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少し前になるが7月4日、がんセンターへ。
娘が同道してくれた。
診察時、家族の同席を必ず求められる。
医療過誤などで裁判沙汰になることを警戒し、家族の同意のもとに治療を行っていることの確認のためではないかと勝手に思っていた。
娘は、そうではなく、高齢の患者一人では医師の言うことを理解できないのではないかという病院の気配りのせいでしょうと言う。
確かにそうかもしれない。
いや、そうだな、きっと。
T先生、疑ったりして失礼しました。
当方、まだボケてはいない。
医師の言うことはきちんと理解できている。
医師もそれは認めてくれている。
というわけで、一人で来ることも多くなることをT医師に伝える。
糖尿病の数値が著しく改善されたのを見たT医師。
抗がん剤によるS1治療を考えてみますかと言う。
抗がん剤治療担当のk医師の予約を取ってくれた。
当方、目下、糖尿病治療に専念していて、がんは放置療法中である。
先生、あまり乗り気ではなさそうである。
当方にしても、まあ、悩ましいところではあるが、すぐに飛びつくという気にはならない。
とりあえず、k医師の話をよく聞いてから判断しよう。
86歳と6か月。
足の衰えが気になるが、食欲もあり、今のところ日常生活はさしたる支障なく送ることができている。
抗がん剤で苦しむのもいやだよなあ。
どうする、飼い猫<みり>よ。
おっと、これは失礼。
お休み中でしたか。
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稲毛・くまざわ書店で。
「凱風館日乗」 内田樹 河出書房新社
「具体と抽象」 細谷功 dZERO
「恐怖を失った男」 Ⅿ・w・クレイヴン ハヤカワ文庫
「具体と抽象」の奥付を見て驚いた。
出版社の住所が、千葉市若葉区の都賀である。
80年前、当方一家が疎開先の岩手の花巻からひきあげてきたところがここである。
かつては駅はなく、単線ゆえの信号所だったところだ。
今は駅になっているが、雰囲気は昔とそう変わっていない。
こんなところに居を構えているとは。
発行者名に女性の名前が書かれている。
どんな人なのだろうか。
会って話を聞いてみたい。
出版は、デスク一つと電話さえあればできる仕事だ。
大きなビルなんていらない。
ビルなんか売ってしまえ、と、酒を飲んでは叫んでいた昔を思い出す。
この本、2014年初版、2019年27刷。
よく売れている。
数日前の新聞に、同じ著者の「無と有」の広告が出ていた。
がんばってほしい。
不況を言われる出版の世界を活気づける新しい流れを作り出してほしいもんだ。