寒い日がつづきます。

毎年この時期は、庭のドウダンツツジの葉が真っ赤に紅葉してとてもきれいです。それが今年は、先日の関東の積雪の影響で長く楽しむことが出来ませんでした。他の葉も落葉が早く進み、とても寒々としています。

 

こんな寒い時期は、家の中でする座繰りの仕事に精が出ます。

これは、節のある玉糸の仕事です。先日ブログでご紹介したモロコシ箒を使います。

 

 

 

 

 

 

着物を織っていらっしゃるお客さまからご注文をいただきました。

 

 

 

 

 

 

アップは、こんな感じです。

当館の玉糸は、上州座繰器を使用した「横ひき」といわれるタイプの引き方です。小さな節や大きな節がところどころに出ます。そこに、たまにズルーっと糸が太く間延びした「のし」というところができるのも特徴です(「のし」はあまり出ないように気をつけています)。そして、実際の糸量よりもボリュームがあるような軽やかな生糸であることを心がけています。

 

玉糸は、節がある糸なので紬と同等に認識される方がありますが、この通り、通常の生糸と同じ長繊維です。糸に独特のコシがあります。手引き真綿の紬糸や上州座繰りによる玉糸の両方を織っている染織家の方に伺うと、両者はまったく違う糸だとはっきりおっしゃいます。こうしたことからも、玉糸は正式には紬の糸とは区別すべきと思います。ただ、これが織物になると素材の違う糸の交織織りと同様に、玉糸と紬糸を一緒に織り込むことがあったりすると、でき上がった生地の風合いから見て、布の分類としては紬になるケースがあるでしょう。

 

原料については、「玉糸=(イコール)玉繭を原料とした生糸」とよくいわれますが、これも、その限りではありません。時代状況や製糸工場によってもいろいろです。そのへんのことが知りたくて、当館では調べておりまして、過去製糸に従事されていた方などから聞き取りをしておりますので本当です。

 

ちなみに、当館の玉糸の原料は、正繭に、解れの悪い中繭と少量の玉繭をブレンドしています。この玉繭は自家生産と県内農家さんのものです。