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植草さんの論文

 書かたのは昨年ですが内容は以前ホット ↓

内部留保課税が消費税増税より圧倒的に優れている理由

2017年10月19日 16時48分23秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

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                 「               植草一秀の『知られざる真実』」

                                          2017/10/19

                内部留保課税が消費税増税より圧倒的に優れている理由

                       第1874号

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今回の総選挙の争点の一つとして

アベノミクスの評価

が挙げられており、テレビでも取り上げられている。

しかし、客観公正な報道がまったくなされていない。

専門家とされる人物がVTR出演するが、複数の人物が登場するのに、そのど
ちらもが政権にすり寄ったコメントを示す。

テレビ局もこれを認識しながら放送していると思われる。

明らかな偏向報道であり、主権者を誤導するものだ。

極めて許しがたい現実が広がっている。

「日本経済は数字の上では良くなっているが景気回復の実感がない」

との表現が用いられているが、これは完全な間違いである。

「日本経済に数字の上で良くなっているように見える部分があるが、実は良く
はなっておらず、

景気回復の実感がないのではなく、景気回復という事実が存在しない」

というのが客観公正な評価である。

このことを以下に示す。

野党はこの事実を正確に主権者に知らせるべきである。



安倍首相が述べている、日本経済が良くなったという「部分」は以下の4点で
ある。

1.雇用が増えた。

2.企業収益が増えた。

3.株価が上がった。

4.名目GDPが増えた。

これらはすべて事実である。

安倍首相がウソを言っているわけではない。

しかし、これらの数値は、「日本経済が全体として良くなった」ことを意味し
ていない。

日本経済の「良くなった一部」を取り出して、これを強調しているだけだ。

雇用が増えたのは事実で、このことを悪いことだとは言わないが、重要なのは
労働者の全体としての所得の推移なのだ。

経済全体を評価する、一番重要な指標は経済成長率である。

その経済成長率が名目でなく、実質であることは当然のことだ。

インフレ率が100%、実質経済成長率が-50%の経済を考えればよく分か
る。

このとき、名目GDPは+50%だが、実質GDP成長率は-50%だ。

実質的に経済活動は50%ダウンで、これを自慢する馬や鹿はいない。

100万円の所得が150万円になっても、物価が2倍になれば、実質所得は
50%もダウンなのだ。



大企業の収益は史上最高を更新している。

そして、株価も大幅に上昇している。

これも事実だ。

しかし、一番重要な経済指標は実質経済成長率であり、実質経済成長率の実績
を見ると、民主党政権時代の実質GDP成長率(四半期毎、前期比年率)平均
値は+1.8%だったが、第2次安倍政権発足後の成長率平均値は+1.4%
である。

民主党時代も経済はあまり良くなかったが、2012年の第2次安倍政権発足
後の5年間の平均は、民主党政権時代よりかなり悪い。

これが、日本経済が良くなったか悪くなったかの、一番基礎の、基準になる
データだ。

この比較を示さないで、細かな部分で、「良くなったと言える部分」だ毛を強
調するのは「イカサマ」そのものだ。

安倍首相の行動は、学校受験に失敗してしまった学生が、

「計算問題の第3問は解けた、漢字の書き取りの第5問は解けた」

と負け惜しみを言っているようなものだ。

経済全体が悪くなるなかで、大企業の利益だけが史上最高を更新していること
は、それ以外の所得、つまり、労働者の所得と中小企業の所得が悪化している
ことを意味しているにすぎない。

株価が上がっているのは事実だが、日本の上場企業数は4000社弱。

日本の法人企業数400万社の0.1%にも満たない。

その0.1%の企業収益が史上最高を更新して、0.1%の企業の株価が上
がっているだけなのだ。



労働者にとっての最重要の経済指標は、実質賃金指数だ。

アベノミクスを全体として評価する場合に取り上げるべき第一と第二の指標は
実質GDP成長率を労働者の実質賃金指数である。

厚生労働省が発表している実質賃金指数のなかで、従業人5人以上の企業すべ
て、固定給だけでなく時間外賃金、ボーナスを含めた現金給与総額統計を見る
のが一番公正である。

この推移を見ると、民主党政権時代にはほぼ横ばいで推移したものが、第2次
安倍政権発足後は5%も落ちている。

雇用者は増えたが、それ以上に一人当たりの実質賃金が落ちているのだ。

労働者全体の所得が減ったなかで、それを分け合う人数だけが増えた。

これをアベノミクスの成果だとする感覚は正常とは言えない。

全体として、日本経済は安倍政権下で悪くなった。

良くなったのは0.1%の大企業だけだ。

一般労働者の賃金は減り、いままで労働しないで済んでいた人たちが労働に駆
り出されただけである。

生産年齢のすべての国民を低賃金労働に駆り出す。

これが安倍政権の「一億総活躍社会」であるが、その実態は「一億総低賃金強
制労働」なのである。



メディアが中立公正な報道をしないから、主権者は正しい情報を得ないまま選
挙に対処しなければならない。

「イカサマ選挙」

なのである。

今回の総選挙で最重要の経済政策テーマは消費税増税である。

日本経済は2012年11月から58ヵ月も景気拡大を続けていると安倍政権
がアピールするが、これも完全なウソ、フェイクニュースである。

日本経済は、2014年1月から2016年5月までの2年半、

景気後退を経過している。

鉱工業生産指数の推移を見れば一目瞭然である。

景気後退の原因は消費税増税と円高進行である。

安倍政権は2014年4月に消費税率を5%から8%に引き上げた。

これで日本経済は撃墜されたのである。

GDP成長率は、3四半期連続でマイナス成長を続けた。

米国では、2四半期連続のマイナス成長を景気後退の定義としている。

この定義に従っても日本経済は正真正銘の景気後退に陥っているのである。



しかし、日本では、

「政府が話し合いで景気後退を認定」

している。

話し合うのは「御用学者」だけだ。

だから、景気後退が存在するのに、これを隠蔽してしまう。

本当に、最悪の国に日本は転落している。

景気後退を認定する景気基準日付は、内閣府の景気動向指数研究会での議論を
踏まえて,内閣府経済社会総合研究所長が設定している。

客観的なものでなく、人為によるもので、今後は、景気動向指数研究会を「大
本営」に名称変更するべきである。



2014年1月から2016年5月までの29ヵ月の景気後退を隠蔽しておい
て、「いざなぎ超え」とはよく言ったものだ。

今回景気の正式名称を「イカサマ景気」と命名するべきである。

日本経済が深刻な不況に転落した最大の理由は消費税増税の強行にある。

消費税増税で個人消費が激しく落ち込んだ。

消費税は究極の二重課税である。

人々が消費をする元手の所得は「可処分所得」と呼ばれるものだ。

「可処分所得」とは「収入」から「税金や社会保険料」を差し引いたもので、

「課税後所得」

である



消費税は「課税後所得」を消費に振り向けたときに、もう一度、税金をかける
ものであるから、

「完全な二重課税」

なのである。



法人企業の内部留保が史上空前の規模に達しているので、企業の内部留保に課
税してはどうかとの声がある。

これに対する反論の第一は、

「内部留保課税は二重課税だから良くない」

というものだ。

たしかに、内部留保課税は二重課税である。

法人企業の税引き前利益に対応して法人税が課せられる。

課税後の法人所得から役員報酬、株主への配当金が支払われ、残った分が内部
留保金になる。

したがって、内部留保への課税は二重課税なのである。



しかし、消費税も二重課税だから、二重課税を理由に内部留保課税だけ否定す
るのはおかしい。

消費税は、個人が可処分所得を消費に回すと課税する税金だから

「消費懲罰税」

の性格を有している。

消費税が個人消費を抑圧するのは当然のことだ。

何しろ、消費したら「罰金」のように「税金」をむしり取るのだから、個人は
可能な限り、消費を抑制しようとする。

景気が悪くなるのは当たり前のことだ。



これに対して、企業の内部留保に課税するとどうなるか。

企業は課税金額を減らすために、内部留保に回す資金をできるだけ減らそうと
努めるだろう。

その方法は、

1.支払う賃金を増やす

2.設備投資を増やす

3.役員報酬を増やす

4.株主への配当を増やす

のいずれかになる。

このすべてが、景気にはプラスの作用を働かせる。



1989年度に導入された消費税。

この年度の国税収入が54.9兆円だった。

2016年度の国政収入は55.5兆円で、ほぼ同額である。

この27年間に起きた変化は、

法人税が9兆円減り、

所得税が4兆円減って

消費税が14兆円増えた

ことであり、これ以外の何者でもない。

社会保障拡充のための消費税増税という話はまったくのウソ、デタラメであ
る。

2019年10月に消費税率を10%にすれば、日本経済は確実に崩落する。

だから、この選挙で自公候補に投票することは絶対にしてはいけないことなの
だ。