◆前回「カッサンドラの悲劇」について述べた。「組織の内部にいてその恥部を指摘し、改善策も提案した人物が社長からうるさい奴だと無視されるというものである。30年も経過し、若かりし頃の若かりし行動(かなり無謀ではあっても)を検証してみるとその善悪も判定しやすい。企業や組織の役員改選期にあたり周りをみてみると、自身58歳になった今、それぞれの組織で役員(局長)や○○会会長になった人が多い。マスコミだけでも3人以上局長様になった。経営陣の一角としての組織のリーダーたる立場であろう。

◆○○会と接触する立場にいた小生は「会社に属しながら、業界全体の益を考えるため、上司に苦言を呈することが多く(例えば表彰状は止め感謝状にすべきとの提案をして1対10で否決されたこと等)、心の広いリーダー以外からは鼻持ちなら無い奴だ」と思われていたと想像できる。時代とともに人々、会社の価値観は変化するが、まるっきりの変革には必ず抵抗がある。上司全てが右と言っているのに左が正しいと主張するのには勇気がいるが、店の生死に係わる問題には完全と抵抗主張してきた。判定基準は「ヤル気と善悪」である。罵声を浴びせられようが、つばを吐きかけられようが、頑と引かない。この人物の将来のために。今はそうでなくとも必ず彼を必要とする時代がくる。それは業界にとっても会社にとっても益のあることだと思う信念だ。

◆当の本人たちは当然今でもわかっていてくれ、何かにつけて連絡相談をくれる。だがその言には一応に「やりずらい世になったものだと」入る。その時こそ古い言葉だが「原点を忘れるな」のアドバイスをする。当時自分と一緒に辛酸を舐めた時が原点で今の自分があるのではないかと。そしてその時の思いを今辛酸を舐めている人たちに「こうすればこうできる道もあるのだ」と話してあげることが自分の使命ではないのかとも。古来からの日本の故事は誇るべきものである。いつの時代になっても「子は親父の背中をみて育つ」ということを忘れてはならない。

◆現役の担当員諸君。今の君たちの店へのアドバイスで店主諸君は満足しているのかどうか自己検証してみて欲しい。それは取引していただいている商売人の心を動かすものであるのか。そして貴方たちは取引する両側の陣営のためになる人材を今創り出すことをしているのか。このことの遂行には反論はないはずである。そのことを成すためには、多くの人々との交流が不可欠であり、素直に聞く耳を持ちプラットフォームの創設が必要であろう。なぜならそのプラットフォームの交差点から新ビジネスモデルが生まれるのだから。いずれも身を挺しての行動になることは間違いない。

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