトトギス」系です。花びらが強くというか大きく反り返ります。
花びらや雄しべ、雌しべの模様が色々です。
他のもなんか交雑種のようなのです。図鑑などで写真を比べても、似て非なる感じです。でも、ホトトギス、今年も楽しませてもらいました。そして、謎がまた増えましたよ。
最近は交雑種で花のデザインもいろいろのようです。
それにしても、やっぱりホトトギスはすごい。
ここから下は我が家のホトトギスです。
逆さまにして見ました。
外花被片の3つを取ってみました。
外花被片の方が花びらの幅が広くなっています。
内花被片の3つも取って並べてみました。
外花被片の1つです。
花ぴらの付け根のところです。
内花被片の内側です。
外花被片の「表」と「裏」 っていっていいのかわかりませんけど・・。
雄しべと雌しべです。
雄しべは6つです。
雌しべの柱頭です。
雌しべは柱頭が3裂して、さらに2つに分れます。
柱頭です。
この雌しべの柱頭には腺状の突起があります。
雌しべ子房。
子房をカットして中をのぞいてみました。
胚珠がたくさん規則正しく並んでいます。
まだ未熟ですが、塾して褐色っぽくなって種子になります。