タイトル通り、今回はお蚕さんの排泄物について書きます。

写真は、お蚕上げの次の日のものです。

 

 

 

 

 

 

糸を吐き始める蚕を専門用語では、『熟蚕(じゅくさん)』といいます。

このあたりの地域では、『ずう』といいます。このお蚕さん自身を「ずうさま」と呼んだりもするようです。

 

お蚕さんは糸を吐き始めるころになると、身体の色が飴色というか油紙というか、表現はさまざまありますが少し変化して、身体の大きさも少し縮みます。文字通り、熟した蚕になるのです。

 

 

 

 

 

 

お蚕さんは、落ち着ける場所を見つけると、繭をつくるために足場となる糸を吐き始めます。そして、かなりうっすらと繭を形成して自身の身体を包むと、そこから外にお尻を出して、最後のうんちとおしっこをします。

 

 

 

 

 

 

これは、おしっこをしている写真です。

観察していると、まずはうんちから出しています。最後にするうんちは、葉っぱをモリモリ食べているときの濃い緑色とは違い、淡い色をしていて水分を多く含んでいます。おしっこは、飴色できれいです。勢いよくジョボーッと排出してから、残りをポトポトと、最後の一滴まで出し切るって感じです。

 

こうして、お蚕さんは身体から余分なものを排出してから、本格的に繭をつくります。

 

 

 

 

これは、おしっこを回収しているところです。

1頭のお蚕さんが出す量は微々たるものですが、頭数が多くなると大量になります。

 

 

 

 

 

 

うちのお蚕さんたちが排出した1日目の量が写真のものです。2日目は、このバケツ2杯と桶1杯分ありました。トータルで、バケツ3杯と桶1.5杯を回収しました。

 

お蚕さんに良質な繭をつくってもらうには、繭をつくっているときの室内温度を良好に保つことと、換気をよくすることが大切です。特に良くないのは室内が多湿になることです。その原因の1つはこの糞尿なのだそうです。お蚕さんの糞尿が影響するなんて、わたしは養蚕を学ぶまで考えてもみませんでした。

 

良質な生糸をつくるためには、お蚕さんに良質な繭をつくってもらわなければなりません。多湿のなかでつくられた繭は、繭糸の解れが悪いのです。