【朝鮮(共和国)の統一政策転換と在日同胞社会について】 | かっちんブログ 「朝鮮学校情報・在日同胞情報・在日サッカー速報情報など発信」

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(引用元:101人同志であるヨンイ監督のフェイスブックより)
 
 
【朝鮮(共和国)の統一政策転換と在日同胞社会についての個人的見解】
 
前回も述べた通り朝鮮が統一政策を転換した要因とその背景については、私たちが想像できること出来ないこと、理解が及ぶこと及ばないこと、その真意について全てを把握するには限界があると思われます。
 
先日、とある方と議論を深めたところ次の2点を強調していました。
 
① これまでにないほど戦争の実質的危機に直面している状況である。
 
② 国民と国家を守る安全保障にその力点がある。
 
これに対し理解を示す方もいればそうでないという意見もあるかと思われます。
 
私は、国家間の問題についての正確な情報を持ち合わせておらず、また、そこに住んでいる人々のリアルな状況を把握できない中で、軽はずみな発言は控えます。
 
本題
「朝鮮の統一政策転換と方針についてどう考えるかという問題」と「それを在日同胞社会、とりわけ総聯コミュニティへ適用するかの問題」は別々に考える必要があると私は思います。
 
○結論としては、「在日朝鮮人社会の特殊性を考慮した上での柔軟な対応と在日朝鮮人だからこその主体性が必要」と私は考えます。
 
総聯組織と総聯系同胞、朝鮮学校が朝鮮民主主義人民共和国を祖国とし関係性を重視し今日まで歩んでき、その関係性があっての今日の姿であることは疑う余地もないことを確認しつつも、在日朝鮮人社会の歴史的経緯、社会的環境、構成している人々の多様性など考えた場合、そのまま適用することは不可能であり、特殊性を考慮した上での柔軟な対応が求められるのではないでしょうか。
 
また、本国とは違う環境にいるからこその在日朝鮮人の立場で何が出来るのか?何が必要とされるのかという主体的な思考と判断と行動が求められていると私は考えます。
 
1. 在日朝鮮人の成り立ちについて
 
知っての通り在日朝鮮人のほとんどの人々は、もともと南半部出身の人々であり、その人々が朝鮮民主主義人民共和国を支持するようになった大きな理由の一つとして、「分断された祖国の統一を理念として掲げそれを実現しようとする国」だったことを無視できません。
 
1948年南北連席会議を支持し大韓民国樹立のための単独選挙反対に立ち上がったことは知っての通りです。
 
在日朝鮮人たちの祖国統一への意思は、始まりだけでなく現在に至るまで脈々と受け継がれてきたアイデンティティと言えます。
 
朝鮮籍の同胞たちがそれを守り続けてきた背景には、分断した朝鮮を認めるわけにはいかないと思って守り続けた人たちも少なくありません。
 
2. 多様化した在日朝鮮人の属性、日本に居住している特殊性について
 
現在、在日韓国・朝鮮人の93%が韓国籍であり、それは総聯コミュニティや朝鮮学校の生徒たちも例外ではありません。
 
妻や夫が韓国人(ニューカマー)である場合や、韓国で仕事をしている同胞、現在韓国に留学している学生も多数存在します。
 
朝鮮と韓国との間には国境があり、人々が会うためには国家間の協議を経て合意し、国家機関や行政が動いて初めて交流することができます。
 
しかしながら日本にいる場合には道を歩いているだけでも自由に出会う環境であり、韓国籍の同胞の場合は、今から行くと言えば2時間も飛行機を乗れば行ける環境にいます。
 
今回の朝鮮の方針を適用するならば、韓国の国民と交流はもとより一切接触することは出来なくなります。
 
家族や友人、社員が韓国にいる同胞社会では不可能な話であることは明白です。
 
3. 朝鮮学校における教育について
 
朝鮮学校の教室には分断線のない朝鮮半島の地図が飾られ、学校の校歌から始まり朝鮮学校で慣れ親しんで歌われてきた同胞自らが作った歌たちには、「三千里、白頭山・漢羅山、一つの民族、統一」の言葉が並んでいます。
 
すでに述べた通り、朝鮮学校が共和国との関係性を重要視してきたことは事実であり、それがあって今の朝鮮学校がありますが、教育内容については本国のそれとは同じではなく、日本にある朝鮮学校としての特殊性から特色を活かし、共和国のみを支持する人々たちだけでなく、多様な子どもたちが学べる学校として存続してきたと考えます。
 
その上で、「祖国は一つ」「私たちの願いは統一」のスローガンがあり、朝鮮の地理や歴史、社会の授業でも北も南も学ぶ学校として、そこで育った学生たちが架け橋になれる存在に育てようと今日まで歩んできました。
 
この価値は、私たちのアイデンティティの一つであり、未来の子どもたちにとってとても重要な価値であると私は考えています。
 
 
 
○総聯組織のこれまで一貫した基本使命について総聯のホームページからその内容を抜粋します。
 
「在日同胞は、祖国統一実現のために貴重な血と汗を流し、愛国的熱意と力を残らず捧げた。しかし、分断の歳月が長く持続することによって、愛国の第1世代をはじめ多くの同胞が、心から渇望していた統一祖国を見ることができないまま永眠している。諸々の事実は、祖国が統一されてこそ在日朝鮮人問題を根本的に解決できるということを物語っている。朝鮮総聯は、結成当初から一貫して祖国の統一に寄与することが自らの基本使命であることを綱領に明記し、力のある人は力を、知識のある人は知識を、金のある人は金を出して祖国統一に貢献することを呼びかけ、民族最大の課題を実現するために全力を傾けている。朝鮮総聯が祖国統一偉業に貢献するため活動することは、世代が交代し21世紀に入った今日にいたっても変わることのない一貫した姿勢であり、立場である。」
 
○総聯組織の綱領にこう記されています。
 
「私たちは6.15北南共同宣言のもと、在日同胞の民族的団結と北と南、海外同胞の交流を強化発展させ、反統一勢力を倒し連邦制方式で祖国の自主的平和統一を成し遂げるため活動する。」
 
組織にとっての綱領は「憲法」とも言えるものであり、その綱領に支持賛同する人たちの集合体が大衆組織であることは言うまでもありません。
 
もちろん朝鮮の統一政策が転換された今日、今まで通り全く変わらずという訳にはいかないこともわかります。
 
仮に綱領を改正するのであれば組織的に正式なプロセスが必要であり、それを求めることは、組織に関わる人の基本的スタンスであると考えます。
 
民主的な議論とプロセスを経て政策と方針が打ち出されることを切に願います。
 
※これまで数十年、活動に携わってきた一人の人間として真剣に考え、色々悩んだ末での投稿です。