「小正月を楽しむ旅 その1」から時間が経ってしまいました。ブログ再開です。

その1と同じ日の夜、わたしは地域に残る鳥追いを見に行きました。

 

鳥追いとは、群馬県史によると " みのりの秋に襲うであろう害鳥の呪術的予防である。呪術的に予防することによって豊作を予祝しようとした " 小正月行事です。群馬県内では昔は広い範囲で行われていたようです。

 

安中市鷺宮の宮本地区では、毎年の1月14日に鳥追い祭りが行われています。集合場所は咲前神社の境内にある公民館前で、19時から始まります。

 

 

 

 

 

 

19時ちょっと前に伺うと、親子連れが続々と集まっていました。

ちなみに、わたしの住まいはこの地区から少し離れているので、本来は関係者ではないのですが参加させていただきました。7年ほど前にも参加したことがありますが、以前よりも若い人が増えて賑やかになっていました。こういう行事は、年々参加者が減りがちですが、増えているので驚きました。地区の方々の努力の賜物なのでしょう。

 

 

 

 

 

 

鳥追いといえば、子供が各家を回ってお菓子をもらいます。

こちらでは集合場所で配っていました。その菓子です。子供だけと思ったら、大人ももらえました。子供に戻ったようで嬉しい。食べっ子どうぶつは昔よく食べました・・・パッケージを見たら40周年ですって。ほぼ同世代じゃないですか!

 

 

 

 

 

 

このお祭りでは、参加者各人が幟を結わえた笹を持ちます。幟には「奉納道祖神祭」と自分の名前が毛筆で書かれていました。

このお祭りの由来は、豊作と書の上達を道祖神に祈願するものだそうです。

 

 

 

 

 

 

宮本鳥追いの歌詞です。

この唄は土地によって多少の違いはあるようですが、県内各地で共通しているようです。

 

「地頭どん」のところがいろいろ変わるようですよ。「カロート」は唐櫃で、この場合は遺骨を納めたものだと思います。1番の唄の意味は、害鳥を切り刻んで棺桶に入れて佐渡島へ流したってことです。怖い。これは呪いですね。2番の唄は、(安価な)ちり紙1枚を惜しんで(高価な)昆布でお尻を拭くバカがいる、というような滑稽が歌われています。

 

 

 

 

 

 

お祭りの風景を少し動画に撮りました。

提灯をかざした世話人を先頭に、太鼓、幟笹を持った人たちがつづきます。

 

 

 

 

 

 

太鼓を合図に、まず拝殿を一周してから鳥居をくぐって住宅街へ。

 

 

 

 

 

 

歌いながら村はずれにある道祖神まで歩きます。

 

 

 

 

 

 

わたしは最後尾でした。

住宅街はひっそりとしており、村はずれに近づくにつれて電灯が減り暗闇が訪れます。暗がりの夜空を見上げると、笹が揺れているシルエットと擦れる音が不安を掻き立てます。不思議の世界へ紛れ込んだようでした。こういうのは、実際に体験しないと得られない感触です。

 

 

 

 


 

唄の1番から2番にかけて動画を撮りました。

暗闇を歩きながらスマホで録ったので、映像悪いです。

 

 

 

 

 

 

暗くて見えませんでしたが、道祖神が祠られた場所まで来ました。幟笹を持った全員が道の中央で輪になって、地面に笹を降ろすと火が点されました。幟を燃やすようです。どんど焼きの原形は、こういう素朴なモノだったのかなと思います。幟が全て燃え、太鼓をドドドと叩き、火が消えると祭りは終わり、静かに帰路に着きました。

 

追記、このブログを書いていると夫が道祖神と疫病神の話をしてくれました。ネット検索すると、長野県の松本市立博物館ニュースに同じような伝承が載っていました。面白かったので最後にご紹介します。

 

「 毎年10月は神無月で神様は出雲に出かけ、厄病神は遅れて12月8日に出かける。この時、厄病神は呪いの帳面を道祖神に渡し『 来年の2月8日にもどるからそれまで 大切に保管してくれ。決してなかを見ないように 』と念を押す。その後、道祖神がこの帳面を見ると、太郎の家は厄病、次郎の家は泥棒などと書いてある。ムラ人の幸福を祈る道祖神はそんな帳面を厄病神に返せないので、 三九郎(※)の火で焼いてしまう。2月8日になると厄病神は出雲からもどるが、ムラ人 たちは戸口で胡椒やサイカナの実などを焚いてくさい匂いを出している。厄病神はくさい煙のなか道祖神に帳面を返せと迫るが、道祖神は『火事にあって帳面は焼いてしまった』と言い訳し、新しい帳面を渡す。厄病神がこれを開くと厄を逃れる方法が書いてあり、 『こんなものはいらない』と言ってみたが仕方がない。道祖神の前に はムラ人が火事見舞いに供えた餅がワラットに入ってたくさんあり、 『厄病神くん、怒らずにこの餅を食べないか』と道祖神は言うが、厄病神は小言を言いながらどこかへ行ってしまう 」 ※三九郎・・・どんど焼きのこと。長野中信地方での呼び方。