2018年6月石川 三平

◆5月12日付けの読売朝刊、橋本五郎氏の解説記事を読んでほしい。国会の森友・加計問題への言及である。「えこひいき」や「嘘をついているのではないか」に及んだ後もっとも問われているのは「正直さ」ではないのかとしている。後、高橋是清の言を持ちだし「職業なり職務に成功する根元は何かと申せば正直という事である」としている。安倍内閣は正直ではないというのである。橋本五郎さんは読売新聞社に所属している。自分の会社のリーダーたちに自分たちは「正直か」と問いかけているのではないかと読んだ。まさしく現実は押し紙という「嘘だらけ」だからだ。世間では日大アメフト部の会見問題で大騒ぎだ。この根源も「正直」問題。「いじめ問題」も同様だろう。中年は幼き頃に学んでいるはずだ。米国の初代大統領のワシントンと桜の木の教え。「正直さ」の大切さを。日本人の根源の美徳のはずが、「忖度」とか「自分の地位保全」が「正直」に優先してしまっている新聞業界を憂う。

◆会社の決算期が到来し、新聞紙面が会社の人事異動記事で賑わう。いつも思う事なのだが、この会社はかくも大きくてこんなに発表対象の人が多いのかということだ。昔、田舎出身の僕は、地元新聞に東大合格者が名前を掲載されることを知り、親に見せたかった。(結果は失敗。)ピラミッド社会の悲喜劇、馬鹿な為政者がつまらない者を局長にするとその下で再悲劇が現実化する。そしてその裏には「忖度」「地位保全」の原理が働く。こんなこといつまで続ける気か。企業が全体で動きいい製品を世に供給する時代は過ぎている。消費者の財布は固く、付和雷同的には開かない。またしてもY新聞社がやめるといっていた読者紹介運動を今年もやると耳にした。そこまで知らないというなら、どういうシステムで紹介カードをお店が作ってきたのか概略を記す。何店かでグループを作る。場所が離れた店が入っているほうがいい。各店同数の紹介数にするため自店の予約カード(既にカード化してあるもの)から指定の入り月分を選び出し、グループのマトメ人に連絡、マトメ人はグループ店から来たリストを同数入れ替えてグループ店に本社提出用としてリストを戻す。もらった店に発生するカード料負担も紹介カード料も同じ金額で差額なし。後は提出時期だけ。すべて既存のカードなので不良なし。いくらでも揚げられる。被害もなし、というわけだと思う。一部も新勧は無い。当然、一部も増えない。揚がった、揚がったとお祝い飲み会までやる会社。お馬鹿さん。

◆ウェブに負け続けている紙新聞だが、押し返す手もないではない。「紙面拡張」だ。お金もかからず、現行の紙面の説明・解説を拡張の手法とする。すでに十数回、新聞社として統一紹介運動を展開しているので、どの社員も友人知人にアプローチしたことがあるだろう。ここで問う。紙面の内容だけ話すことで、取っていただけた経験があるだろうか。僕は一度だけ新入社員の研修時、YC小石川でのセールス研修で一軒だけ揚げた記憶がある。記者職の諸君もみんなゼロパン。揚がらないのだ。紹介運動だって「これあげるから新聞取ってくれない」方式。こんな方式知らない記者職人でもこうなる、悔しい経験である。販売局配属後もYCで紙面拡張に何度もトライした。自身新聞をしっかり読んで、本もしっかり読んで、出来そうと踏んだ優秀YCに持ち込んだ。所長さんは了解してくれたが、一緒にタタク従業員さんは猛反発。完全な失敗。反発を覚悟して記すなら日頃からの僕の発言「新聞屋のレベルは低い。所長さんで大学卒はごく一部」。まして一流大学での編集記者職の社員でも今の読売新聞を紙面で拡張できる人はいない。僕でもできない。反論できる人を待つ。

◆担当員になって5年ほど過ぎたころ、当時の局長は丸山さんだった。とにかく人事異動が多く、ひどい人はたった3か月で異動するほどだった。退社後、当時丸山さんの秘書だった方と食事する機会があった。その時そのことの理由を尋ねた。「あの頃、あんなに人事異動が激しかったのには何か理由はあるのですか?」答え「当時、丸さんとの話、『担当員、部長はその地区に長く置くと、必ず、お店との癒着が生まれる、そうさせないため短くともどんどん替えないと残紙ができる』ということだ」。と教えてくれた。そして数か月後「大川の穴洗い」と号令し、無罰で紙を切った。これは務台さんの指示でもあったとも。現在、どの店も押し紙残紙請求で経営出来ないほど苦しんでいる。その後の社長は誰だ?先月号で書いた押し紙切りの具体策も無視された。逃れられない「新聞代値上げ」が目前に。折込収入の落ちが9の9掛けで続く限り現行制度で値上げディフェンスを取る方法は一つ。従業員に合法的給与制度にして臨むことだけ。週40時間労働で深夜労働等の割増賃金を正確に支払う給与制度にすることだ。社会保険加入は当然。新聞屋の従業員は「お金・正当な制度」に納得してくれる。正しいのは世の中の動きである。