◆業界では6・8危機といわれている。続くのはビッグバン。6・8とは業界でいわれる拡材規制の意味ではない。6月、8月が経営危機(お金のショート)が発生すると最も予想される月というものだ。首都圏の新聞販売店の間で急速に広まっている。一昨日も昨日も旧知の店主との会話の中でもそれが十分に感じられる。各系統発行社は4月納金をそれぞれ(従業員賞与引当金の前倒しはいただけない策だが)の施策で乗り切ったようだ(そう見えるだけで内実は火の車)が、店主は「お金の工面」のことばかり考えている状態で、すっかりモチベーションを無くしている人が多い。そこに多店舗経営の有名な販売店主の数店の自廃の話を聞き、さらに不安が増幅。ほとんどの全店主が自己の会社(会社の借用金も店主自身の個人保証)の借入金状況を確認。「これ以上の借入すべきか、店を辞めるべきか」で悩む状態にあるのでは。

◆今回の震災による折り込み入の激減は2ヶ月で一店500万円にもなる。当然ながら多店舗経営店ほどその赤字の絶対額は大きい。6・8月をウルトラCで乗り切ったとしても、恐怖の秋が待っている。「年間目標」なる言葉が飛び出し、旧型販売手法しか見いだせない集団はまたまたの「嘘の経費」は見つけ出すことができない。せっぱ詰まった嘘増紙は今度は命取りになる。「商売は紙ではなく金だ」ということを思い知ることになる。悪夢の連鎖はこうして始まる。AだろうとYだろうと、経営は本当に逼迫してきた。本社も自廃多発が起きれば、その対応に苦慮せざるをえない。なんせお金に余裕ある人はいない。廃店し隣接にくっつける方式も今回は効かない。折り込みが減り、儲からない区域は貰いたくないし、お金も無い。じっとしているのが精一杯。後任者がいない。独立で出たい人はいるが、お金がない。既存の店主も怖くて保証はしない。残る方法はいよいよ「共配システム」の登場であろう。

◆特に都内のAYNを意識している。AYも店主は大店であろうが、一店主であろうが「今回のお金問題には塗炭の苦しみ」を感じているはずだ。僕のブログには専業さんから「所長は未だに高級外車を乗り回している」とかの批判もあるが、実情は「それどころではない」状態と聞く。AにもYにも状況は同じ。壁になっているのはどちらも発行社の頭の固さ。紙の販売網維持するため一施策であり、某社の政変は聞くが、AYNつながりは前任時に出来ている。社にも店にも体質も併せて確実に変革する大チャンスともいえる。複合化・合配化は新聞販売店に社会からの「クレジット(信用)」を得る最後の機会でもある。いくら今までの旧手法で「地域から信頼される店を目指す」としてきてもうまくいっていないことは店主はみんな知っている。「紙のブランド戦い」はもう止めよう。今日のY紙に、「

被災地の方々に新聞をお届けする義務」は報じられていたが「被災地の方々は情報を届けてくれる新聞は信頼しても、読み比べてあっちがいいこっちがいいとは誰も思っていない」ことが抜けている。それよりか僕のブログへのコメントで「新聞の記事そのものを信用していない」というのも出始めたことの方が真実の声だと素直に耳を傾けるべきだ。

◆この数ヶ月は全く予断を許さない。折り込みは回復傾向にあるとはいっても、前年並みになることは決してない。そしてこの数ヶ月の大赤字の現金はどこで補填するのだろうか。見通しが立たない店が多い。従業員給与確保前提での全ての支出見直しがまだ足りない。消費税使い込みの税未納問題が出ているが、こんな店は論外で助けられない。従業員の賞与も一部カットはあり得るが、「総カット=無し」ではない。読者の囲い込みの発想からスタートした「ポイント制度」はただちに見直し対象としたい。発想した僕自身、「折り込み入の高いのを、現読への還元と称した拡材発想」だと反省している。これはあまりにお金が掛かり過ぎる。ホームページやミニコミの経費。いいものにしては掛かり過ぎていないか。安価なものにならないか。社会からのクレジット獲得のために提案したい。「店独自で安くいいものをお客様に買っていただく物品販売の会員システム、会員(長期の現読の方が多い)の方にはほんの少しだけ安く買える権利が付く」。この時期の自分の動きが自店の正否を決する、と肝に銘じ動いて欲しい。

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