私が蚕糸絹業提携支援事業 を知ったのは昨年です。

私が知っているくらいですから、公になっている支援事業なのですが、染織に携わっている方の中で、また一般の方の中で、この事業についてご存じの方がどれだけいらっしゃるのでしょうか。


日本の養蚕は、ある時期からこれまで、国からの補助金が大きなウエートを占める形で成り立ってきました。

その補助制度の在り方を20年度の生産分から変更しました。

これまでは、農家個々が生産した繭に対してのものだったのを、これからは養蚕農家から製糸業者や織物業者、小売業者など(川上から川下まで)が純国産絹製品をつくる為の一つのグループとなってもらい、そのグループ全体に対して補助金を出す形となります。


国内の養蚕農家の保護と純国産絹をつくる為の最後の砦です。


とは言え、急にグループをつくることも、またそうして作られた製品がすぐ売れるものになるかもわかりません。

そこで、上記のシステムの成功を目指して、その為の準備期間をもうけました。

その間は、そのグループに入っていなくても、養蚕農家にはこれまでと同様の補助金が出ます。

その準備期間というのは、平成22年度生産分までです。

その間に、グループに入っていない場合は、補助金は一切無くなります。


農家に対して「それまでにグループに入りましょう。でなければ、補助金はもらえません。」と、言います。

でも、それってどうやって入るの?


もうすでに、この支援事業を活用して始まっている事業が幾つかあります。

でも、それらのグループに参加している農家はそう多くはありません。

グループによっては、かなり大きな規模のものもありますが、全国の養蚕農家戸数から見れば僅かです。


そして、そうしたグループに参加している農家の多くが自分から積極的に参加しようと動いて獲得したものというよりは、グループのコーディネーターなど主立った者が検討した地域に、たまたま属していたという形です。


これまでの補助でも養蚕を続けることは大変だから担い手が出てこなかった中で、22年度生産分以降、農家が自力で経営を続けて行くことは、大変難しい。


それに、これまでは生産すれば、全て製糸業者などが買い取ってくれた。

個々で農家が営業活動して来たわけではないのです。

そして、従事者の多くが高齢化。60歳代で、若手というような現状なのです。


事業グループにしても、準備期間を経て助成してもらえるのは数年。

純国産の製品を作りたい!と情熱を持ったグループの皆、ここで何とかエンドユーザーに喜んでもらえる製品が出来ないと、大変なことなのです。


こんなことになっていると、ご存じでしたか?


日本の養蚕、のこしたいと思いますか?

日本の絹、のこしたいと思いますか?


私は、のこしたい。これからも在ってほしいのです。