(噓みたいな本当の在日話FBより)
嘘みたいな本当の、愛知での話
『ある女性の話:前編』
今から30年前、愛知に住む友達が、話してくれた本当の話である。
愛知県のある地域に、ある若い女性がいた(プライベートのため地域と名を伏せます)。彼女は日本学校に通い卒業、社会人として歩んでいた。24になった頃、自分の民族の事を知るため、地域のとある在日団体の支部に通い、ハングル語を習いだした。そう、彼女は在日朝鮮人だった。
彼女は本名の朝鮮名では無く、日本人のような通名を使っていたせいか、学生時代や、卒業してからの社会人生活では、差別なく育ち、周りの日本人からも良くしてもらっていた。そんな彼女には、付き合う彼氏がいた。一年前からの付き合いで、素朴だが優しく、いつも彼女思いの人であった。
しかし彼女は彼と付き合うようになり、いつも気がかりな事があった。彼は日本人であり、彼女の国籍は朝鮮だということである。彼女は自分の国籍や家族の事を隠してきた。自分の話をする時は、どうしても朝鮮人としての内容が出てしますので誤魔化したり、彼を家に呼ぶことも無かった。
何故なら当時(1980年代)でも朝鮮人に対する偏見が多く、由緒正しきお家柄の家系は、朝鮮人を嫌がる傾向があった。もし相手側が良くても自分の家、朝鮮人の父母が何と言うだろうか。そして結婚となると…
そんな気持ちをいつも持ちながら彼と付き合ってきた。一年が過ぎた頃、彼女はとうとう、今日で最後のデートとする事に決めた。自分の家や民族、朝鮮人である事を話そうと決意したのだ。そして相手の反応を見る事より、これで別れようと思うのであった。
待ち合わせ場所に着き、彼と会うと、彼女はまず喫茶店に誘った。そして真面目に話を聞いて貰いたいと告げ話しだした。自分の生い立ち、家族、民族、今後の話をし、私は朝鮮人だから、もうこれっきり付き合うのは止めようと告げ、「今まで隠してきてごめんなさい!」と謝り、頭を下げた。
話が終わると1分ほど沈黙が流れただろうか…
彼女が恐る恐る、彼の顔を見上げると、彼はビックリした顔で、見つめていた。そして彼は少しづつ、ゆっくりと彼女に話しを始めるのであった。
「実は今日、僕も別れ話をしにここへ来たんだ。その理由というのが、君と同じで、僕も朝鮮人を隠していたからなんだ。君を日本人だと思い、このまま僕の国籍を隠しながら付き合うのは止めようと思っていたし、もし朝鮮人と言った後、嫌われると思っていたんだ。だから別れる事を前提に国籍の事も、今日、言おうと思っていたんだ。でも正直ビックリしたよ。同じ朝鮮人だったんだね。正直に話をしてくれてありがとう。君も相当、苦しんだんだね。通名を使って隠していて僕もごめんね。そして、これからもよろしくね。」
彼女の目から涙が溢れ出た。彼も泣いていた。
2人はこの奇跡的な出会いと偶然を噛み締めながら、またこれからも付き合う話をした。そしてこの日から一年もしないうちに、とうとう彼らは結婚したという。
to be continue…
「L」