さて、前回までの2回は日本における繰糸機をテーマにブログを書いたので、その流れの中では取り上げませんでしたが、あと1つ、このイタリア式繰糸機の実物が展示されていることに、わたしは大変ときめいております。なので番外編として載せます。

 

これは昭和初年にイタリアから輸入したもので、農林省蚕糸試験場で使用され、昭和30年代中頃には蚕糸試験場岡谷製糸試験所で研究用として使用されていました。設備は、煮繭と糸口を出す索緒(さくちょ)作業をする係が1名、繰糸係が2名の3名で1組です。ケンネル式の撚り掛け、大枠への直繰(じそう)式など明治時代に日本に入ってきたイタリア式繰糸機の特徴を色濃く残しています。

 

 

 

 

 

 

このイタリア式繰糸機が稼働している動画を1つご紹介します。

YouTube の BRITISH PATHE' というチャンネルにイタリア式繰糸機のドキュメンタリー映像が幾つかあがっています。その中でもわたしが特にお気に入りの映像を添付します。この映像は1940〜1949年のイギリスの養蚕から製糸の作業を細かく記録しています。養蚕は桑摘みや卵の催青から稚蚕飼育、営繭の蔟がストローであること。製糸では繭の乾燥設備、煮繭・索緒の係と繰糸係が分業していること、撚り掛けがケンネル式であること、繰糸された生糸が大枠に直繰されるとはどういうことなのかが映像になっているので大変わかりやすいです。

 

他にもいろいろ注目どころはあるのですが、この映像で個人的にちょっと注目してもらいたいところは、繭が日本種ではないか思われるところです。日本は横浜開港の時代に蚕種をずいぶん輸出して外貨を稼ぎましたから、そのときの名残ではないかとロマンを感じます。明治時代に推奨されていた原種の繭の大きさから考えると少し大きい気がするので交雑種かなとも思います。ぜひご覧ください。