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天下兼相愛則治、交相惡則亂(墨子、巻之四)
順天意者、義政也。反天意者、力政也。(墨子、巻之七)
天下有義則治、無義則亂。(墨子、巻之七)

天下は人々が相愛すれば治まり、互いに憎しみあえば乱れる
天意に従う者は義に従って正す。天意に背く者は強制する
天下に義があれば治まり、義がなければ乱れる

#1
『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』三一書房、2005年

OPC

三一書房創立60周年記念出版。アメリカの権力者が行なってきた戦後の秘密破壊工作(テロ活動)の実態を具体的に検証する。「読書人」「共同通信」など各誌賞賛。自分のいる足場に深淵がひらくような衝撃にみちる一冊。付録としてキューバ侵攻作戦の「機密文書」収録、秘密破壊工作に関する全事項と関係者をインデックス化。人物ダイヤグラムも多数。

#2 『アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る』洋泉社、2007年

イランの問題はイスラエルの問題と表裏一体の関係にある。イラン攻撃を狙うアメリカの新保守/神保守(親イスラエル派)は勢いを失ったが、消え去ったわけではない。イスラエルに軍事強硬派政権が存在し、プーチンにロシアから追い出されたエリツィン時代の「富豪」もロンドンとイスラエルを基盤に暗躍する。

 

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2024.05.21

イラン要人の事故死は中東に何をもたらすのか? 

イラン北西部でベル212ヘリコプターが墜落、搭乗していたエブラヒム・ライシ大統領やホセイン・アミール-アブドラヒヤン外相らが死亡したと伝えられている。大統領らはダムの落成式に参加、戻る途中だったようだが、濃い霧で視界が悪かったという。ベル212がイスラム革命より前にアメリカから購入したものだったことも関係しているかもしれない。

 

 イスラム革命後にネオコンやイスラエルはイランを敵視、1990年代からイラクのサダム・フセイン体制を倒して親イスラエル体制を樹立してシリアとイランを分断、シリアを制圧した後にイランを征服する計画を立てていた。

 

 また、ウェズリー・クラーク欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官によると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという。(​3月​、​10月​)

 

 そのイランとサウジアラビアが関係修復に向かって交渉を始めていた2020年1月3日、イラン側のメッセンジャーを務めていたガーセム・ソレイマーニーがバグダッド国際空港でアメリカ軍に暗殺された。イスラエルが協力したと言われている。

 

 ソレイマーニーはイスラム革命防衛隊の特殊部隊とも言われるコッズ軍を指揮していたイラン国民の英雄で、イラクの首相だったアディル・アブドゥル-マフディによると、ソレイマーニーが緊張緩和に関するサウジアラビアからのメッセージに対するイランの返書を携えていたのだという。

 

 アメリカ政府はソレイマーニーを暗殺することでサウジアラビアの動くにブレーキをかけようとしたのかもしれないが、それ以降、アメリカの中東における地盤は大きく揺らいでいる。

 

 4月1日にイスラエル軍がシリアのイラン領事館を攻撃、IRGC(イスラム革命防衛隊)の上級司令官や副官を含む将校7名を殺害したが、それへの報復としてイランは4月13日、ドローンやミサイルでイスラエルのネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃、大半のミサイルは目標にヒットしたと伝えられている。イスラエル単独でイランを攻撃することはできないが明確になり、アメリカ軍を巻き込むしかなくなったのだ。

 

 ところで、アメリカを含む欧米諸国は植民地から富を奪い、文明国面してきた。その仕組みにとって好ましくない人物が事故死することがある。そのひとりが​国連事務総長だったダグ・ハマーショルド。1961年9月、コンゴの動乱を停戦させるために活動中、彼が乗ったDC-6が墜落、死亡している​。キプロスにはアメリカの電子情報機関NSAの基地があるのだが、その担当官がDC-6を撃墜した航空機のパイロットの通信を傍受していた。

 

 コンゴは1960年にベルギーから独立、選挙で勝利したパトリス・ルムンバが初代首相に就任したが、資源の豊富なカタンガをベルギーは分離独立させようとしていた。そのルムンバをアレン・ダレスCIA長官は危険視、コンゴ駐在のクレアー・ティムバーレーク米大使はクーデターでの排除を提案したという。CIA支局長はローレンス・デブリンだ。このとき、ティムバーレーク大使の下には後の国防長官、フランク・カールッチもいた。当時のアメリカ大統領、ドワイト・アイゼンハワーは同年8月にルムンバ排除の許可を出している。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015)

 

 イランの要人を乗せたベル212の墜落は事故だった可能性が高いようだが、ソレイマーニーのケースと同じように、アメリカの支配層にとって悪い結果が待っているかもしれない。今回のケースでは墜落直後にロシアのウラジミル・プーチン大統領はモスクワ駐在のカゼム・ジャラリ・イラン大使と会談、哀悼の意を意を表し、イランを助けるために必要なことは何でもする用意があると伝えている。