「こぼれ話」 不在の落胆とストレス | フリーランス・ドライバーという働き方

フリーランス・ドライバーという働き方

~入ってみないと分からない業界のお話~

最近ヤマトの時間指定や料金の改定など、宅配関連の話題がクローズアップされています。

(2017.2.27 東洋経済ONLINE より)

 

佐川のドライバーの、「荷物に八つ当たり」動画も大きく取り上げられましたよね。

あれは、絶対にやっちゃいけないことではありますが、宅配経験者なら気持ちが分かることです。

 

今日は、その辺にまつわる話をしてみたいと思います。

 

まず、佐川の動画ですが、あれは明らかに不在ですよね。

配達できなかった荷物を大量に持ちもどっています。

 

しかもあのマンション、エントランスまで階段ですね。

スロープのない階段は、配達ドライバーにとって最悪です。荷物が多いと、代車も階段で上げ下げしなければなりません。

 

エレベータのない団地の5階に階段で上がることだって珍しくありません。

 

 

おそらく、あのマンションの顧客の不在は毎度毎度のことなのでしょう。

何度も何度も、不在の荷物を手間と時間と体力を使って階段を行ったり来たりしていたのでしょう。

 

積もり積もって、その日何かをきっかけとしてキレてしまったのでしょうね。

 

もちろん、いけませんよ。荷物に当たっちゃあね。

 

せめて地団太踏んで叫ぶくらいで止められればよかったんでしょうけど。でも、気もちは分かります(T_T)

 

お客さんは、わざと不在にする場合もあるんですよ。

宅配業者を装って悪さするケースもあるみたいなので、防犯の意味なのか。

 

不在票を確認してから再配達させるんですよね。

再配達させることに、なんの抵抗もないんですね。

 

でもね、配達員は配ってナンボなんです。

再配達は「タダ働き」なんです。

仕事ではあるんですが、お金にならないことを、何度も何度もさせられてるんです。

 

それもね、自分で指定した時間帯に不在なんですよ。

配達員は、その時間に間に合わせるよう、百数十個の荷物をやりくりして、その時間に届けているんですよね。

 

それなのに、指定した時間帯に居ないんですよ。

これが現状なんです。

 

たとえば、アナタが仕事で他の会社で打ち合わせがあったとします。

指定時間に行きました。担当者が不在でした。約束していたにもかかわらずです。

 

そして、別の時間を約束しました。

アナタは自分のスケジュールを調整して、その時間に行くと、また不在でした。

相手は悪びれもしません。

 

基本的に、これと同じようなことを毎日毎日何十件も味わっているんです。

 

それにね、不在票を書くでしょ?あれ、手間なんですよ。

お客さんが居て、荷物を渡せた方が時間もかからないんです。

 

手間と時間がかかったうえに「タダ働き」なんです。

ストレス受けない方がおかしいでしょ?

 

拍車をかけているのは、ニュースでも取り上げられているように、アマゾンをはじめとする通販荷物の増加ですね。

 

通販は確かに便利です。私もよく利用します。

でもね、これって配達ドライバーがいるから成り立っているんですよね。

 

センターからセンターへのトラック輸送は、将来的には自動運転で人員が必要なくなるかもしれません。

 

でも、センターから個々のお宅へ配達するのは、自動運転じゃ無理なんですよ。

誰かさんが言っていましたが、ドローンも無理です。荷物は1件や2件じゃないんですよ。

 

 

電線だらけの日本を何百何千とドローンを飛ばすんですか?誰が何人でコントロールするんでしょう?不在だったらどうするの?コストは合うの?

現段階では、現場を知らない人の机上の空論です。

 

日本中で、何千何万という配達ドライバーが、一人100~200くらいの荷物を、各々が配達してるんですよね。人間じゃなきゃ無理ですよ。それもこまわりの利く軽自動車でね、。

 

 

それが崩壊の危機に直面してきたということなんです。

荷物の多さ、不在などによる労働の大変さから、配達ドライバーが悲鳴をあげています。

ドライバー不足になっているのです。

 

配達ドライバーがいなくなったら、荷物届きません。

最寄りの取扱所やコンビニに取りにいかなくてはなりません。

 

そこで、ヤマトが時間指定枠をゆるくしたり、再配の有料化を検討しているわけですよね。

 

ドライバーにとっては、「当然のことを、ようやくかい」と言いたいところでしょうが、そうなれば宅配ドライバーのなり手も増えるでしょうし、改善も見込めるでしょう。

 

ただし、「お客が理解を示せば」ですけど。

 

今まで、当然として受けていたサービスが有料になるのですから、お客は面白くありませんよね。

 

在宅していて、寝ていて気付かなかったとか、トイレに入っていたとか、それなのに不在にされたとか、クレームやトラブルも多く発生するでしょうね。

ホントに不在だったのに、「居た」と言い張る人も出てくるでしょうね。

 

 

でも、年月が経てばそれも浸透してくるんでしょう。

そもそも、時間指定や当日再配など、今の細かなサービスはほとんどがヤマトが始めたことで、他の宅配会社はそれに追従せざるを得なかったことです。

 

で、大変になっちゃったからゆるくする。

 

当然、他の宅配会社も追従するでしょうね。

なにせヤマトスタンダードなので。

 

 

宅配ドライバーは、荷物をお届けします。

お客さんも配達してもらうのは当然です。配達料金払ってますからね。

 

でも、それって1回分なんですよ。

もし不在したら、再度来るドライバーさんに「タダ働き」させてるっていうことを覚えておいてほしいです。

 

だから、「なるべく不在にしないようにしよう」と思ってくれるだけで、かなりの割合でドライバーさんの負担が減ると思います。

 

もう社会現象になっていますから、一人ひとりの意識が大事だと思うんですよね。

そこの辺、よろしくお願いします。

 

 

ちなみに、うちの会社、テレ朝の取材受けたんです。これ関連でね。

先週土曜日の朝の「ニュースリーダー」にうちのドライバー出ました~。

次は、その様子など書いてみようと思ってます。