昨年一度載せた転載記事ですが、そして野田首相時代の記事

ですが、依然重要なので再掲させていただきます。

 太字=katsuko


「そのとき橋下徹氏はアメリカに潰される」 

 崎享氏&谷川幸洋氏 週刊ポスト
 2012/09/14

 http://www.asyura2.com/12/senkyo135/msg/279.html


週刊ポスト:野田首相は8月24日の記者会見で、「韓国は竹島を

不法占拠している」と明言し、「(竹島を)不退転の決意で」で守る

と宣言するなど、外交問題で強硬姿勢に出たように見える。


長:野田首相とすれば「近いうち解散」を控えて、これ以上の支持率

低下を避けるためにも「ここで何か言わねば」と焦ったのでしょう。

強気なことを言っているように見えますが、実際にはこれまでの

政権の主張を繰り返したに過ぎない。これでは、政策になりません。
大事なのは、会見で最後に言った「平和的、外交的に問題解決を

目指す」という具体的な内容、道筋なのに、それに関しては何も

明示していない。
孫:その点は私も同じ感想です。何も言っていないに等しい。
長:むしろ米国の方が政策がはっきりしている。
8月15日に、アーミテージ元国務副長官とナイ元国防次官補

(ハーバード大学教授)が共同で発表した対日報告書によれば、

<日本政府は、長期的・戦略的観点から二国間関係を検証し、

不必要な政治的意見表明は慎むべきだ>とある。まるで野田首相の

会見を先読みしていたかのように、”余計な強気発言”は無駄だと

釘を刺しているのです。
そのうえで報告書は、日韓の歴史問題について、日米韓3カ国の

有識者による非政府間会合を開き、対話の進展を図る枠組みを

提案した。つまり「米国が仲介する和解工作」ですね。こういうのが

政策です。
孫:この問題になぜ米国が介入するのかというと、一般の日本人

からみると竹島も尖閣も同じ領土問題ですが、米国は竹島と尖閣を

明確に分けていて、竹島問題の方は穏便に収めたいからです。

東アジアで中国の脅威が高まる中で、米国が描くグランドデザインは、日本と韓国、フィリピン、オーストラリアと協力して中国に対抗

するという構図だから、日韓が揉めるのは歓迎しない。政権末期の

韓国大統領と支持率が低迷する日本の総理大臣が、人気取りで

余計なバトルをするのを苦々しく思っているわけです。
ですが、米国にとって尖閣問題はもっと複雑な事情が絡む。
長:ここは凄く大事な点です。日本人は「竹島も尖閣も北方領土も

攻められている」という感覚を持っていますが、

米国にとって東アジアの主要関心事は中国であって、

韓国やロシアではない。有り体に言えば、

韓国も日本も、中国を封じ込めるためのパーツでしかない。
孫:だから、米国は尖閣問題に関して曖昧な態度を取り続けています。先日も国務省の記者会見で中国人記者が、

「米国が『領土問題については中立だ』と言いながら

『尖閣には安保条約が適用される』としているのは矛盾している」

と噛み付いていた。これは本来、日本人記者が聞くべき質問です

けどね(苦笑)。
本当は、米国は尖閣を守るつもりなどないのです。

安保条約第5条では、

米軍の出動には米議会の同意が必要となっている。

つまり、尖閣諸島をめぐって中国と武力衝突することを

米議会が認めないと、出動できないということです。
長:米国は”あの島を守るためになぜ米軍の兵士が死ななければ

ならないのか”と考えるから、議会が認めない可能性はある。
孫:しかも05年に日米間で交わされた「日米同盟 未来のための

変革と再編」では、「島嶼防衛は日本の責任である」と

明確化され、実効支配の及ばない地域には

日米安保が適用されないといっている。つまり、一度、尖閣を

中国に奪われたら、もう日米安保は適用されないのです。
長:安保条約は「日本の施設下にある領域」を守ると

書いているので、日本が実効支配していることが大前提です。
孫:それが現実なのに、野田首相は「オスプレイが南西諸島防衛に

有効」とまで発言した。(輸送機の)オスプレイが無人島の尖閣に

何を運ぶというのか。
米国は尖閣を守るつもりはないが、

その一方で、尖閣問題で日中が揉めれば揉めるほど、

日本で中国脅威論が高まり、

在日米軍基地のプレゼンスが高まるので、米国は得をするわけです。
オスプレイ配備が問題になっている今、

尖閣騒動が起きたのは決して偶然ではないと思います。

そもそも今回の尖閣騒動は、

石原都知事が「東京都が尖閣諸島を買う」と言い出したことが発端。

石原氏がどこで発言したかといえば、米国です。

「この主張は米国で受け入れられる」という確信が

彼にはあったのでしょう。
中国側も米国の思惑を感じ取っているフシがあります。

8月27日に丹羽宇一郎駐中国大使の乗る車から

男が国旗を引き抜く事件が、

中国紙の環球時報(8月28日付)は、社説で

「われわれが引き抜かなければならないのは、

某勢力が中国周辺地域で振り回している目に見えない旗なのだ」と

述べています。この「某勢力」が米国を指していることは容易に想像がつきます。
孫:もうひとつ考慮すべきは、米国は

親米的で利用価値があると考えてきた政治家を最初は重宝するが、

それが少しでも逆の動きを見せた途端に、

すぐさまパージするという歴史を繰り返してきたこと。

橋下氏が同じ轍を踏む可能性はある。
これまでにも、「自分は米国に寵愛されている」と勘違いして、

米国の不可侵の部分にまで踏み込んで、

切り捨てられた政治家は世界中にいます。

たとえばサダム・フセインは、イラン・イラク戦争のときは、

イランが戦争に勝って影響力が拡大することを恐れた米国から

軍事的な支援を受けていました。

米国から寵愛されていると勘違いしたフセインは、

「米国は参戦しない」と信じてクウェートに侵攻しました。

しかし、米国に切られたフセインは湾岸戦争、イラク戦争という

2度の戦争で打ちのめされ、

最後は米軍に捕まり、裁判で処刑されました。
韓国の大統領だった朴正煕も親米的でしたが、

カーター大統領に民主化を迫られた際、

「米国にも黒人問題があるだろう」と反論し、

直後にKCIAに暗殺されています。
一線を踏み越えた途端に、無惨にも切り捨てられる。