強まる米軍介入
 フィリピン人民にとっては、アメリカがアジア・太平洋地域においてその軍事的経済的力を誇示することは、アメリカ帝国主義によるフィリピンへの民族的抑圧のいっそうの強化を予測させるものである。「信頼すべき同盟国」として、フィリピンの傀儡(かいらい)国家は、アメリカに支配された経済ブロックの形成と地域におけるアメリカの軍事プレゼンスを強化するうえで、アメリカ帝国主義の意のままになる道具として奉仕することはまちがいない。
 現在、フィリピンの支配政権は、アメリカが後押しするTPPを支持して、フィリピンにおける貿易と投資の完全な自由化に道をひらく一九八七年憲法の改正をおこなおうとしている。そうした動きは、フィリピン経済の徹底的な破壊と国のいっそうの貧困化をもたらすだけである。アメリカとフィリピンの傀儡政権はまた、相互防衛条約(MDT)と訪問米軍の地位にかんする協定(VFA)をつかって、アメリカがアジア・太平洋地域において軍事展開をおこなう基地としてフィリピンをひきつづきつかうことができるようにしようとしている。
 アメリカは、「人道的任務」の遂行や協力の名目でおこなわれる合同軍事演習をつうじて、アメリカ軍の兵力をさらに増加させてフィリピンの領土にはいりこませ、その軍事プレゼンスをいっそう強化しようとしている。フィリピンにおける反革命戦争への米軍の介入はつよまろうとしている。相互防衛条約や訪問米軍の地位にかんする協定が存在するかぎり、フィリピンはひきつづきアメリカの対外政策の人質としてつかわれ、他の国との関係において自決権をもつことはできない。
 アジア・太平洋地域におけるアメリカの介入と軍事プレゼンス、経済的支配の強化を前にして、フィリピン人民は、民族の自由と独立のために断固としてたちあがり、たたかわなければならない。現在、そのもっとも注目すべきあらわれが、一九八七年憲法の改正に反対する斗争であり、継続してたたかわれている相互防衛条約および訪問米軍の地位にかんする協定を破棄する斗争である。
 もっとも重要なことは、フィリピン人民の広範な愛国戦線を形成し、経済、軍事、政治、外交面で愛国的な課題をかかげることである。アメリカ帝国主義のつよまる攻撃に反対する人民の武器として、愛国戦線を形成、拡大、強化しなければならない。
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フィリピン共産党中央機関紙『アン・バヤン』]