●さらばユーロ
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11104672672.html
三橋さんのブログ
アメリカとイギリスが、事実上、ユーロに「決別」を伝えました。
『「もう米国民は関わらない」迷走欧州に米報道官 IMF資金供出も否定
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111210/amr11121021020005-n1.htm
カーニー米大統領報道官は9日、欧州連合(EU)がまとめた危機対策は不十分との見方を示すとともに、国際通貨基金(IMF)への資金拠出にも応じないと明言した。
EUが財政規律強化へ新協定を打ち出したことに、カーニー氏は「進展の兆しはある」としながらも「一層の取り組みが必要なのは明白だ」と強調。EU新基本条約制定やユーロ共同債で合意できなかったことに不満を隠さなかった。
一方、米有力シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のエコノミスト、デスモンド・ラックマン氏は「EUは欧州で広がる信用危機への
処方箋を示せなかった」と分析。EUがIMFへ最大2千億ユーロの融資を決めたことにも、ブルッキングス研究所のダグラス・エリオット研究員は「市場を納
得させるには不十分」とみる。カーニー氏も「米国の納税者がこれ以上関わる必要はない」として、米国はIMFに拠出しないと指摘。「欧州が解決すべき問題
だ」と突き放した。(後略)』
『EU財政合意「幸運を祈る」、蚊帳の外の英首相-スウェーデン追随か
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LVXI730D9L3501.html
キャメロン英首相は、ユーロを救済するために主権を犠牲にすることを拒否し、財政規律を強化する欧州諸国の合意に参加しない道を選んだと語った。
キャメロン首相は、欧州連合(EU)の合意に伴う規制から金融取引の中心であるシティー(ロンドンの金融街)を保護する手段を確保することがで
きず、フランスのサルコジ大統領やドイツのメルケル首相と袂(たもと)を分かつ結果となった。英国のほか、場合によってはハンガリーとスウェーデン、チェ
コが新たな財政規律の枠組みの外にとどまる見通しだ。
首相はブリュッセルでのEU首脳会議の夜を徹した協議の終了後、記者団に対し、「提案内容は英国にとって良いものではなかった。彼らだけでしたいようにやらせる方がよい。幸運を祈っている」と突き放した。 』
結局のところ、ユーロの問題を解決するには、二つしか道がありません。
(1) ギリシャ、ポルトガルなど、「経常収支赤字」「対外純負債」が延々と続き、ユーロに加盟している限り財政危機を沈静化できない国々を切り離す。(ギリシャなどに独自通貨を導入してもらい、あるタイミング切り替えるしかないでしょう)
(2) ユーロ共同債を発行し、さらにECBが国債買取枠を増やし、「ユーロ全体で」危機を沈静化させる。すなわち、昨日もどなたかが仰っていましたが、
「ドイツが『地方交付金』のノリで、ギリシャなどの国に自らの税金を注ぎ込み、救済する」
上に、ECBが「地方債」を買い取るノリでギリシャ債などを買い取り、長期金利を抑え込まなければなりません。ECBが各国の国債を買い取る
と、各国のインフレ率が急騰する可能性があります。均衡財政至上主義のドイツや、ユーロという通貨を「愛する」ドイツ国民は、財政赤字が増え、ユーロの価
値が下がっていくのを認めなければなりません。
一応、現在のユーロ諸国は上記のうちの(2)の方を推進しようとはしています。
ところが、今回のEU首脳会議で決められたのは、「財政規律強化」のみで、ユーロ共同債導入も、ECBの国債買取増大も決められませんでした。ECBに至っては、バイトマン総裁が、
「税金を各国に再分配する任務は明らかに金融政策の中にはない。国家の債務が中銀を通じて資金手当てされることは引き続き条約で禁止されている」
と、ECBの国債買取増大を明確に否定してしまいました。
結果、まずはアメリカがユーロを見放し、IMFへの資金拠出を求められても応じないことを明言しました。結局のところ、IMFは「救済できると
ころ」しか救済しません。すなわち「助かるところしか助けない」のがIMFなのです。アイスランドの危機の際に、IMFがなかなか緊急支援に応じなかった
のは、「助けられるかどうか不明」だったためです。
今回のアメリカの決断は、
「ユーロは自らを救済することができない」
と判断したに等しいわけです。
さらに、イギリスのキャメロン首相は、EUの新基本条約に、
「(独仏が主導した)EU新基本条約締結は英国の国益には合致しない。不参加は厳しい決断だが、正しいものだ」
と、事実上の拒否権を発動しました。
理由は、新基本条約が含む「財政規律の違反国に対する自動的制裁発動」などが、英国の主権を侵害するものである(実際、そうだと思いますが)と判断したためです。
何というか、結局のところユーロとは「各国の主権」の問題であることがよく分かります。各国が主権を侵害されても、得るメリットが多くなければ
成立しえないのです。ところが、ユーロ圏の各加盟国の経済モデルや発展段階、国民所得はバラバラなので、メリットが一致することはまずありません。(ドイ
ツ、フランス、ベネルクス三国くらいならば・・・)
アメリカ(IMF)が「半分」見捨て、英国が「付き合っていられん」と距離を置き、各国が「主権」の一部を放棄することで成立していたユーロという社会実験は、いよいよ最終段階を迎えたように思えます。
●危機感の差が顕在化したヨーロッパ
http://blog.livedoor.jp/nevada_report-investment/?p=2
ヨーロッパ危機でドラギヨーロッパ中央銀行総裁と金融市場との間です危機感の差が顕在化してきており、大方の専門家が『最後の段階で解決するだろう』と思っている方向とは違った最悪の事態に突入する可能性が出てきています。
『時間稼ぎ』もそれほど多くの『時間稼ぎ』出来ない事態になるかも知れず、このまま《メルトダウン》に向かうかも知れません。
《メルトダウン》はどのみち避けられないものですが、それでもある程度時間稼ぎできるのであれば、まだ対応も出来ますが、このままメルトダウンに突入すれば、暗黒のクリスマスになるのは避けられません。
最後の最後までヨーロッパ首脳が対処する事を期待するしかありませんが、リスク管理上、最悪の事態を想定した対応をとる必要があると言えます。
●首脳会議と緊急渡米につきまして
週明け月曜日より【ダイヤモンド】・【稀少金貨】購入及び【オークション参加】のために、ニューヨークに行くことになりました。
今回のヨーロッパ首脳会議では、再度先送り策をとりましたが、イギリスとユーロ圏の亀裂が決定的になり、今後、ヨーロッパはバラバラに動くことになります。
また、ユーロ圏は統合を決めたマーストリヒト条約合意の時に決めた財政赤字GDP比3%基準を今頃強化しようとする動きを出したきましたが(26ヶケ国)、現在、3%を守れない国が<すべて>であり、この合意案が通れば、ユーロ圏には一国もいなくなります。
しかも、この合意案は各国が来年3月までに批准・署名する必要があり、ドイツですら選挙で与党が敗退を続けている今、そう簡単には批准など出来るものではありません。
即ち、今回の首脳会議で決められた基本は3月までの「時間稼ぎ」となったもので、この点では金融市場はそれまでは「安泰」となりますが、ではそれまで危機は封印されたのでしょうか?
答えはNOです。
今回の合意を見れば、IMFへヨーロッパ各国が2000億ユーロ(21兆円)を融資し、これでユーロ圏安全網を作るとなっていますが、金額はさておき、なぜわざわざIMFに21兆円も融資し、そこからユーロ圏が融資を受けるというややこしい仕組みを作ったのか、なのです。
自分たちでは何も出来ないので、IMF傘下にいれる国をIMFに認定して貰い、その際に必要な資金(21兆円)は自分たちで負担しますよ、となっているのです。
21兆円をつけた「丸投げ」となっているもので、これは究極の責任放棄となります。
また、肝心のヨーロッパ安定化基金は1兆ユーロへの拡大を目指していましたが、結果的に資金が集まらず、とん挫しています。
日経報道では以下のような専門家の意見を掲載しています。
『危機解決は容易ではない』
『ECBは国債購入必要』
危機は先送りされたものですが、その先送り内容も、実態は何もないもので、このような内容では1週間もしない間に次なる大きな危機が起こります。
市場は悠長な先送りに「付き合えない」となるからです。
●崩壊への道(ヨーロッパ)
今回1兆ユーロへの資金拡充が見送られた背景につき、少し専門的になりますが、解説させて頂きます。
この安定化基金はルクセンブルクに設立された【LLC】であり、日本語で言えば有限会社のような組織となっており、この有限会社の信用をつけるのがユーロ加盟国となっているのです。
そしてユーロ加盟各国がそれぞれ決められた資金を負担することになっているのです。
そこで疑問が出てきます。
では資金援助を受ける側はどうなるのか?
今回で言えばギリシャ、アイルランド、ポルトガルですが、これら3ヶ国はユーロ加盟国であり、負担する義務を負うことになりますが事実上負担は出来ません。
ギリシャ 負担額 218億ユーロ
ポルトガル 負担額 195億ユーロ
アイルランド 負担額 123億ユーロ
この基金の総保証額は7800億ユーロとなっており、支援を受ける上記3ヶ国を除外すれば保証総額は7200億ユーロまで減少し、さらに1400億ユーロを負担するイタリアが仮に支援を受ける側に回れば残りの保証総額は5800億ユーロにまで減少します。
また実際にはこれだけの保証ができるだけの体制にはなっていないのです。
(保証の上積みを行っているからです。架空保証と言っても過言ではない内容になっています)
さらに問題はこの基金は年利3%で資金を借り入れ、6%で貸し付けるという仕組みになっており、仮にフランスがトリプルA格を失えば、この基金が3%で借り入れるという前提が崩れてしまうのです。
今ECBがイタリア国債等をものすごい勢いで買い入れており、なんとか国債利回りを6%以下にしようとしているのも、この貸し付ける金利が6%と
なっているからなのですが、スペイン国債までもがこの6%になってきており、このままいけばスペインまでも援助を受ける側に回る事態になればスペインの負
担額は925億ユーロであり、残りは5000億ユーロを切ることになるからなのです。
これで1.5兆ユーロを超えるイタリア債務危機を乗り切ることは不可能なのです。
『机上の空論』とも言える支援策で先送りするのも時間が残されていない理由がここにりあるのです。
☆
アメリカに続きイギリスもユーロを完全に見放した。
大前研一は日本は60兆円出せばヒーローになれるとかボケたことを言っているが現実はこれ。
て言うか欧州で自前で100兆円すら用意出来ないのに、日本が60兆出せとかどういう思考をしてそこにたどり着いたのか教えて欲しいぐらいだわ。大学生でも恥ずかしくてそんなことを言えねえよ。
それにしても最近はどんどんと欧州がバラバラになってきているな。
欠陥通貨ユーロをまともなものにしようとするには財政政策も共通化する必要があるのだが、さすがに各国ともにそこには踏み込めないでいる。
そりゃそうだ、それを手放したら国が国でなくなるし、政治家の存在意義がほとんど消失するからな(笑)
政治家の最大の仕事は集めた税金等をどう配分するかを決めることだ。
そして「金」を扱うがためにそこに権力が生まれる。
この税金の分配についての権限を奪われたら政治家の価値は暴落する。
金融政策が先に統合されたのは、大抵の場合金融政策は政治から独立しているため、国家から切り離されても政治家に痛みが少なかったからだとおいらは思っている。
だが財政の分野についてはモロに政治家の領分なため、必死の抵抗があるのだろう。
イギリスだけじゃなくいくつかの国も条約改正には反対しているようで、もはや欧州として統一した対策を打ち出すことは不可能に近い。
今後再びイタリアやスペインなどで国債が暴落するのは確実であるが、さらにフランスなども国債格付けが引き下げられる可能性がぐんぐん上昇している。
特にフランスが格下げを食らうとこれまで議論されていた救済スキームが根底から崩壊する。
そこまで追い詰められてようやく妥協がされるかもしれないが、昨日の環境会議のような何の意味もない合意レベルでしかムリだろうね。
共同とか、連合とか、同盟とか、こう言うのはさ「必ず」崩壊するもんなんだよ。それは歴史が証明してくれてる。
さすがに欧州の場合はもう戦争で問題解決だと言うようなことにはならないだろうけど、バラバラになって行き、再編がされるのは避けられないと思うよ。
まあ、ドイツ人が気が狂って、ドイツ人が何万人自殺しようが構わないから全力で他国を救うぜ、みたいなことをやるなら分からないけど。でもその前にそんなことをしようとすればメルケルおばさんの政党は消滅しちゃうだろう実際は(笑)
多分そのうち問題国をユーロから離脱させると言う方向に進んでいくと思う。
ユーロを完全に無くすと言う選択はあまりにも問題が大き過ぎて決断出来まい。
問題は既にギリシャレベルではなくなってしまったことだな。
小さな問題国を切り離しても問題は一切解決しないところまで事態が進展してしまった。
イタリア、スペインをどうするかの段階になってしまったからね。
この両国を切り離したらさすがに規模が小さくなり過ぎちゃう(笑)
それにしてもバブル崩壊と言うのはほんとに恐ろしいことだ。
ほんの数年前まで日本のバブル処理を馬鹿にしまくっていた欧州が日本以上に無様な対応を余儀なくされているのだから。
身の丈を超えた借金は必ず身を滅ぼすと言うことだね。
で、次は中国、インド、韓国辺りですな。
そう言えばブラジルさえもゼロ成長どころか下手すりゃ来年はマイナス成長になるかもなんて話があるので、新興国もまとめて地獄行きかもね。