雅は私を見てはくれない。


その心の奥にあるものは見えない。


私の隣にあるのはただの抜け殻で、

その抜け殻にすら、

怖くて私は自分から触れることができなかった。


雅から手を伸ばしてくるのを密かに心待ちにしていた。

けれど、

その手はもう二度と私へは伸びることはないし、

その愛おしい抜け殻を見ることもなくなった。



一人になると死にたくなる。

悲しくて、寂しくて、もう消えてしまいたいと思う。


もういっそのこと私を殺してほしいと

何度も願った。


涙は次第に出なくなっていた。


ただただ、廃墟のような心だけが残って、

何をやっても虚しくて、何をやっても満たされることはなかった。


雅は何も言わなかった。


ただただ笑ってくれたし、頭をなでてくれたし、

世間一般的な“優しさ”をくれた。

しかしそれは私にとって、

とても意地悪で、そのたびに私は泣きたくなった。


その笑顔の裏の悲しげな瞳や、

触ることを恐れないその罪深い手や、

本心を明かさない優しさが辛かった。


雅の後ろ姿が好きだった。

背の高い雅は遠くからでもすぐにわかる。
そのだるそうな、特徴的な歩き方が、愛おしかった。

その隣に並ぶのは常に私でありたいと思うようになっていて、

その想いは日増しに強くなっていた。


だけど、思いが強くなればなるほど、距離は離れていく。


嫌われたくないと臆病になる私と、雅のまわりにある見えない壁が、

遠くに突き放す。


たとえ体は隣にいても、こんなに近くにいるのに、

心は見えない。


どこか遠くで、私のことを見てすらくれない。


雅の笑う顔が見たかった。

けど、

その笑顔の寂しげな瞳を見るたびに後悔して、

悲しくなって、泣きたくなって、

それでも、

嘘でもいいから雅には笑ってほしかった。


私じゃダメなんだと、何度も思い知らされた。