2024.06.19

ーチン露大統領が朝鮮を訪問、米国が進める戦争の準備に対抗 

 

ウラジミル・プーチン露大統領は6月18日から朝鮮とベトナムを訪問するが、まず朝鮮に到着した。ロシアの代表団は19日に金正恩総書記と会談、安全保障、経済、国際問題などについて協議し、戦略的パートナーシップ条約に調印すると言われている。

 この訪問に合わせ、ロシア太平洋艦隊は6月18日から28日にかけて日本海とオホーツク海で艦隊演習を行う。演習には約40隻が参加するという。アメリカ軍は6月26日から8月2日まで配下の軍隊をハワイ周辺に集めて軍事演習​「RIMPAC(環太平洋合同演習)」​を実施する予定で、この演習も意識しているだろう。

 


 ソ連が消滅した直後の1992年2月からアメリカ政府は世界制覇計画を始動された。国防総省で主導権を握っていたネオコンはソ連消滅でアメリカが唯一の超大国になったと思い込み、DPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成したのだ。


 当時の大統領はジョージ・H・W・ブッシュ、国防長官はディック・チェイニー、国防次官はポール・ウォルフォウィッツ。そのウォルフォウィッツが中心になって作成されたことから別名ウォルフォウィッツ・ドクトリン。そのドクトリンではドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐことが謳われている。


 それに対し、細川護煕政権は国連中心主義を打ち出したものの、ネオコンの怒りを買い、1994年4月に倒された。同年6月に自民、社民、さきがけの連立政権が誕生、村山富市が首相に就任して抵抗する。


 そうした動きをネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはカート・キャンベル国防次官補(当時)に訴え、95年2月にジョセイフ・ナイは「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表する。そこには、10万人規模の駐留アメリカ軍を維持し、在日米軍基地の機能を強化、その使用制限は緩和/撤廃されることが謳われていた。沖縄ではこの報告に対する怒りのエネルギーが高まり、3人のアメリカ兵による少女レイプ事件で爆発する。


 こうした中、1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次に交代、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃された。1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事が掲載された。この旅客機が墜ちる前、大島上空を飛行していたアメリカ軍の輸送機C130の乗組員だったマイケル・アントヌッチの証言に基づく記事で、自衛隊の責任を示唆している。この1995年に日本はウォルフォウィッツ・ドクトリンに書かれている通り、アメリカの戦争マシーンに組み込まれていく。

  

  ※ 上記の段落、何度も転載しているのですが、

   サリンと国松氏狙撃が、戦争マシーンに組み込まれたことと

   どう関連するのかわからないんですが・・


 その後、アメリカはオーストラリア、インド、日本と「クワド」なる連合体を組織、またオーストラリアやイギリスと「AUKUS(A:オーストラリア、UK:イギリス、US:アメリカ)」という軍事同盟を作り上げた。


 NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言。NATOは西ヨーロッパをアメリカが支配する道具として作られたのだ。JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)なる軍事同盟も編成した。


 こうした戦略に基づき、日本は2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、2019年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成、ミサイルが配備される。

  

  地図は長周新聞から拝借


 アメリカ国防総省のシンクタンク​「RANDコーポレーション」が発表した報告書​はこの計画について説明していた。GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲したいのだが、配備できそうな国は日本だけ。しかも日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでアメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたのだ。


 ところが、​2022年10月に「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった​。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。


 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視された。


 そして昨年2月、浜田靖一防衛大臣は2023年度に亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。


 その間、2017年には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器を強引に運び込んだ。こうしたミサイルと一体化させる形でアメリカは海兵隊を追加配備するのだともいう。中国福建省の厦門から約10キロメートルの場所にある台湾の金門にはアメリカ陸軍の特殊部隊「グリーンベレー」が「軍事顧問」として常駐している。


 こうしたアメリカ中心の軍事同盟にロシアや中国が対抗してくることは間違いない。そのロシアと中国は戦略的同盟関係にある。