くらし手仕事の店 ton-caraでの10月のワークショップより。

 

今月から「撚糸・精練特別ワークショップ」という講座を新しく設けました。

この様子は、ton-caraのブログに詳しくアップしていますので、ご覧ください。

● 撚糸精練特別ワークショップ開催リポート

 

 

 

 

 

このワークショップは、1日で撚糸と精練をザッと学ぼうという講座です。これまでのワークショップでお客様からいただいたご相談やご要望から生まれました。私としては、織りを学んでいる人対象の気持ちで内容を組みました。私自身、短大で染め織りを学びましたが、「撚糸」や「精練」を取り立てて学んだ記憶はありません。テキスタイルで布の風合いなどを考える時、撚糸は重要なはずなのに、今になってみるとおかしなことです。あ、でもカリキュラムにあったとして当時の自分が興味を持ったかというと正直持てなかったのではないかと思います。学生の時の自身の製作は、糸染めからスタートでした。購入する糸は撚糸精練済みの白い絹糸でした。絹糸だけに注目していた訳では無かったので、麻やウール、綿、紙といった原料の違いや意匠撚糸の面白さに気持ちが動きました。

 

「撚糸」や「精練」を本当に重要に感じ出したのは、製糸に携るようになってからです。お恥ずかしい話ですが、学生の時に、どれだけ睨めっこしても意味が分らなかった下村ねん糸さんの商品リストに書いてある内容が理解できたのは、この頃です。(学生さんの中には理解されている人も多いと思います。わたしが怠け者だっただけかな〜。それか着物ではなく、ファイバーアートに向かっていたからかな💦)

 

長くなりましたが、織りをやっている人の多くは撚糸精練済みの絹糸しか扱ったことのないのが大半。その中には教室で提供される糸しか知らないので購入の仕方がわからない。糸の太さの表記が何を表わしているのかわからない、という人は多いです。

それは悪いことではないです。でも、その絹糸に満足していないような人は、自分の製作に合った絹糸を知るためにも「撚糸」は大まかにでも把握していた方が製作が自由になると思います。この1日のワークショップでは、織りをする人が、ご自分で撚糸や精練を業者さんに依頼できるように、そのときに注意すべきことなども踏まえてご案内しています。

 

そして、蚕糸関連のことや染め織りをこれからやってみたい、という方も大歓迎です。いまのところ、そうした方の応募が多いです。

 

 

 

 

ワークショップの内容は、午前は当館で撚糸の座学、午後はton-caraで精練です。

精練は、主催側で用意した撚糸済み生糸を教材に、酵素による方法をご案内しています。当館は、お客様にこれまで酵素精練をオススメしてきましたので、ton-caraでも、まずこれをご案内しています。酵素精練の良さは、石鹸や灰汁を使った精練に比べ低い温度で練るので糸が傷みづらいところです。練り歩合も、ある程度は薬品の濃度や繰り時間で見当づけられるので管理がしやすいです。

 

ここでは、酵素の方法をご案内するのがメインです。手順はお教えしますが、設備の関係上、たくさんの糸を精練するのはやっていません。あしからず。

 

 

 

 

 

左の写真は、精練する前の糸を水浸けしている状態。右の写真は、精練が終わり水洗いしているところです。精練は、生糸に着いているセリシンを取り除く作業です。精練が済んだ糸は、艶が出て感触も柔らかくなります。これも、糸にどれだけセリシンを残すかで糸の柔らかさが変わり、それは織った布の風合いにも影響してきます。自分で精練が出来ると楽しいですよ。

 

この撚糸精練特別ワークショップの開催は、次回は11月ですが、満席になりました。このワークショップは、2名以上そろえば開催するとton-caraのオーナーが言っております。関心がありましたらスケジュールをton-caraへご相談ください。

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