◆どんどん店数が減っていく。どの系統においても小規模店の自廃、隣接店への吸合併、区域調整によるエリアの再編(結果統合)が続出している。売り上げの右肩下がりが急速に進行するゆえんのことだろう。販売店にとってサバイバル(生き残り)戦争ということになる。しかしこれが経済事象だけが原因と思われないふしもある。50年以上にもなる各社の専売制に安住してきたが為、本社との取引に旧型のビジネスモデル以上の旧型の思考に陥っている店主達の「ついていけない」という以上の考え方の「劣等感」の存在があるのではないだろうか。

◆新聞社会(本社内も含め)には考えられない序列評価というものがある。「川上(新聞の編集)が偉く、下流に行くほど地位が下がる」。社会からも昔から「エリートが作り、ヤクザが売る」などというとんでもない間違いの噂までたったことがある。近代の一般流通の世界では消費者の声に一番近い部門が会社では一番大切な部署であるという「消費者本位」が定着しているのに、新聞業界では旧態依然として暗黙のうちにこの感覚が残っている。現役時代この感性から「企業が生き残るには買ってくれる販売店に一番近い立場にある販売局員の能力を高めなければならない。下流から上流を改革するその為に『勉強をするグループ』という会を立ち上げ」15年以上人材育成を実施し、大きな成果を挙げたが、旧勢力に妨害され雲散霧消してしまった。

◆実はこの現象が続く原因の一つが販売店側にあると言わざるを得ない。店主の中には「俺は学がない」と公言する人もいる。では学とは何か。今も記事を書く編集人の中には学歴はあるが、実際には学が無いのではと思える人もいる。日本では「大学に入るまでは懸命に勉強するが、入ってしまえばちっとも勉強しない」というのが定説だ。企業に入っても同じで忙しそうに見えて、自分で努力勉強している人は実は少ない。つまり学がある人はそんなに多くない。何故か店主は自分で努力して学ぶ人は少ない。独自に経済学・政治学・歴史学・自然科学etc.を学べばいいのではないか。

◆「日本人が劣化している」ということの原因は同じだ。「尊敬される親の背中」を持つために刻苦勉励することが欠けている。動物の本能は生存と子育てにある。子に尊敬される背中を作ることは親の責務であり本能である。それをやらないのは現実からの逃避でしかない。「買ってもらうという作業を行う」売る人がいなければ収入がなくなり、企業は成り立たなくなる。売る人こそ一番優秀でなければならない。稚拙であっても誰でも原稿は書ける。訓練すれば上達する。しかし物を買ってもらう技術はなかなか上達するものではない。現に紹介カードを編集記者は揚げられない。学が無いどころか本能的スキルは高いのだ。売り上げは与えられるものではなく、創り出すものである。

「朝日」ともあろうものが。/烏賀陽 弘道
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