何回見てもちょっと謎めいた花です。平凡なようで意外に貴重だったりして・・

 なんかやたら毛だらけって感じなので、以前に寅さんのセリフの「結構毛だらけ・・」です。

って書いたら、それほどでもないよ・・って言われました。

 

 「クサノオウ」です。  漢字では「草の黄」、「瘡の王」、「草の王」・・・。

 

 

 ケシ科、クサノオウ属の1年草です。この花がケシ科なのというのもなんか不思議なんですけど、クサノオウ属というのもあまり聞かない属です。それもそのはず、1属1種の珍しい花です。資料では牧野博士は「ヤマブキソウ属」としたとありました。

 

 

 アジア~ヨーロッパまで広く生息していて、日本では北海道~九州まで、全国で暮らしています。

 

 

 この不思議な名前については資料では・・

①茎などを傷つけると黄色い乳液が出るので⇒「草の黄」

②皮膚疾患などの薬草として使われたので ⇒「瘡の王」

③皮膚疾患意外の鎮痛にもいろいろ薬効があり、薬草の王で⇒「草の王」

 

 

茎は中空で40~80cmくらいまで伸びるのでけっこう目立ちます。

葉っぱは1~2回の羽状複葉で互生して付きます。

 

 

 

 この茎などを切ると出てくる黄色い乳液は有毒(アルカロイド系の毒)で全草に毒があり、食害から身を守っています。

 一方、やはり毒は使い方で薬です。全草を乾燥させて出来るのが「白屈菜」という薬です。

 

 

 花は花びらが4つ、萼は2ですが、この萼はすぐに落下してしまうそうです。

雄しべは多数あります。そして一番ユニークなのが長くくねる感じの雌しべです。

 

 

 出来る果実は3~4cmの蒴果で莢が上を向いて実ります。

 種子にはアリの好物のエライオソームがついていて運んでもらいます。

 

 

 

 

 

 

 この果実が実って、秋に散布されると発芽して根出葉を出します。この葉がロゼット状になって冬を越します。