朝鮮学校のある十条駅前で、本日ヘイトスピーチが行われました!(東京中高周辺での様子)
の続き
(金 日宇氏のFBより 5月16日アップ分)
もう「一緒に生きている!」
【5月15日・水曜日】
fbにアップされた「生徒達の下校時間を狙った卑劣なデモが…」との保護者の投稿を見て、朝大の帰り道、東京中高の最寄り駅に立ち寄った。同校では、新校舎建設中の東京第三初級の児童が仮校舎生活を送っている。
改札口を出ると、大きな段ボールに書かれた「친구(チング=親友)」という言葉が飛び込んできた。隣には「朝鮮学校 こどもたちを 差別的な いやがらせからまもろう 街全体で」と書かれたポスターが高く掲げられていた。「街全体で」という言葉が響いた。
駅前右手には大型の警察車両が止められ、制服警官が整列している。隣で大勢の人が「STOP! 差別・排外主義」、「差別は許せません」などと、書いたポスターを掲げ立っていた。スピーカーを通じて、通行人にヘイトデモが不法、不当であることを淡々と呼び掛けていた。その反対側で、マイクで何かをがなり立てているが、言葉は拾えない。近づくと制私服警官が固めている。その周りをカウンターの人びとが取り囲んでいた。
大きな太極旗が揺れている。「文在寅退陣」と書かれた缶バッジが付いた帽子が見え隠れする。大量の警官隊がいて物々しい雰囲気を作り出しているが、「予告デモ」の主は男女二人、「洗脳」とか、韓国ではすでにデマであることが明らかにされている、「5・18(注・全斗煥戒厳軍による光州民衆弾圧)に北の人民軍が…」とか…マイクの声がカウンターの「帰れ!」、「差別…」の声にかき消され全く伝わらない。
六時になると、警官隊に囲まれそそくさと後片付けをして立ち去って行った。
◇
この日、朝大の校門の前で、男女二〇人余りの若者と出会った。男女の朝大生が出迎えていた。
「今年は小平に学舎が移転して六〇年…」、「今度、来たときは必ず歴史博物館と自然博物館を…」と、案内役の金先生の声が聞こえた。学芸大の学生で、韓国や中国からのの留学生も数人いた。ほとんどが初訪問とのことだ。学内見学が目的ではなく、朝大生と意見交換をしに来たとのことだ。四つか、五つのグループに分かれ話しあうと、研究棟の教室に入っていった。校門で出会って十分と経たないのに、二つの大学の学生はすっかり打ち解けている風だった。
十条駅前で「チング」と書かれた大きな段ボールを掲げていた青年に、「写真を撮りたいのですが…顔は写しませんから…」と、声をかけると、「顔が出ても…恥ずかしいことをやっているのは彼らですから…」との言葉が戻ってきた。
ウリハッキョの門は広く開けられている。学生たちは様々な意見に接し、日々、しなやかに鍛えられている。すでに「一緒に生きている」が実現している。そんなシーンを見た後だけに、十条駅でがなり立てる二人が哀れに思えた。時の流れに取り残され、何らからの呪文にかかってしまっているようだった。
fbにもアップされていたが、それにはしても「ウリハッセンをねらい撃ちにする辺りが卑劣きわまりない。ヒドすぎる」、許せない。(金日宇)
*加筆して『朝鮮学校のある風景』56号に掲載します。