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株、決算がらみの「意外安」と「意外高」にご用心
証券部 宮本岳則
2015/10/22 16:39

 「なんでこんなに売り注文が多いのか」。22日、住友化学株が一時7%安と急落し、大手証券のセールス・トレーダーは注文動向を映すパソコンをたたきながら首をひねった。住友化は前日の大引け後に2015年4~9月期の利益予想を引き上げ、市場予想も大きく上回っていたからだ。逆に市場予想並みの業績観測報道が出た日野自動車は一時4%高と急騰する場面があった。決算情報を巡って、意外感のある値動きが目立つのはなぜか。

 住友化は前日、15年4~9月期の連結純利益が前年同期に比べて2.7倍の600億円になったようだと発表。会社の従来予想(380億円)はもちろん、事前のアナリスト予想平均(498億円)も大きく上回った。そんな好内容にもかかわらず、投資家の反応は冷淡だった。一方、「意外高」だったのが日野自株だ。こちらは22日の取引開始前に「4~9月期の営業利益が9%増の540億円前後になりそう」との観測が市場に伝わった。ほぼ証券アナリストの予想平均(543億円)並みの内容だったが、朝方から株価は急伸した。

 事前の市場予想を上回る決算内容なら買われ、市場予想並みかそれ以下なら材料出尽くしで売られるのが一般的だ。しかしこの日の住友化株と日野自株は、通常とは逆の値動きを見せた。

 なぜこうした現象がおきたのか。ヒントは8月中旬以降の株価急落局面から21日までの値動きにある。中国が人民元切り下げを発表した前日の8月10日を起点に10月21日までの株価騰落率を見ると、住友化は11%高と同期間の日経平均株価(11%安)を大きく上回るのに対し、日野自は15%安と軟調だった。

 住友化はもともと業績上方修正期待が高く、アナリストの「買い推奨」が多かった。ヘッジファンドからすれば買い持ちしやすい銘柄だったわけで、業績修正をきっかけに一気にポジション調整の利益確定売りが出たとみられる。市場予想を大幅に上回る業績観測が22日朝刊で伝わった大成建設や鹿島株の急落も同じ理由である可能性が高い。

 逆にインドネシアなど新興国が稼ぎ頭だった日野自は、新興国経済への懸念からこれまで格好の売り持ち対象だった。このため、業績報道で目先の材料出尽くしとみて買い戻しが入ったようだ。投資家の脳裏には月末に迫った日銀の金融政策決定会合がちらついている。「追加緩和観測が強まっており、売っていた向きはその前に利益確定を済ませようとしているのでは」。住友生命保険の岡田允彦ポートフォリオ・マネージャーはこう推測する。

 「ヘッジファンドの買い戻しが目立ち、長期投資家の新しい資金が入っている印象はない」。クレディ・スイス証券のバジル・ダン株式営業本部長は今の市場をこう説明する。売買の厚みがなく、短期筋の決算プレーに相場が左右されやすい。目先は決算内容をきっかけとした個別銘柄の「意外安」「意外高」に警戒が必要だ



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