これ読んでみたら。

 

週末やってきたせがれが本を置いていった。

 

経済学者楠木健さんの「経営読書記録」裏・表二冊。

 

見た目、経済書、ビジネス書である。

 

この類は一切読まないのにと思いつつ、ぱらぱらめくっていたら、内容は楠木さんの読書記録だった。

 

書籍だけではない、映画評、音楽論まで幅広いジャンルを扱っている。

 

当方、書評本は大好き、映画、音楽も嫌いではない。

 

一気に読み進めてしまった。

 

書評を読むとその本が読みたくなる。

 

映画も同じ。

 

文章に背中を押され、ヴィデオショップで何本か借り出してきた。

 

「ヒトラーのための虐殺会議」

「ギャング・イン・ニューヨーク」

「メカニック」

「カジノ」

「終わった人」

「エルヴィス・オン・ステージ」

 

「ヒトラーのための…」がすごい。

 

ナチスは、ヨーロッパの1100万人のユダヤ人を抹殺しようとしていた。

 

有名なヴァンゼー会議はそのため開かれたものだった。

 

映画は、奇跡的に残されていた会議録をもとに製作された。

 

ナチスの高官たちが、ユダヤ人問題の<最終的解決>を図るための計画を、まるで新しいプロジェクトを立ち上げるための準備でもあるかのように、事務的に理性的にたんたんと進めていくのが、なんとも恐ろしい。

 

会議の進行をまかされたアイヒマンの能吏ぶりが、ひときわ光る。

 

映画では、アウシュビッツなどのガス室での殺害を<最終的解決>と言っている。

 

ガザ問題を機に、たまたま読んでいたハンナ・アーレントの「エルサレムのアイヒマン」では、これを<行政的虐殺>と言っていた。

 

組織の中で、人は命じられたことを効率的に、スピーディーに、何の疑いもなくこなしていく。

 

自分がアイヒマンの立場におかれたらどうするだろうか。

 

そんな疑問が、ふと、頭をよぎる。

 

考えたくない問題である。

 

だよな、飼い猫<みり>よ。

 

 

聞いても無駄か。

 

消化の良い柔らかいものばかり食べている。

 

お粥、にゅーめん、フレンチトースト、湯豆腐などの豆腐料理。

 

タンパク質補充のため、魚、卵、納豆、ヨーグルトなど欠かさず食している。

 

おかげで、腹のしくしく感とは関係なく体調はすこぶるよろしい。

 

体力の減退は否めないけど。

 

もうすぐ春。

 

鈍行列車に乗って、桜を見に行きたい。

 

温泉にも入りたい。

 

―― 星月夜酔ひて見知らぬ駅に立つ

             吉田賢一

 

―― 老いの春酒一合のわが命

          市川蘆舟