毎年咲前神社の春祭りで座繰りをさせていただいています。その一の市(二の市、三の市もあります。)である今日は、暖かで桜が満開、日曜日ということもあり大盛況でした。

 

末社の絹笠神社の隣で、たくさんの方に座繰り体験をいただきました。ご参加いただき、ありがとうございました。今日は、いつも撮影してくれる夫が忙しかったので座繰りの写真はありません。ton-caraさんが立ち寄ってくれたときに動画を撮ってくれていまして、店主のInstagramにアップされていますので、ご興味ありましたらご覧ください。

 

さて、かつて養蚕や座繰りが盛んであった、碓氷郡(うすいぐん)(安中市)。お祭りで座繰りをしていると、昔話を聞かせていただけます。今回も新しい話がありましたので、三つご紹介します。

 

一つは、共同揚げ返し場(きょうどうあげかえしば)のお話。揚げ返しというのは、小枠に巻き取られた生糸を(かせ)の状態に巻き直すことです。この作業を共同で行う場所がありました。お話し下さったAさんのご実家は養蚕や座繰りをしていて、祖母や母親が座繰りした生糸の小枠が10個貯まると、Aさんが共同場に背負って持って行ったということでした。

 

もう一つは、祖母が養蚕から座繰り、撚糸、製織まで自家で行っていたというBさんのお話です。この辺りで、個人で撚糸をする話は珍しいです。こういうお話は、語り手の方は携っていないことが多く、詳細を聞き出すことはとても難しいのですが、いろんな角度でBさんに質問した感触から、小型の八丁撚糸機を使っていたと思われます。Bさんのご実家には、手回しの座繰り器以外に足踏み繰糸機があったそうです。これだけ揃えるには、かなりの設備投資が必要ですから、家内業で製糸又は機屋を営んでいたのではないかと尋ねましたが、あくまで自家着物のためとのことで、感心しきりのエピソードでした。

 

もう一つは、私とあまり年の違わなそうな40代くらいのCさんご夫婦のお話。子供の頃に畑で桑の害虫のカミキリムシを採っては、一匹○円でお小遣いをもらったというエピソードです。7、80代くらいの方の話ではなく、40代の人から自分の子供時代の思い出として語られたことが衝撃でした。

 

 

 

 

 

さてさて、最後に2018年の農作物の作柄はいかに。

咲前神社では、毎年1月15日に御筒粥神事でこの年の農作物の作柄が占われます。その結果を記した紙が拝殿のところに置かれており、今日はいただいて帰りました。今年の「かいこ」は七分、「くは」は三分。リストに上がっている他の豊作物の具合からして、春蚕が始まるちょっと前が寒くなるのかもしれないと、わたしは読みましたよ。さあ、今年の養蚕シーズンの気候はどうなりますことやら。