週末、群馬県桐生市の大川美術館へ行きました。

9月27日まで『テキスタイル・プランナー 新井淳一の仕事』展が開催中です。

 

 

 

 

 

 

企画展あいさつによると、新井淳一氏と大川美術館の創始者である大川栄二氏は親交が深かったそうです。この所縁と多摩美術大学名誉教授でテキスタイル研究が専門のわたなべひろこ氏からの寄付をもとに、2017年と翌年の2カ年をかけて、新井淳一氏の多彩な創作122件をコレクションしたました。

 

今回の展覧会は、逝去から3年にして「新井淳一の仕事」の全貌を桐生で初めて紹介するものなのだそうです。

 

昨年の新井家火災のニュースは衝撃でした。資料の多くが消失したと聞いていますが、こうして一部は奇跡的に残っていたのですね。そして、後半でご紹介する冊子中で新井正直氏が寄稿された文章の最後を拝読すると心が少し穏やかになれた気がします。

 

上の写真パネルは、大川栄二氏と新井淳一氏。

 

 

 

 

 

新井淳一氏のポートレートと貫頭衣「メキシコちゃんちゃん」。

 

 

 

 

 

展示風景の一部。

 

 

 

 

 

新井淳一氏が着用していた「籠織」の服上下。

 

 

 

 

 

愛用されていた指輪とネックレス。

 

 

 

 

 

1998年に奈良の元興寺で開催された『想像の布・新井淳一展』のポスターがコレクションの中にありました。

 

わたしは当時、この展覧会を観ました。国宝・元興寺極楽堂を背にした形で広い境内に作り出された大渦の作品は今でも憶えています。

 

 

 

 

 

「クラッシュ・プリーツ」の一部。

 

そういえば、学生時代に女性教授陣は ISSEI MIYAKE のプリーツプリーズをよく着ていました。お世話になったテキスタイル科教授の着こなしはカッコよかったですね。このプリーツプリーズは確か90年代前半に発表されました。発表された頃のわたしは染織を学ぶ学生でした。京都美術館だったかな、「モードのジャポニズム展」というのがありました。キモノから触発されて生まれたファッションの歴史を取り上げた大規模な企画展でした。江戸時代の小袖からヨーロッパのファッションに与えた影響、そして現代へ。展示の最後を飾ったのはISSEI MIYAKE の rhythm pleats でした。

 

当時の私は新井淳一氏の名前は知らなかったように記憶します。その後は、やっぱりAXISまで見に行きましたよね。

 

 

 

 

展示風景の一部。

 

 

 

 

 

くしくも京都の原毛屋スピナッツが発刊している SPINNUTS の最新号(2020 JUNE NO.106)の特集は「新井淳一の仕事」でした。大川美術館でも販売されていました。

 

 

 

 

 

スピナッツ・ポンタさんの文章より “ 今回は、新井淳一を義父とする新井正直さんに「新井淳一の仕事」をご紹介していただきます。技法だけでなく、新井淳一の考え方と、その言葉をたどることは、また新たな未来の創造につながることと、私は確信しています。”  テキスタイル好きには必読本と思います。

 

● SPINNUTS

スピナッツは、ウールを中心に手仕事やテキスタイルが好きな人にはたまらなく楽しい冊子です。バックナンバーを見てしまうと、最新号だけではなく思わず数冊買ってしまうのは必至です。

 

 

 

 

 

たまたまこの週末からショップに置かれたという新井氏の裂を手にすることができました。近々、地元紙の桐生タイムズ(記憶が不確か・・・)から新井淳一氏を特集した冊子もお目見えするとか。

今回の新井淳一氏の企画展では作品を何度も見てもらいたいとのことで、1回目のチケットを持参すれば2回目の入館料は半額だそうです。