この花も本格的な夏山シーズンの時にはもう花の時期が終わっていて、出会った回数はそんなに多くはありません。
いつもは葉っぱだけとか、半分以上枯れた花です。
今年は何年かぶりにラッキーでした。
「ウルップソウ」です。 漢字では「得撫草」です。
ウルップとはウルップ島のことで、この島で発見されたということで名づけられたそうです。
オオバコ科、ウルップソウ属の多年草です。
別名が結構お気に入りですが「ハマレンゲ(浜蓮華)」です。アリューシャン列島などの北では浜にも咲いているからだとか・・。
もともとはアリューシャン列島、カムチャッカ半島、千島列島などやアラスカに多い花ですが、大昔に寒冷期に南下して、日本列島にもやって来たそうです。その後の暖化で残ったのが高山帯のようです。
本州では北アルプスや八ヶ岳の一部でしか見られません。
北アルプスでは白馬や雪倉岳、南八ッの硫黄岳~横岳の稜線辺りです。
北海道の大雪山系には「ホソバウルップソウ」というのがあり、固有種の多い、夕張岳には「ユウバリソウ」が暮らしているようです。
こうして隔離、隔絶した場所で子孫が残っているので貴重ですし、温暖化で危機になっているようです。
草丈は15~25cmくらいでしょう。
葉っぱは円形、卵円形や広楕円形です。互生してついて波状の重鋸歯があります。
ツヤがあって肉厚の感じ、つまり寒冷地仕様のようです。でも毛はありません。
花は花茎を伸ばして5~10cmくらいの花穂を付けます。
小さい花がたくさんつき、下から咲き上ります。
膜質の萼があります。また、それぞれには苞があります。
花は2唇形です。上唇は浅く2つ、下唇は2~3つに大きく分かれます。
雄しべは2つで、花冠の上唇の基に左右1つずつついているそうです。
雌しべは1つ、柱頭が浅く2つに分かれます。
出来る果実は堅果です。