朝鮮民主主義人民共和国の今 4 (元NHK記者 朝鮮訪問!北朝鮮は確実に変わっている) | かっちんブログ 「朝鮮学校情報・在日同胞情報・在日サッカー速報情報など発信」

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朝鮮民主主義人民共和国の今 1 (朝鮮のファッション2019.북조선 녀성) 

 

朝鮮民主主義人民共和国の今 2 (朝鮮の春 きれいな写真ご覧ください) 

 

朝鮮民主主義人民共和国の今 3 (北朝鮮のかわいい女子学生達)

 

 

の続き

 

 

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の今のありのままをアップします。

 

 

 

今日は

 

 

 

 

 

二度目の訪朝! ~元NHKスクープ記者 立岩陽一郎のLIFE SHIFT第19回

 

https://goetheweb.jp/person/slug-n436577d51b77

 

 

これまで華々しい実績を残してきたNHKを49歳にして去り、その翌日単身渡米、巨大エリートメディアを去った一人のジャーナリストによるエッセイ。第19回は、昨年に続いて訪れた北朝鮮について。実際は知られていない、平壌の本当の姿をレポート。


北朝鮮は確実に変わっている

日本で平成が終わり令和が始まろうという時期、私は二度目の訪朝をしていた。別に他意はない。そう簡単に入れるわけではない……とは、敢えて言う必要もないかもしれない。タイミングを見て許可を得て入るその時期が、たまたま改元と重なったというわけだ。

そして、これもたまたまだが、ちょうど1年ぶりの訪朝となった。前回は南北首脳会談の直後で盛り上がる平壌や軍事境界線の北側についてこの連載で伝えた。それから1年経って、この我々が北朝鮮と呼ぶ朝鮮民主主義人民共和国が、今まさに変わろうとしていることを実感させられた。

先ず、平壌国際空港の雰囲気が大きく変わっていた。別にターミナルが巨大になったわけではない。人だ。高麗航空を降りて入国審査に向かう途中に会う、係官の表情が穏やかだ。

「アンニョンハセヨ」

そう挨拶すると、笑顔で「アンニョンハシムニカ」と返してくれる。それが、作られた笑顔ではなく、実に自然なものだ。

入国審査は今回も顔立ちの整った女性だったが、ここも前回と違う。前回も厳しい表情ではなかったが、なんと表現したらよいか、実に、ウエルカムな雰囲気を醸し出している。そして審査も直ぐに終わった。

次が前回の関門だった荷物検査だが、ここでも、まったく状況は違った。私は前回同様、親善訪問として入国している。取材ではない。しかし、デジカメ3台、パソコン1台を持ち込んでいる。そんな親善訪問はない。当然、怪しい……はずだ。前回は、衣類の数から何から書かされ、パソコンやカメラすべてを台に載せるよう指示された。

ところが、そういうことは一切なかった。スマホのチェックは今回もあった……が、実際にはチェックしていない。ロックの解除を求められなかったからだ。前回は、ロックの解除を求められ、写真の中身をチェックされた。今回も、撮影禁止の機内のCAの様子を撮りまくっていたので、見つかれば「消せ」と言われたかもしれないが、そういうわけで、今回もそのCAの写真を掲載することが可能だ。

 

 

 

高麗航空のCA

もっとも、この空港での私の個人的な体験をもってこの国が改革開放に向かっているとまで言うつもりはない。私には前回同様、対文協=朝鮮対外文化連絡協会の日本局の担当者が迎えに来ているからだ。去年も毎晩の様に飲んで語り合った彼らが通関の場まで入れるので、私は多少なりとも特別扱いだったのかもしれない。

担当者とは抱き合って再会を喜んだ。

「立岩さんが帰った後も、みなで何度か立岩さんを酒の肴に飲みました」

「それは嬉しいですね。会いたかったですよ」

今回の訪朝で、総連=在日本朝鮮人総連合会を通じて行きたい場を要望していた。それは、2019年4月に、平壌市内に誕生したテソン百貨店だった。なんでデパートなんだ? と疑問に思うかもしれない。しかし、このデパート、朝鮮労働党委員長に加えて国務委員長に就任した金正恩氏が視察したことが世界に写真付きで報じられたところだ。つまり、北朝鮮の変化を物語る場所と言える。

ただ、世界に報じられたのは一枚写真だ。これが常に疑惑を招く。「豊かさを強調したい北朝鮮の単なる宣伝じゃないか?」と思う人は多い。「ハリボテじゃないか?」との声も出る。つまり、デパートの一画を作ってそこに国務委員長が立って微笑むということだ。一枚写真が故に、いろいろな疑惑の目が向けられることになる。

空港を出る車の中で「デパートは行けるの?」と水を向けると、「大丈夫です。我々に任せてください」と笑った。

そして翌日、早速、私はその「ハリボテ疑惑」の館に向かった。そこは、壁に鮮やかなオレンジ色の装飾が施された建物だった。着飾った平壌市民が入っていく。入口から直ぐにエスカレーターで上に上がれるつくりになっている。

家族連れが次々に上に上がっていく。去年、その存在に驚いたタクシーで乗り付ける人々も多い。

2階から上は、世界の高級ブランドが入っている。女性服、紳士服、そして化粧品。日本のデパートと変わらない。

1階の食糧、生活品の売り場は客の多さですごいことになっていた。食料は食材の他、お菓子、インスタント食品などが並び、生活品の売り場には洗剤やベビー用品などが置かれていた。何か買おうかと思ったが、レジには長蛇の列ができていて断念。

ふと見ると、アサヒ、キリン、サッポロの各銘柄の瓶ビールも売られていた。中国から持ち込まれるのだろうか。

食料品の並ぶ一画を見て、ここが金正恩委員長の立ち位置だろうと推測した。さすがに、同じポーズで写真を撮るのは止めたが。要は、ハリボテでも、撮影用のセットでもなかった。そこにデパートがあり、限られた豊かな人々とはいえ、ショッピングを楽しんでいた。

 

 

 

 

 

デパートの店員に対文協の通訳で話をきいた。

「多くの人が来られています。皆さん、楽しそうにされて私たちも嬉しいです」

金正恩国務委員長が視察されましたよね?

「はい。偉大なる金正恩委員長の指導のもと、私たちもこの百貨店を素晴らしい場所にしていきたいと思います」

話は目新しくないが、実は、この店員は予定されたガイドではない。普通は、我々が予定された場所に行くとそこでガイドが待っていて、「皆さん、ようこそおいで下さいました」と始まる。この店員さんは、その場にたまたまいた人で、対文協が頼んでインタビューに応じてもらった。この対文協の対応も、頼んでその場でインタビューに応じる店員も、実は、この国が普通の国なろうとしている証と見ることもできる。

実は、この国の変化は、前日の夜にホテルに着いた際にも感じられた。フロントに「WiFi」と書かれていたからだ。WiFiサービスが開始されたということだった。

1日の終わりにホテルに戻ってフロントでWiFiサービスを利用したいと伝えた。10分間の利用でアメリカのドルで1.4ドルだという。100分なら14ドル。まぁ、安くはないが、この国でインターネットにつながる体験は貴重だ。

スマホをフロントに渡す。フロントがパスワードなどを入れていく。それは我々は見ることができない。だから、接続を希望する際にはフロントに機器を持ち込む必要がある。ただ、140ドル払えばかなりの時間使えるわけで、要は金次第ということだろう。

つながったので帰国後早々に記事を出す日刊ゲンダイの米田龍也文化部長にラインを送った。米田氏から「おー、平壌でつながるとは」という感嘆の声が送られてきた。

このスマホだが、かなりの割合で平壌市民は持っている。スマホをいじっている若い男女の姿を見かけるし、写真を撮ったり、普通に電話として使っていたり。ただし、インターネットには接続できないようだ。

対文協の担当者に所持していたスマホを見せてもらった際、「検索はできるんですか?」と尋ねたが、日本語の堪能な極めて優秀なその担当者も、その言葉の意味は理解できないようだった。つまり、スマホが使えると言って、我々の言うところの「ググる」という行為が行えるわけではないということだ。では、何ができるのか?

「メールをしたり、辞書を使ったり、私はやりませんが、ゲームも入っています」

イントラネットだろう。例えば、日本のニュースでお馴染みの労働新聞や朝鮮中央放送は最新情報が更新されるという。

「私は(労働新聞を)紙で読みますが、子供たちはスマホで読んでいるようです」

担当者の言葉に、日朝の壁も情報格差も無かった。

実は、大きな変化が有る。外国人は自分のSIMカードを購入することができ、インターネット通信が自分のスマホで可能になる。アメリカドルで200ドル。これで3ヵ月間、使える。私も買うことにしたが、残念ながら私のスマホがシムフリーではなかったので窓口の女性に、「これ使えません」とスマホを突っ返された。

それを見て対文協が笑った。

「なんだ、立岩さん、つながらないのは、日本の側の問題じゃないですか」

次回はSIMフリーのスマホに換えてから来ようと思った。

自動車事情については、既に前回書いた通りで、平壌市内は乗用車が走っている。そう多いわけではないが、今回の滞在では中心部の二か所でちょっとした渋滞を経験した。限定された場所での限定された時間だとは思うが、場所によっては車が道路のキャパを超える状況も生じているということだろう。ただ、全般的には乗用車が頻繁に走っているという状況では無い。

こうした中で、目をひいたのが、鼻先にダイヤモンドのマークの入った車だ。セダンタイプとバン、SUVも走っている。

「平和自動車です。国産です」

対文協が、さらりと言ってのけた。

「国産車ですか。これは、去年は気づかなかったなぁ」

「いえ、去年も走っていましたよ」

後で聞くと、韓国の現代自動車の技術支援で製造されているようだ。

「車、持っているの?」

そう対文協の担当者に尋ねてみた。すると、正直に答えてくれた。

「共和国では、まだ自家用という形での車の所有はありません。事業所の所属です」

なるほど、そう言えば、ここは社会主義国だった。

こう書くと、なにやらこの国の宣伝をしているように読者は思うかもしれない。ただ、当然、変わらぬところは有る。先ずそれは、制裁の影響だろう。国連の経済制裁で重油が入らない。その影響は、電力事情に出ている。

実は、去年の1週間の滞在で停電は1度しか経験しなかったが、今回は短いものではあったが、何度か電気が切れるのを経験した。それを指摘すると、対文協の担当者はこう言った。

「一つ、変わったのは、もう外国人が宿泊するホテルに優先的に電力を回すとかは、止めることにしたんです。本当の姿を見せてもいいじゃないか、ということです」

なるほど、とは思った。それが本当だとすれば、それも実は大きな変化なのかもしれない。
 
この電力事情は、しかし本当の意味では深刻ではない。この国は石炭の宝庫だからだ。平壌市内には2か所に火力発電所があり、そこでトータル8基の発電施設がフル稼働している。これは当然、石炭だ。だから、黒煙がもうもうと空に舞い上がっている。

つまり、深刻なのはどちらかと言うと、大気汚染だ。平壌の空気は、残念ながら良くは無い。この状況が続くと、更に悪化するだろう。

韓国のソウルは先進国最悪の大気汚染とされるが、ソウルでこう言われたことがある。

「ソウルの大気汚染の原因の半分は中国、4分の1は韓国、残りの4分の1は北韓(北朝鮮)」

日本が改元を迎える前日の4月30日、「祖国解放戦争勝利記念館」に行った。解放戦争というから、日本からの解放かと思ったら、これは朝鮮戦争に関する施設だった。つまり、アメリカから朝鮮を解放したという意味だった。

案内をしてくれたのは女性兵士だった。チョン・ウンヘ上尉。軍人になって4年目というから、下士官なのだろう。この国に美しい女性が多いというのは街を歩いていての印象だが、このチョン・ウンヘ上尉、宝塚歌劇団の舞台から降りて来たような美人だ。背は170センチほどと高く、長い髪はカール(?)している。

 

 

 

 
 
 

思わず見とれていると、ついてくるように言われた。そして広場の脇に集められたアメリカ軍の戦車や戦闘機の残骸を見せられた。

「これは人民軍によって破壊され、その場に残されたアメリカ軍の戦車です」

上尉の説明が続く。カメラを向けてアップで撮影していると、彼女が対文協にひと言言った。それを対文協が私に伝える。

「立岩さん、あんまりアップにしないでと言っています」

「なんでですか?」

「恥ずかしいって」

その素直な反応に微笑まずにはおれなかった。そして彼女に朝鮮語で伝えた。

「美人ですから、全く大丈夫です」

彼女が頬を赤らめて笑ったのが、また可愛らしかった。彼女の説明は、アメリカ軍が如何に朝鮮人民軍に歯が立たなかったかを力説するものだった。終わった時、彼女にインタビューをお願いした。彼女は一瞬戸惑ったが、それでも応じてくれた。

「あなたは今、アメリカ軍を朝鮮人民軍が撃破してきたという歴史を語ったが、今、米朝は対話を始めています。それについてはどう思いますか?」

彼女は一瞬、考えた後、短く答えた。

「アメリカと仲良くするのは良いことだと思います」

それは極めて短い言葉だったが、彼女が予定のない日本人の質問に自分の言葉で応えたのが実に新鮮だった。

帰国後、安倍総理が日朝対話に前向きになっていることを知った。かなり遅れをとった感もあるが、正しい方向だと言えるだろう。

勿論、拉致問題や戦前の植民地支配への謝罪といった双方に譲れない問題は簡単に解決されるとは思えない。今後もそう簡単には物事は前に進まないだろう。ただ、この連載を読んでくれている人々には伝えたい。国同士が関係を築けないからと言って、個人が関係を築けないことはない。そして、関係が築ければ、そこに様々なチャンスが生まれる。特に日本人にとっては様々なビジネスチャンスがある。これは間違いない。

先ずは先入観や政治的な立ち位置を脇に置いて、平壌に行って欲しい。そこで、私が体験した以上の出来事を体験するだろう。様々な人に出会うだろう。そこで、必ず何か新たなことが始まる。

それが結局、国同士の関係にもつながるのだと思う。

第20回に続く

 

 

 

立岩陽一郎

 

 

 

調査報道を専門とする認定NPOを運営「ニュースのタネ」の編集長。一橋大学卒業。NHKで初めて戦場特派員としてイラク、クウェートを取材。社会部記者、1年間の米国留学の後、国際報道局デスクを経験するなど華々しいキャリアを築くも「パナマ文書」の取材を最後に49歳にしてNHKを辞職しその翌日渡米。現在は公益法人「政治資金センター」理事や毎日放送「ちちんぷいぷい」のレギュラー・コメンテータ、ニュースメディアへこれまで培ってきた報道の世界の鋭い目線で記事を提供するなど活動の幅は多岐に渡る。『トランプ王国の素顔ー元NHKスクープ記者が王国で観たものは』などの著書がある。近著は『トランプ報道のフェイクとファクト』。

 

 

 

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