いまだ不気味な北朝鮮代表の素顔とは?元U-23北朝鮮代表・韓勇太が明かすチームの内情 | かっちんブログ 「朝鮮学校情報・在日同胞情報・在日サッカー速報情報など発信」

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(引用元 Yahooニュースより、


いまだ不気味な北朝鮮代表の素顔とは?「彼らは本当に純粋で…日本戦では200%の力を発揮」元U-23北朝鮮代表・韓勇太が明かすチームの内情


 森保ジャパンがW杯アジア2次予選で戦う朝鮮民主主義人民共和国代表(北朝鮮代表)。近年の国際舞台から姿を消していた彼らには「不気味」「ミステリアス」との声も多いが、韓勇太(ハン・ヨンテ)はそんな北朝鮮代表選手の“素顔”を知る一人だ。


「彼らは本当に純粋で、裏表がなくて、仲間を大事にする思いがとても強い。だからこそ、今もまた会いたいとずっと思っていますし、実際に会えることの喜びは大きいです」

 1996年10月生まれ、東京都出身の在日コリアン4世。東京朝鮮中高級学校、朝鮮大学校を経て2019年に当時J1の松本山雅FCに加入し、同時に期限付き移籍した鹿児島ユナイテッドFCでは、クラブが初めて挑んだJ2開幕戦でいきなりゴールを決めた。大卒1年目にして、チーム最多の11得点を記録。Jリーグでは他に栃木SCやいわてグルージャ盛岡にも在籍した。

 そんな韓勇太は、大学時代にU-23北朝鮮代表選出歴がある。初招集は2017年7月のU-23アジア選手権予選で、翌年1月の本大会は直前合宿で負傷離脱するも、同年夏のジャカルタ・アジア競技大会では5試合1得点を記録した。

 そして、現在のA代表には、彼が当時ともにプレーした仲間が名を連ねている。聞くと、口からスラスラと名前が出てきた。

知られざる北朝鮮選手の素顔

「キャプテンのチャン・グクチョルもそうだし、キム・グクボム、カン・グクチョル、リ・ウンチョル。彼らはあの頃からA代表に選ばれていて、皆良い選手だったのを覚えています。カン・ジュヒョクは年下のキーパーで、粗削りだったけど伸びしろがあった。彼が今、A代表に選ばれていると聞いた時は驚きました」

 U-23代表では2年間で計約150日間、本国の選手と練習でしのぎを削り、寝食をともにした。「これまで選ばれた在日の選手で、誰よりも彼らと仲良くなった自負がある」という韓勇太に、A代表に選ばれている仲間の特徴やプレースタイルを聞いた。

 まずはキャプテンのチャン・グクチョル。韓勇太と出場した2018年U-23アジア大会、そして昨年の杭州アジア大会でも、オーバーエイジ枠として腕章を巻いた185cmの長身センターバックだ。10代からA代表に選ばれ、アジアカップやE-1選手権など国際大会の経験も豊富。まさに、チームの精神的支柱と言える。

「真面目で誠実で、何よりリーダーシップが非常に高い。チャン・グクチョルが何か言えばそれに味方全員が従うような、ピッチ上の監督のような存在。自分も『好きなように思い切り、全力でプレーしろ。それがお前の良さだから』と背中を叩かれたこともありますが、ともに戦う仲間を後押しするキャプテンです」

 身長の割には細身だがヘディングに強く、地上戦では賢くしたたかな守備をする。練習で対峙した際も、「フィジカルが強いわけではなく、FWとしては負けている感覚がなくても、最後の最後で足が出てくる」という。

 そのチャン・グクチョルの一列前で、中盤の“潰し屋”を担うのがリ・ウンチョルだ。

 遠藤航と同じアンカーの位置で、攻撃の芽を摘むボール奪取能力を持ち味とする。ただ、試合ではチームを支える汗かき役も、一歩グラウンドを出ると「カブリ(お調子者)」に。やんちゃな性格で、韓勇太もしょっちゅう、ちょっかいをかけられたらしい。

日本に立ちはだかる要注意のボランチ

 そして、「日本が絶対に警戒しなければならない選手」として韓勇太が挙げた選手が、ボランチのキム・グクボムだ。

 彼もオーバーエイジ枠で杭州アジア大会に出場した一人だが、日本との準々決勝では左足から強烈な同点ミドルを決めた。普段は優しい性格で「いつもニコニコ笑っている」というが、サッカーにおいては常に同年代のトップ選手で、「誰よりも上手かった」と絶賛する。

「全体的な能力が高く、フィジカルも強くてスピードもあり、足元も上手い。まさに何でもこなせる選手で、攻守にわたって中心的な役割を果たすことができる。チャン・グクチョルと並んで、キム・グクボムもチームに欠かせない存在です」

 このような仲間とともにしたU-23代表で、チームの“対日本意識”を強く感じた出来事がある。

 ジャカルタ・アジア大会当時、準々決勝まで進出した北朝鮮は準決勝で日本と当たる可能性があった。すると、選手たちは準々決勝の相手UAEより、その先の日本を強く意識していたという。

「当時のU-21日本代表には上田綺世や前田大然などタレントがいましたが、特に10番の三好康児を警戒して、どんな選手なのかをよく聞かれました。まずUAEとの準々決勝が控えているのに、彼らは日本をかなり意識していた。『日本だけには負けるな』という直接的な言葉は聞かなかったですが、『やっぱり負けられないんだな』と肌で感じました」

 結局、北朝鮮は準々決勝でUAEにPK戦で敗れたため日本と戦うことはなかった。それでも、今回も彼らが並々ならぬ覚悟で日本に立ち向かうことは間違いない、というのが韓勇太の見立てだ。

「それは単純に、日本が絶対に負けられない相手だからです。彼らは自分たちのプライドをかけて国を背負っていて、歴史的な背景もある中で、どうしても勝たなければいけないし、勝たなければ認めてもらえない。当然、技術面で劣る部分もありますが、日本相手となると100%以上、200%の実力を発揮する。そこには数字やデータでは表せない、彼らだけが持つ不思議な力があると思います」

 最新のFIFAランキングは日本が17位、北朝鮮が116位。順位では99ランクも離れていても、日本と戦う時は順位を度外視したチームに変貌する。

「U-23代表で感じたのは、試合に向けたメンタルを作るのが非常に上手いということ。直前のミーティングになると特にそうで、自分もその雰囲気に飲み込まれましたし、『この試合だけは絶対に勝たなければならない』って気合いが入ります。だからこそ気が引き締まるし、個々が持っている以上の実力を発揮できるのだと思います。それが日本戦となれば、まさに『命を懸ける』じゃないですけど、他のアジアの相手とはまったく違うメンタリティで臨んでくると思います」

北朝鮮戦の見どころ

 では今回、北朝鮮代表は国立でどう日本代表に立ち向かうだろうか。韓勇太は「最初の10分が見どころ」と展望する。

「彼らは『フィジカルなら負けない』という自負があると思います。でも、日本は当然レベルが高いし、海外でより屈強な相手と戦っている選手も多い。だから最初は、日本の予想以上のフィジカルの強さに面食らうのではないかと予想しています。

 とはいえ、先ほども言ったように彼らは日本相手に200%の力を出してくる。日本としては、アジアカップの失敗からいかに修正できるかが求められている。なので、試合序盤の入り方を見れば、お互いがどんなメンタリティで臨んだのかがわかって面白いと思います。朝鮮が日本のフィジカルに驚くのか、もしくは耐えて球際で強く出てくるのか。それによって、その後の展開も大きく変わってくると思います」

 韓勇太は昨年8月に現役引退を発表した。かつてサッカー少年の頃に抱いた「北朝鮮代表として活躍する」という夢を叶えることはできなかったが、彼には思いを託す選手がいる。

唯一代表に選出された在日コリアン選手

 文仁柱(ムン・インジュ)。韓勇太の朝大3学年下の後輩で、J3のFC岐阜でプレーする24歳は、今回の北朝鮮代表メンバーに在日選手では唯一選ばれた。

「実力的にはまったく問題ないし、代表でも十分戦えると思います。でも、目立ったプレーをすることも大事ですが、国と国との戦い、特に日本との戦いで、自分が何を背負ってピッチに立つのか、その覚悟が求められると思います。だからこそ、仁柱には在日を背負って、国を背負って戦ってほしいですし、正々堂々頑張ってもらいたい」

 自然と話に熱が入る。かつての自分がそうだったように、同じルーツを持つ後輩たちの“道標”となってほしいという思いがある。

「日本代表には上手い選手が多いですし、在日同胞にも彼らを応援して、彼らに憧れている子どもはいると思います。それでも、自分のルーツがある朝鮮という国が、あれだけ海外で活躍する選手の多い日本代表とぶつかり合う姿を通じて、何か感じるものがあれば嬉しいです。一人でも多くの後輩が、『自分も代表選手になってこの舞台で戦いたい』って思ってくれるのであれば、これほど嬉しいことはないですよ」

 韓勇太も21日、国立のスタンドで日朝戦の激闘を見守る。期待することは、サッカーとしての純粋な熱狂だ。

「森保ジャパンには『強い日本代表』として、カタールW杯でドイツやスペインを破った時と同じようなメンタリティで試合に臨んでほしい。そして、お互い100%以上の力でぶつかり合って、日本のファンやサポーター、在日同胞の応援団関係なく、国立に来たすべての人々を熱くしてもらいたいです」

(「海外サッカーPRESS」姜亨起 = 文)