アメリカのボスがD ロックフェラーからJ ロスチャイルドに

変わったことから来る変化なのか・・・


田中宇の国際ニュース解説 無料版 2013年12月9日さんから転載

http://tanakanews.com/131209japan.htm


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★米国にはしごを外されそうな日本
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 米国の国際政治雑誌フォーリンポリシーのブログに、

オバマ政権と米国防総省の高官たちが、

中国による東シナ海への防空識別圏の設定を、容認する姿勢を見せ始めた

とする記事が載った。中国の識別圏設定に関して米国として容認
できない点は、識別圏を設定したこと自体でなく、識別圏設定のやり方で

あると、高官らが言っているという。識別圏に入ってくる外国の飛行機の

中には、中国の領空に入らず、中国大陸に並行するコースで公海上を

飛んでいくだけのものも多く、並行して飛ぶだけなら中国にとって何の

脅威もない。それなのに中国政府は、識別圏に入ってくる外国の飛行機

のすべてに、飛行計画の提出を求めている。こうした識別圏の設定方法が

問題だと、米高官たちが言っているという。

http://killerapps.foreignpolicy.com/posts/2013/12/04/team_obama

_changes_course_appears_to_accept_china_air_defense_zone

Team Obama Changes Course, Appears to Accept China Air Defense Zone

 米高官らは中国に対し、できれば識別圏設定を撤回してほしいが、

それは長期的に中国と交渉するとして、中国が、並行コースを飛ぶ飛行機

を識別圏設定の対象から外す改善をしたり、日本との緊張を解く外交努力

をするなら、とりあえず中国の識別圏そのものは一時的に認めるという

新しい姿勢をとっているという。米国が中国の識別圏設定を認めてしまう

ことは、日米が組んで中国に識別圏を撤回させようとすることで

日米同盟を強化できる(中国は拒否するだろうから対立は長引き、

ますます日米同盟が強まる)と考えてきた日本にとって失望になる。

 問題のブログ記事は12月4日に掲載された。その後、米国の他の

メディアや分析者がこの件に言及(補強もしくは否定)するのでないかと

私は待っていたが、5日たっても他の記事は出ていないようだ。

フォーリンポリシーの記事が誤認だった可能性もある。しかし米国は

それまでも、訓練と称して米軍機をあえて新設の識別圏に突入させ、

中国の識別圏設定に絶対反対の態度を示した
 数日後、米国の航空会社に対し、中国の識別圏設定にしたがって

飛行計画を出すことを求めるなど、強硬姿勢と宥和姿勢の間を

行ったりきたりして態度が定まらない。「中国の識別圏設定に対する

米政府の態度は日によって変わる」と揶揄されている。

http://cofda.wordpress.com/2013/12/04/obama-admin-signals-u-s-will-accept-chinas-air-defense-zone/
Obama admin. signals U.S. will accept China's Air Defense Zone

http://tanakanews.com/131204japan.php
従属のための自立

 12月3日に来日したバイデン副大統領は、東京で、中国による識別圏の

設定が、東アジアの緊張を高める動きであるとして懸念を表明した。しかし、

日本側が望んでいた、日米で中国に識別圏設定の撤回を迫るところまで

行かず、日米は懸念と不容認の態度を表明するだけで終わった。

バイデンは、東京の後に訪問した北京で習近平主席と5時間も会談し、

識別圏の話も出たとされるが、記者会見では識別圏の件を何も言わな

かった(東京での安倍バイデン会談は1時間半だった)。バイデンは

習近平に対し、識別圏の設定を撤回させようとするのでなく、日本との

敵対を緩和する対話の仕組みを作るよう求める姿勢をとった。バイデンの

言動からも、米国が、中国の識別圏設定自体を問題にしているのでない

ことがうかがえる。

http://www.japantimes.co.jp/news/2013/12/05/national/china-gives-no-ground-to-biden-in-air-zone-dispute/
China gives no ground to Biden in air zone dispute

 バイデンが習近平に、日本との対話強化を要請した後の12月7日、

安倍首相が、習近平に会談を呼びかけた。安倍は就任後、まだ習近平と

会談していない。これまで中国を許さない態度をとってきた安倍が、

急に習近平と会いたがるのは奇妙だ。安倍が本気で習近平と会談する気が

あるのか不明だが、バイデンが習近平に「日本との緊張を高めるな」と

求めたら、習近平は「緊張を高めているのは日本の方だ。日本にも

緊張緩和せよと言ってくれ」と切り返し、それを受けて米国側が安倍に

「習近平と会うぐらいしたらどうか」と言ったのかもしれない。

安倍の動きからも、米国が、日本と組んで中国と敵対する姿勢をやめて、

中国に譲歩するとともに、日本をなだめに入っていることが見え隠れ
している。

http://www.businessmirror.com.ph/index.php/en/news/top-news/23990-japan-s-abe-seeks-summit-with-china-s-xi
Japan's Abe seeks summit with China's XI

 11月23日に中国が防空識別圏を設定した直後は、米国が日本を誘って

中国との敵対を強め、日米対中国の戦争が近いと感じられる緊張状態

だったが、結局のところ、米国は日本の中国敵視策を煽っておいて、

日本がその気になり、国会が中国非難を決議した後になって、

米国は、中国の識別圏設定を容認する譲歩をめだたないように開始し、

日本が米国にはしごを外される懸念が強まっている。米国は今後、

再び中国敵視を強めるかもしれないが、その場合、さらに後でまた中国に

譲歩することが繰り返されるだろう。米国が中国に対して強い姿勢を

とり続けられないことが判明するほど、中国は、真綿で首を絞めるように、

隠然と長期的に、貿易・経済面などで日本に報復するだろう。

イラン敵視策で米国にはしごを外されたイスラエルを見るまでもなく、

同盟国にとって米国は、あてにできない国になっている。こうした状況に

ついて、日本国内でほとんど指摘する人がいないのもまずい。

http://tanakanews.com/131202japan.htm
頼れなくなる米国との同盟

 日本はかつて国際政治上、米国と並んで、英国を模範としてきた。

国際協調主義をとりつつ自国に好都合な世界体制を維持する英国の

世界戦略は、過激でむら気があり不可解な米国の戦略より、

日本にとってなじみがある。日本は「対米従属」でなく「対英従属」だったと

いってもいいぐらいだ。しかし今や、中国との関係において、英国は、

日本とまったく逆の方向に進んでいる。英国のキャメロン首相は12月初め、

百人以上の英財界人を引き連れて中国を訪問した。キャメロンは、

中国との貿易や、ロンドンを対中投資の世界最大のオフショア市場にしたい

金融分野など、経済での中国との関係強化を重視するあまり、

中国がいやがる防空識別圏やチベット、人権問題などの話を、

首脳会談や記者会見の席でまったく出さなかった。

http://www.ft.com/cms/s/0/cb01954e-5d12-11e3-a558-00144feabdc0.html
A painful lesson in how not to deal with China

 英国は、キャメロン自身がつい2年ほど前まで、あえてダライラマと

面会して中国を怒らせるなど、積極的な中国敵視策ととり、米英同盟を

最重視してきた。だが、米国の金融システムがリーマン危機後延命

するだけで蘇生せず、いずれ米国覇権を崩壊させる金融危機再発が

不可避と予測されるうえ、中国などBRICSが台頭して多極化が

不可逆的に進んでいる。英国は財政破綻のふちにあり、

経済難と貧富格差拡大が続き、英国民の4分の1が食糧難の貧困状態
にある。キャメロンは中国政策を大転換し、中国との経済関係を強化して

英経済を救う動きを開始している。国内の原子力発電所の建設を

中国に発注し、中国の国際的な原発売り込みの宣伝役を買って出る半面、

人権問題などで中国を困らせるのをきっぱりやめて、米国の右派に

揶揄されている。

http://www.presstv.ir/detail/2013/11/28/337082/25-of-uk-adults-in-food-poverty/
Quarter of UK adults in food poverty

 英国は、米国が敵視をやめたイランにも接近し、外交関係を復活する

半面、米国からはしごを外されてイラン敵視をやめられないイスラエル

に対し、パレスチナ問題での非難を強め、容赦なく水に落ちた犬を

打っている。英国はずるい国だが、国際政治の先読みをして

機先を制するのが得意だ。日本が、中国にすり寄る英国を批判しつつ、

中国敵視を続けていると、いずれ米国からはしごを外され、

英国の後塵を拝するかたちで、日本自身が中国にすり寄らねばならなく

なるかもしれない。中国は、すり寄ってくる者に対して傲慢に振る舞うので、

中国に媚を売るのは良くない。しかし同時に、米国からはしごを外されて
中国に負ける可能性が高いのに、中国との敵対を加速する今の日本も、ばかげたことをやっている。日本はできるだけ早く、自国の尊厳を維持できる

かたちで、中国と和解していくべきだ。

●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)

◆従属のための自立
http://tanakanews.com/131204japan.php
【2013年12月4日】米国は、日本に防衛や外交的に自立を求め、自立し
ないと日米同盟を維持できないと言っている。日本は、しかたなく防衛力強化
やNSC設立をやっているが、それらの自立策は、対米従属の維持のためだ。
従属を続けるために自立するという、矛盾した策をやらざるを得ないのが近年
の日本だ。

◆米国が中国を怒らせるほどドルが危なくなる
http://tanakanews.com/131128china.php
【2013年11月28日】米国債の観点で見ると、米国が一線を越えて中国
を敵視するのは米国の国益に反する。米国が、日本のために自国の覇権を崩し
ても、中国敵視を続けるとは考えられない。日米と中国の対立は、軍事問題と
してのみ語られているが、その行方にとって決定的なのは軍事でなく、米国債
や金融相場、経常収支などに象徴される経済だ。

◆見えてきた中東の新秩序
http://tanakanews.com/131119mideast.php
【2013年11月19日】独裁と混乱が続いたエジプトが、米国の傘下を離
れ、ロシア外相が訪問したとたん、安定化に向けて動き出した。パレスチナ和
平も、米国が何十年も仲介してうまくいかなかったが、フランスが仲介しにき
たとたん、ネタニヤフがこれまで考えられなかった首脳の相互訪問を提案した。
ロシアやフランスが、特に外交上手なわけではない。米国が下手糞すぎた。

米国の中枢が、自国の覇権をこっそり自滅させたい隠れ多極主義であると

思われるゆえんだ。これまでの米国の覇権体制下より、きたるべき

多極型の世界体制の方が、世界は安定すると予測できる。