久しぶりの投稿です。

先月、Twitterでフォローしている方が民藝の最新刊についてつぶやかれていました。

それが黄八丈特集でして、興味があるので直ぐに購入したのですが、ちゃんと目を通す時間が持てず、今です。

 

 

 

『民藝』12月号(816号) 特集 黄八丈 八丈島の織物

この号では、黄八丈の歴史や製法、現状などを含め、作品や見本帳として作られた「永鑑帳」などの図版も紹介されています。
 
この中に1938年に撮影された糸引き(座繰り)の写真が掲載されていて感激しました。というのも、わたしがこれまで見た八丈島の座繰り写真の中で、この号の写真は糸のディテールがよくわかるものだったからです。これは八丈島の座繰りの一部を表しているに過ぎませんが素晴らしい資料です。この写真の繭はたぶん玉繭で、横引きケンネルの抱合道具を使い、節のある糸を作っています。そして、糸の撚りかけをしている写真もかなり興味深いです。他、染料の採集、泥染め、地機と高機の作業風景の写真があります。
 
この1938年の写真は、柳悦孝と写真家の坂本万七が八丈島を訪問した際に坂本万七が撮影したもので、このときの成果は1939年発刊の『工藝』第97号「黄八丈」特集として刊行されています。とはいえ『民藝』816号だけでなく、『工藝』第97号においても掲載された写真はいずれも全てではないようです。糸引きの写真に関しては『民藝』816号が初掲載です。当時撮影された写真がどれだけあるかはわかりませんが、日本民藝館に所蔵されているということです。いつか全ての写真が展示又は写真集が出版されないだろうか。あればぜひ拝見したいものです。