いつもありがとうございます。今回は実車に会いに行くレポです。


2022.5.22

小田原駅から箱根登山バスで約50分。かつての小田急と西武による箱根山戦争の戦場である山道を通り、仙石原にやってきました。


目的地はこちら、箱根ラリック美術館です。フランスの19世紀〜20世紀のガラス工芸家、ルネ•ラリック氏の作品の約1500点を収蔵しています。


その1500のうちのひとつに、フランスの客車が存在します。「ル•トラン」という展示になっています。今回のメインになります。

この客車は1988年、「オリエント•エクスプレス‘88」としてパリから香港、海を渡り広島から東京、日本中を走った車両です。


8時45分の営業開始と同時に1番乗りで入りまして、ル•トランの予約をします。1日数回、1回1時間でおよそ25人ずつとなっています。

1人2200円です。



初回は11時なのでまだ時間があります。とりあえずNゲージを入手し、レストランに入ります。

因みにNゲージ、2021年に再生産があったそうです。在庫は現時点では潤沢です。


こちらが朝食メニューです。

ふわふわのオムレツ。厚いベーコン。行かれたら是非是非。


ところで。受付には16番の客車が置かれています。これは1988年当時、日立の家電販促のため配布されたものです。現在も中古市場ではたまに見かけます。

よく見ると車番が1988になっていますが、モデルは来日編成中唯一のプルマン車である4158号車です。


そんなこんなでお時間。それでは参りましょう。


国際寝台車会社(CIWL ワゴン•リ フランス)4158E

1929年製 コート•ダジュール方面急行用

               プルマン座席車

(この場合のプルマン座席とは、テーブルと固定されていない座席が通路を挟み左右に置かれているものです。オシ24かスシ24をご想像ください。)

1976年? 譲渡 イントラフルーク(スイス)

                ノスタルジー・オリエント急行として

                団体臨時列車に使用

※文献によりIntraflugの訳がバラバラですが、ここではこのような表現とします。実際の発音はどんなものか気になります。

1983年 ノスタルジー・イスタンブール・

              オリエント急行(NIOE)に改名

1988年1月 NIOEの日本への臨時列車運転が決定

9月5日 同車含NIOE所属客車15両

             チューリッヒ(スイス)から

             リヨン(フランス)へ回送

9月7日 オリエント急行 東京行 リヨンを発車

7日~26日 フランス→ベルギー→西ドイツ→

               東ドイツ→ポーランド→ソ連→中国

               ソ連内は広軌(軌間1524mm)台車

29日 九龍を出港 貨物船せき・まつやま号

10月6日 下松に入港 日立製作所笠戸へ輸送

14日 改造終了 11両にTR47台車装着

        マニ50 2236とオニ23 1(ナハネフ23 8)

        を改造の上、控車として使用

        所属 品川運転区(東シナ)

16日 試運転 下松~新下関 のち広島へ回送

17日 オリエント急行 東京行 広島を発車

18日 東京に到着 リヨンより約15494km走行

19日 試乗会 東京〜品川〜新宿〜大宮

        これ以降3ヶ月で70コースのツアーを実施

        JR北海道札幌、JR四国高松、JR九州熊本

        まで入線

12月23日 上野〜京都往復ツアーの上野〜大宮

               D51 498号機が復活後初営業運転

25日 上野到着をもって全運用終了 その後回送

27日 下松に到着 日立製作所にて復元

1989年1月9日 下松を出港 ハンブルグへ

                      貨物船プロジェクト•アメリカ号

1993年 ライゼビュロー•ミッテルスルガウ(スイス)

              に売却

2002年 経営統合により

             トランスオイロープ•アイゼンバーン(スイス)

             所有となる

2004年 4158E号車 日本へ売却

              箱根ラリック美術館建設地へ搬入

2005年3月 箱根ラリック美術館 開館

                   軌道は小田急からの譲渡品

                   (輸入したレールもあるとのこと?)


車内はこのような感じ。壁面にはルネ•ラリック氏のガラス作品が使用されています。


ケーキはこちら。2022年4月18日提供開始の「チョコムースブラウニーと苺のマカロン」です。

定期的に変わるようなので、行く際は公式サイトをご覧ください。



どんな時でも色々観察しておきましょう。日本でヨーロッパの本線用車両が見られることもなかなかありませんので。



連結器は前後ともねじ式です。KATOのNゲージではIORI工房の専用品をそのまま利用できます。

リバロッシ、ミニトリックスなどの製品ではどれが利用できるでしょうか。


以前この↑記事で「日本ではねじ式と連環式の複式連結が基本」と画像付きで書きましたが、他国ではねじ式のみ使用の片連結だったそうです。来日時ではそのまま使用していました。



手持ちの車両をかき集めて「エセ•オリエント急行’88」を組んでみました。


D51 498…この車両のみが来日当時のメンバーです。形態は2022年現在のものです。


EF58…実際はロイヤルエンジンこと61号機でしたが、手持ちは89号機です。


ヘッドマークはこちら。


マニ50…実際は2236で片側にねじ式連結器とバッファー付きでした。手持ちは高崎にかつて所属した2185です。



オニ23(ナハネフ23 8)…20系の切妻緩急車を使用していました。手持ちでは20系がカニ25の1両のみですのでそれを使用しました。

ブログでは初登場です。





とりあえずこの後ねじ式連結器に変えようとは思うのですが、明治勢しか対応できる機関車がいないのです。

あと欧州型客車はこれ1両のみ。リバロッシとかミニトリックスとか、現地のメーカーに手を出してしまいそうです。



2022.7.9追記

4158号以外の客車は所有会社倒産により消息不明となっていました。が、NIOE客車がポーランドにて発見、復元されるという日本語記事が出ております。


そして、フランス国鉄SNCFの手により、2024年より運行開始するとの記事が出ました。


この記事内ではSNCFの野望が見えます。ネタバレ防止のためこのブログには出しませんが、是非読んで驚いてください。

そうなると4158号、ここに置きっぱなしでは良くないのでは?という疑問が出てきますが。

追記以上






ところで。全く客車とは関係ないのですが。普段は蒸機を走らせたあと、必ずロッド類を下げた状態でケースに戻しています。そのためラリック美術館での画像では下揃えになっています。

その後はこの記事を書いている時点では1度も走らせていません。それを踏まえまして。



12時間後

さらに18時間後



お判りいただけましたでしょうか……。


※その後も持ち運ぶと動輪が回転してしまう現状が498号機のみ見られます。