(引用元:ミョンウの記事より)東京五輪出場なら金メダル3連覇がかかっていた重量挙げのリム・ジョンシム(写真:ロイター/アフロ)
東京五輪不参加の北朝鮮にIOCが下した資格停止処分は妥当なのか。来日すれば金メダル獲得もあった?
なんと傲慢な決定だろうか――。そう思ったのが率直な感想だ。
国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が8日、東京五輪・パラリンピックに参加しなかった北朝鮮オリンピック委員会に対し、2022年末までの資格停止処分を科すことを決めた。
理由は「五輪への選手団派遣を義務づけた五輪憲章に違反した」とのこと。
処分の解除がなければ来年2月の北京冬季五輪にも参加できなくなる。
そもそも北朝鮮は4月に新型コロナウイルス感染のリスクを懸念して選手団を派遣しないことを決めていた。「自国の選手を守るため」というのが理由だが、日本で感染者を増やさない措置ともとらえることもできる。
4年に一度の五輪出場が決まっていた北朝鮮の選手たちにとっては、厳しい判断だったかもしれないが、一方で「今回ばかりは仕方ない」と受け止める人も多かったに違いない。
それに世界各国選手たちの中には、新型コロナに感染するリスクを避けるため、自ら五輪出場を辞退する選手もたくさんいた。にもかかわらず、IOCは北朝鮮に“資格停止処分”という決定を下した。
「IOCが東京五輪参加に向けての解決策でワクチン提供などを協議したが、拒否された」という話もあり、その見せしめなのかは分からないが、いずれにしても正しい判断と感じられないのは、筆者だけではないはずだ。
重量挙げとレスリングで金メダルの可能性あった
“たら・れば”の話にはなるが、仮に東京五輪に北朝鮮の選手たちが出場していたら、メダル獲得はあったのだろうか。
北朝鮮の五輪のお家芸といえば、重量挙げ、レスリングと言っていいだろう。
東京五輪の女子レスリング53キロ級で金メダルを獲得した向田真優。“ポスト吉田沙保里”として注目される彼女を2019年の世界選手権決勝で下して優勝したのが、北朝鮮のパク・ヨンミだった。パクは同大会優勝で東京五輪出場を決めていた。
重量挙げでは、女子のリム・ジョンシムが金メダル最有力候補と言われていた。
彼女は2012年ロンドン五輪と2016年リオ五輪で金メダルを獲得しており、2019年の世界選手権でも優勝。五輪3連覇も十分狙えた。もし3連覇達成なら北朝鮮史上初の快挙だった。
実は筆者は彼女の快挙を一目見たいと思い、女子重量挙げ76キロ級の東京五輪チケットに応募し、見事当選していた。しかし北朝鮮の出場辞退に加え、無観客開催もあり実現には至らなかった。
そして彼女の妹・ウンシムも重量挙げの選手で、2019年アジア選手権の69キロ級で金メダルを獲得。同大会は姉妹で金メダルを獲得するなど着実に力をつけ、東京五輪では2人そろっての表彰台も期待されていた。
五輪最多メダルは女子柔道のケ・スンヒ
北朝鮮の五輪出場選手で、日本でもっとも記憶にあるのはやはり女子柔道のケ・スンヒだろう。初出場となった1996年アトランタ五輪48キロ級の決勝戦で、当時敵なしだった日本の田村(現姓谷)亮子に勝利したシーンは鮮烈だった。
日本にとっては“大波乱”、北朝鮮にとっては女子選手初に金メダルで“快挙”。帰国後は「人民体育人」の称号が与えられ、切手のデザインにもなった。国民的ヒロインの登場に国中が大騒ぎだった。
以降も2000年シドニー五輪で銅メダル、2004年アテネ五輪で銀メダルを獲得。3大会メダル獲得は、北朝鮮選手では最多で、引退後、指導者に転身し後進の指導に力を注いだ。
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