今回の山登りはフランソワにとっては本当に良い体験であったと心から

皆様に感謝を申し上げようと思いました

杖を突いて昇り降りしたことですれ違う登山者の方々から(頑張って、もうすぐですよ等

たくさんの温かい言葉をかけられその言葉が勇気と力に代わり

折れそうになったフランソワの心を奮い立たせて頂きました

思わず大勢の方々が休憩しているところで立ち上がったフランソワは

大きな声で話し出しました

『皆様から拍手や頑張ってと言う言葉を数え切れないほど温かい声を掛けて頂き

誠にありがとう御座いました その言葉から勇気を頂き障碍者でもこの山に登れた事は

皆様の温かく優しいまなざしでございました 

皆様のお優しさが私の心に響き自問自答しながらやっと下山する事が出来ました

それはここにいらっしゃる皆様のお陰で御座います ありがとう御座いました 

皆様に主の御加護がありますように 本当にありがとう御座いました』

休憩していた皆様から大きな拍手を頂きフランソワは精一杯の言葉で応えたのでした

その後フランソワ達はすぐにホテル方面に向かい

ツリーハウスに行くためで暫らくしてからブナ林やたくさんの木立がひしめく

森の中に入りました

フランソワも幼いころより熟知している庭のような森の中でフランソワは突然

大学の校歌を歌い始めました

大きな声で歌う姿にクリスおじさんは感激して泣きだしてしまいましたが

歌を聞きながら着いた所はフランソワの懐かしい

ツリーハウスでした

その時フランソワは

声を出して驚きました

ツリーハウスが今まで以上に

大きく立派になっていたからでした

『おじさん ありがとう御座いました 

こんなに立派なお家になって

そして外側の丸太が斜めに突き刺さっていて逆三角形のような塀の囲いが

頑丈に作られ中のハウスは下から全く見えません

はやる気持ちを抑えながらおじさんから渡された鍵を持ちフランソワは初めて

塀の中に入りそこでまた大きな声で

『わぁ広いよ~塀の中がここで充分遊べる広さに変わっています』と

解説しながらいよいよ階段を登りハウスのドアを開けました

『わぁ これもすごいよ 大きなお部屋に変わっています 

部屋の中は明るいですよ

暖炉もあります すぐに上がってきてください』

フランソワは大声で叫びました

『じゃぁ お先に登ります』

父親と母親がゆっくり登って行き全員が登り終えた所で大歓声が起こりました

このハウスにはベッドも設けられテーブルにソファーまでも付いていて

床には絨毯が敷き詰められておりました

窓にはガラス戸が付き明るい陽射しが射し込んでおります

クリスおじさんは急いで暖炉の石炭を燃やし始めました

前もって枯れ葉を集めて暖炉の底に押し込まれていたせいでしょうか

炎はすぐに立ち登り煙と共にぱちぱちと音を出し始めたところでふたを閉めて

ソファーに戻って参りました

暖炉の上には鉄の平面が保たれそこで簡単な料理や温めたりできるように

なっておりました

『では昼食を頂きましょう 今の時間は12時58分ですがさぁ家内が

美味しいサンドイッチを作りましたので頂きましょう』

ヤカンに移された紅茶は暖炉の上に置き

素早く用意されたお弁当はおかずも付けられていてフランソワは大喜びです

テーブルには棚から出してきたカップが皆の前に置かれ暖められた紅茶が注がれました

ベッドもソファーも全部手作りで作られた愛情こもった品々にフランソワは

何度もお礼を伝え美味しいお弁当を頂きました

ベッドには布団や枕も置いてあり机と椅子までも揃っております

フランソワが一番驚いたのはやはり

暖炉の存在で御座いました

クリスおじさんは登ってすぐに

暖炉の石炭に火を入れしばらくしてから

石炭は炎を上げてメラメラと

燃え出し温かくなったハウスの中は

快適で御座いました

窓から外を覗くと煙突から少し煙が出ております

こんな素晴らしいハウスに感動したフランソワはレンヌに帰るたびに

ここに来るとはしゃいでおりました

『パパもママも遊びに来てください たまにはこのハウスで寝るのも

素晴らしい体験が出来ますよ ベッドがキングサイズに成っているのには

驚きましたよ それも総てが手作りですから嬉しいです
 
クリスおじさん アカネールおばさんありがとう御座いました』

『お坊ちゃまがこんなに喜んでくださる事が爺にとっては泣きたいくらい

嬉しい事です なぁアカネールそうだろう 

私達には子供がおりません

お坊ちゃまが孫のように勝手に思い込んでおります お許しください』

『クリスさんこちらこそいつもお世話に成りっ放しでお礼を言うのは

私達です 本等にありがとう御座いました さぁ頂きましょう
 
美味しいサンドイッチと温かい紅茶を』

『では頂きまーす』

フランソワの声で楽しい昼食会が始まりました


                                ・・・つづく