2割、3割当り前。家電量販店の安売りの話ではない。新聞業界の販売店の残紙の話だ。そしてこの話は業界に携わる者の間では「常識」になっているという。販売店との取引の中で、販売店を育て強い販売網を作る為の一番大事な法則=「自由増減」を放棄し、強制・無理という非現実的の施策の結果、上記の状況を招いてしまった。販売店はぎりぎりの攻防を忘れてしまい、責任を放棄、他に転嫁してしまい、「いつか誰かが直してくれる」とばかりに、生き残るための経費削減ばかりに奔走。競争経費の急激な削減は中味の急減を招く。全く解決策の無いデフレスパイラルに陥っている。全くの悪循環である。

◆こんな時「絶対総回至上主義」を打ち出す輩が出てしまっている。

この法則は時代錯誤だ。そしてこの法則を持ち出すのは卑怯だ。経済学の知識も権力も無い販売店主に向かって話すことではない。新聞購読者が若年層ほど極端に減り続けていることは周知の事実。加えて日本国の少子化の進行も事実。増える要素は無い。さらに業界では過去の自分の首を絞める拡張行為の非コンプライアンスの是正が勧告され、併せて拡財規制、顧客の消費選択の厳しさの進行と市場は冷え切ってしまった。そのせいでプロセールスマンも多くは逃避、良質のセールスは激減。間違っても需要に応じられる状態にはない。第一店主が自主的に日程を求め、買う状態にない。つまり上記方法は「経済学的に需要が無いのに無理やり過剰供給をしようとするための詭弁」でしかないともに「供給も裏付けのない架空のもの」ということになる。

◆この問題の大本の基本を考えて欲しい。販売店が必要とするのは「売り上げと利潤」である。これを「紙」だけで求めようとするから非現実的になる。どうせ新聞のビジネスモデルそのものを転換しなくてはならない事態が来ているのだから、逆にこのことを切っ掛けとして動かす動機にできないか。それが「減紙目標の設定」である。紙による売り上げと利潤の減の分、他の手法、手段、商品で稼ぎ出す目標を立てる、その遂行のため訪店で協議する。これは店も望むことであり、事例が示されれば遂行は得意なはずだ。小生が仄聞するには、千葉県や埼玉県の販売店では「区域内では何でも売る」スタンスですでにかなりの売り上げ・利潤を出している店もあると聞く。営業担当の社員にエリア内に様々なものを売ってもらい、それにかなりの売り上げ手当てを支給する方式だ。「売り上げ獲得額相当手当て」。決してノルマは無い。カード料よりも彼らは喜んで売っているという。当然のこととはいえ、時代状況は進化している。

◆気をつけなければならないのは、「広く多くの店を募って組織作りをしてからやる」というキレイ事方式は絶対ダメだということである。店は自分の地盤にしか経営の責任を負わない。つまり経営基盤の異なる他店と一緒には商売していないということである。その店がその店のエリアで独自に新商品を「これでもか」と売ることを担当員と手を携えてやれないかということである。その前提状況は熟している。販売店が望む仕事で需要が生まれる。なぜなら販売店の本音は商売であり、その販売店が大いに動くことでその取引相手である新聞社も生きるのが原則。納金の多少の減は新聞社も新たな商売で補填し、発展するのが当り前ではないか。その為に高賃金の人材を多く抱えているのであろう。

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