要するに安さ倍増がやっていることは21世紀版富国強兵、
その富国とは、国民の集合体としての国を富ませることではなく、
国を実質的に支配している1%のみを富ませることであり、
強兵とは、99%の肉体を今以上に酷使しつつ、死に至らしめることである。
 言われてみればその通り、コロンブスの卵という感のある浜のりこさんの論文。
 

「私にとって人間的なもので無縁なものはない」 さん
http://ameblo.jp/m08068469/entry-11902046885.htmlの一部↓
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法人税減税、残業代ゼロ

大企業栄え民滅ぶ
同志社大学教授 浜矩子さん
しんぶん赤旗日曜版2014年7月6日付

安倍政権の一連の政策について、浜矩子同志社大学教授に聞きました。

大企業栄え民滅ぶ

強兵のための「富国」

 今回の「骨太の方針」と新成長戦略は、「強兵のための富国」という意味での「富国強兵」路線に貫かれています。それに役立たない弱者は切り捨てようという発想です。

集団的自衛権はごまかしばかり

 「強兵」を目指す新保守主義と、「富国」をめざす新自由主義が一体になっているのが安倍政権の政策です。
 集団的自衛権は、平和憲法に立脚するという戦後日本の目指してきた方向と相いれません。
 歴代政府は、集団的自衛権は国際的に認められている権利だけれども、日本は行使しないと言い続けてきました。だからこそ、日本は、言葉の真の意味で「ユニークな国」だったわけです。
 それを変えなければならない理由は、全然示されていません。4類型とか15事例とかわけの分からない話でごまかしながら、なし崩し的に「戦争をできる国」に日本を変えていこうとしています。
 ″日本が再び戦争をする国になることはあり得ない″″むしろ抑止力によって戦争を回避できる″と首相は言いますが、腕力は腕力を呼び、闘争心は闘争心を呼んできたのが歴史の教訓です。
 結局、″戦争を回避できる”というのは言葉だけで、狙いは、日本を「強い国=いつでも戦争できる国」にしたいということです。強さは腕力だという考えです。
 このように、言っていることとやっていることが違うのが安倍政権の特徴です。経済政策でもそれは同じです。どういう下心があるかを見抜かなければなりません

 富める人の間で 富がめぐるだけ

 なにがなんでも法人税減税をやるのも、彼らの「富国」が、国民が豊かになることではなく、大企業がもうかることだからです。そうでなければ、法人税減税に固執する理由は「株価対策」くらいしか思いつきません。
  大企業がもうかれば国民も豊かになるという「トリクルダウン(したたり落ちる)」理論は誤りです。増えた利益は株主への配当や役員報酬に回ります。いまト リクルはダウン(落下)ではなく、ラウンド(回転)しているのです。富は富める人から富める人へぐるぐる回るメリーゴーラウンドです。そこから排除されて いる人々には回ってきません。
 法人税減税の財源にするため、外形標準課税を中小企業に拡大して、赤字の中小企業からも税金を取ろうというのは本末転倒です。なりふり構わぬご都合主義だと思います。
 法人税減税よりも、たまりにたまっている大企業の内部留保を吐き出させ、貧困を改善するための政策に回す手だてを考えるべきです。
 「残業代ゼロ」制度も、人間を働く機械としか見ていないものです。「時間ではなく成果で評価される制度への改革」と言いますが、使用者側か「成果」とみなす結果をあげなければ、どんなに働いても報酬は払わないという、驚くべき発想です。
 「経済学の父」といわれるアダム・スミス からマルクス にいたる「労働価値説 」(注)とは、根本的に違う発想ですよね。
 「柔軟で多様な働き方」とか、「自由な雇用形態」というのは言葉だけで、本当の狙いは、余計な金を払わないで成果をあげたいというだけです
 高額所得者に限定するといっても、「蟻(あり)の一穴 」といわれるように、次第に対象者が広がっていくことは十分ありえます。
 「女性の活躍推進」とか「少子化対策」というのも、「富国強兵」の一環です。女性をもっと労働力として使いながら、「産めよ殖やせよ」という発想だと思います。女性の人権や、仕事と家庭を両立しながら自己実現 したいという当然の要求に、政府としてどう応えていくかという発想はありません。
 安倍政権の「富国強兵」路線に対しては、怒りと粘りが大切だと思います。原発再稼働に反対して、官邸前行動が続いているのは心強いし、もっとマスコミが報道すべきだと思います。こうした行動を持続していくために必要なのが怒りと粘りです。怒りの火をあかあかと燃やし続ければ元気が出るし、知的めざめも高まります。

(注)商品の価値の源泉は労働であり、その大きさは労働時間で測られるという学説。