いつもは2月中に咲いているのを見つけて嬉々としていますが、今年は遅く、3月の初めに見ました。

 でもやっぱり、これが咲くと、いよいよ春の山野草シーズン、本番って気になりソワソワしてしまいます。 

 

 

 ここは周りの草たちを取り除いて、「さぁ、見て下さい」状態になっていました。

なのでありがたい・・。

 「シュンラン」です。 漢字では「春蘭」です。

 

 

 だいたいいつもはこんな感じで、「♪花は何処へ行った」って探します。

 

 

 ※落ち葉やシュンランの葉っぱがあってなかなかうまく撮るのが難しいです。

 そしてみんな厳しく育てられたのか、やや下向きに咲いて顔が見えません。

 

 

 ラン科、シュンラン属の多年草です。

 東アジアを故郷にしています。特に日本では北海道から九州・屋久島までで暮らしています。 日本の外では中国や台湾、インドやヒマラヤまでです。

 

 

 シュンランとは日本での名前ですが、ランの世界では「ゴエリンギイ」というようです。 別名が「ホクロ」や「ジジババ」。

 

 

 いわゆる単子葉植物の世界でもっとも進化したグループです。

 ランの世界は途方もなく奥深く、宇宙の真理のように果てない深淵なので、とても太刀打ちできません。玄関で返り討ちです。

 まずは師匠の「植物なんでも事典」を参考に、まず、「蘭(ラン)」の基本を勉強します。 毎年、春の初めは復習から・・始まります。


 

 キク科などと並んで植物の世界では進化の先端を突っ走る仲間です。

 花の綺麗さ、可憐さ、豪華さ、世界中で進化・対応して暮らしています。

 花には萼片が3つ、花弁が3つあります。そして雄しべと雌しべが合体して作られている「ずい柱」があります。

 下にある花びらは他の花弁とは形態や働きがヒト成るので、特にこれを「唇弁(しんべん)」といいます。この唇弁は蜜標があってこの模様で、花の奥にある蜜の場所を虫たちに教えています。

 

 

 また、ラン科の花はすべて虫が受粉の媒介をする「虫媒花」です。多くの虫媒花の中でも特殊なカタチをしていて、虫たちとの関係も特殊・緊密です。

 ラン科の植物のタネは非常に小さくて風によって散布されます。また、胚乳が無く、ラン自身では自分の力では発芽出来ません。

 

 

 これがランの凄い所の一つですが、ラン菌と共生してはじめて発芽出来るそうです。

(ラン菌とはラン科植物と共生する菌根菌で、特に、ラン科植物は胚乳や子葉を持たず、種子の中に発芽やその後の生育に必要な栄養分を蓄えていないので、ラン科植物の発芽には欠かせない存在の菌です)

 

 

 ラン類の分類は「野生ラン」「東洋ラン」「洋ラン」の3つに分けてとらえることが多い。

主な分類では・・。

【日本の野生ラン】

①地生ラン・・シラン、キンラン、ギンラン、エビネ、シュンラン、ネジバナ、サイハイラン、クマガイソウ、アツモリソウ、トンボソウ、ウチョウラン、サギソウ、トキソウなど。

②着生ラン・・セッコク

③腐生ラン・・オニノヤガラ、ツチアケビ、ムヨウラン、ヤツシロランなど。

 

 

【主な東洋ラン】・・シュンラン、シュウラン、カンラン、フウラン、ホウサイラン、キンリョウヘン、セッコク

【主に洋ラン】・・カトレア、シンビジウム、コチョウラン、シプリペディウム、デンドロビウム、オンシジウム、バンダ、パフィオペディルムなど。

 

 

 さて、シュンランの話に戻ります。

 この花の花粉の媒介役は「ケブカコシブトハナバチ」です。

 「日本のラン、ハンドブック」によると、ツラスネラ属のような腐生菌とベニタケ科、ロウタケ科のような外生菌根菌と2つのタイプの担子菌の菌と共生する変わった特徴をもつそうです。

 

 

 まあ、葉っぱでの光合成を行って栄養を蓄えるのと、着生生活を送る熱帯性のシュンラン属と菌根共生をおくる腐生菌と光合成をしないで生きる菌従属栄養植物が依存している外生菌根菌の両方から栄養(有機物)をもらっています。

 

 

 こういうのを「部分的菌従属栄養植物」というようです。なんかすごい生き方のようです。 なんか利息で暮らしていけるみたいで羨ましい・・・でもランは必死に生きています。

 

 

 葉っぱには殆ど見向きもしませんが、細長い線状で細かい鋸歯があります。

 

 

 前年に作った偽球茎の根元から茎を出し、その先に1つの花が多いけど、希に2~3つの花を咲かせます。この花茎は薄い膜状のものに包まれています。

 

 

 花のつくりは説明がてきないので、図鑑・資料をそのままですが・・

 花弁は6つ。内側に3つで側花弁が2つと唇弁が1つ、外側の3つは萼片です。

 背萼片と、側萼片です。

 

 

 唇弁の中央には縦に溝があります。

 萼片と側花弁は倒披針形で黄緑色。側花弁はずい柱(雄しべと雌しべが合体してもの)を囲むようになっています。 

 

 

 そして、ランの花は上下が入れ替わりますが、このシュンランも上下を反対して見てみたいと思ってしまいます。

 シュンランは99%が鑑賞用ですけど、根を干して乾燥し、粉末にするとヒビやあかぎれに効くようです。

花茎や花を軽くゆでて水に浸して、酢の物や漬物、天ぷらにできるそうです。さらに花をホワイトリカに漬けて「花酒」になるとか・・。

 そんな贅沢をしている方もいるかも・・・

 

 

 出来る果実は核果です。