オークション運慶

その後にいろいろなことが
わかったのでこのブログで
少々。


運慶の仏像、三越が14億円で落札 ニューヨーク


18日に話題になったニューヨークの
クリスティーズのオークション。

そう、運慶作とみられる「大日如来像」
が手数料込で1437万7000ドル
(約14億円)三越がせり落としました。

なにしろ、滅茶苦茶な高額、
海外で落札された日本美術品と
しては最高額。

 それまでは、黒田清輝作「木かげ」の
約176万ポンド(当時約4億2000万円)
が最高でしたから。

 今回は、足利市が市民の署名1万2800名を
たった10日で集めて、運慶の作品を海外
流出しないように文化庁に要請するなど
注目のマトでした。

 なんで足利市がというと、問題の如来像は
足利氏2代目の足利義兼が創設した樺崎寺に
安置されていたという論文を東京国立博物館
教育普及室長が04年に発表していたから
なんです。


 こうした、貴重な日本の美術品が海外に
流出してしまう心配の中、買い手
が三越に決まったのでやや安心。

でも、最終の買い手のかたは、個人
所有のままで公開としないというから
それでは、国内にあったとしても
意味がありません。

運慶仏像

 そもそも、この仏像、樺崎寺が廃寺に
なる過程でバカ住職なりが、お酒の
たしにという感じて売り払ったんじゃ
ないかと思います。

 今回のオークションに出展した所有者と
されるのは、外資系のサラリーマン。
テレビでのお話では骨董屋から数10万円
程度で手に入れたというんですから。

 で、もしかしてということで、依頼に
より、東京国立博物館が調査したところ
運慶のものと判定されました。



 何しろ、運慶は寡作ですから、これまでに
13件しか確認されていません。そのうち12件が
国宝または重文指定を受けているんです。

 
 とんでもない品物とわかって、国立
博物館も買い取り交渉をしたんですが、
4億円の提示に対して、8億円を要求され
断念。

 そうこうするうちに、海外の
オークションに出品されてしまった
わけです。

 
 今回の最大問題は、国の宝と
いうべきものが、単なる個人の意思で
海外流出してしまう危険性をはらんで
いるということです。

 当然、今でも、国宝や重要文化財に
指定されていた場合は海外流出は
できません。

 でも、その指定は持ち主がOKしないと
まずいんですね。

 今回も指定を拒否されていますので
こうしたことが起きてしまいます。

 持ち主にとっても、いろんな意味での
優遇措置をとることによって、国が
買い取るとか、国宝、重文指定ができ
るようなことを考えてもいいのでは
と思います。

 

現代名盤鑑定団 (Ontomo mook―クラシック)/小林 利之; 浅里 公三
¥1,680
Amazon.co.jp

はじめての骨董鑑定入門 ~日本のやきもの (ほたるの本)
¥1,890
Amazon.co.jp