怠惰な私とMY CHEMICAL ROMANCE | 葛山麓

葛山麓

そして引っ越した!

 最近すっかり怠惰になって――という冒頭言を打ち始めたものの、よく考えたら最近どころか、もうずっと前から怠惰な自分であることに気がつきましたよ。山麓です。

 どういうふうに怠惰になったかといいますと、たとえば音楽の聴き方です。かつてはCDの一枚一枚、それこそ宝物のようにそっとCDトレイに載せ、祈りを込めて再生ボタンを押し、最初の一音が洩れる瞬間を溜息と共に迎えるような日々を送っていたわけですが……うん、大袈裟だ、すいません。
 ともかく、そこまで大仰ではないとはいえ、CDを聴くときはちゃんと一枚を取り出し一枚をセットして、おしまいまできちんと鑑賞する、というスタイルであったわけです。普通はみんなそうですわな。

 ところがパソコンで音楽を聴くスタイルが世に出始め、MP3なんて技術が世にはびこりiTunesなんてもので音楽を楽しむ時代になってしまった。iTuneは危険です。お気軽すぎます。自己の保持する音源をパソコン上でさくっと検索してなんとなく楽しんで、気分でシャッフルしたり途中で別のアルバムに移行したりやりたい放題、作曲者、発表年などのキーワードでも音楽が選べるし、何が聴きたいのか自分でもわからないときは「この曲みたいなやつお願い」と、指定してコンピューターに選んで貰ったりもできます。嘆かわしい! ……などと言いながら僕も、さっさとパソコン派iTunes組になっておりました。さっきからこんな話ばっかりですね私。
 それほど音質うんぬんを言う人ではないので、せいぜいスピーカーをちょっといいのに買い換えた程度、オーディオは主としてパソコンで楽しく便利に聴くようになったわけです。

 で、そのiTunesソフトだと、音楽を聴いた回数がカウントされるわけですな。残念ながら他の部屋のオーディオ機器やPS3、カーオーディオでの徴収回数は当然合算されませんので、あくまで「メインPCで」聴いた回数を集計しただけですが、あるときふと気になって、どのアルバムを自分は一番聴いたのか調べてみました。
 ぶっちぎりでMY CHEMICAL ROMANCEの『The Black Parade』が一位でした。ちょうどiTunesを導入した頃に購入したCDだったというのもありますが。

 2006年作『The Black Parade』は本当に恐ろしいくらい完成度の高いアルバムで、我ながら頭おかしいんじゃないか、というほどリピートしてかけまくった一枚でした。間違いなく自分の全音楽史でもベスト5に入る弩級の名作です。歴史的傑作、と断言します。
 そこから一曲、ご紹介しましょう。

"Welcome to the Black Parade"


 僕はあまり感激屋という性質ではないので、普段は映画観て涙を流すとかいうことには無縁です。もちろん、素晴らしい作品に心が動かないはずはないですが、いい作品に出会えても「ああ良かった……」としみじみ満足するにとどまります。
 ましてや、音楽聴いて泣くなど無縁も無縁、よく楽曲の感想で『泣きました!』とかいうのを聞いても「この人は『良かった』という言葉を表現するときには『泣いた』ということにしているにちがいない(=つまり、本当に涙を流したわけではあるまい)」と考えるのが常でした。そんな自分がこの曲には泣いた! ライブでイントロが流れ出したとき、思わず涙こぼれました。もうそこからは止まらず、途中からラストまでブワーって涙出てましたよ。ライブ会場で! 繰り返すけど外で! うわヤダなにこのひと気持ちワルい!(自分だけど)。
 
 さてその『The Black Parade』につづく四年ぶりの新作がついに出たわけですよ11月末ごろ。

 このところ毎日のように、発売されたばかりの新作『Danger Days: the True Lives of the Fabulous Killjoys』をじっくりと聴いて、さっそくiTunesのカウントをぐんぐんと稼いでおります。
 レビューっていうか感想文っぽいものは、また近いうちに書くといたします。