笠貫委員 予防医学として新たな薬剤を認可するときの根本的な姿勢が問われているのだろうと思うのです。ドラッグ・ラグはよくないということも理解していますし、ニーズがあります。年間1600人の発症者をどう予防するかというところで、HPV-16、HP

-18にどれぐらい感染して、どれぐらいの人たちが子宮頸癌になるのかということについて、ある程度の数字がないと、有効性をどの程度評価するかということは難しいと思います。その有効性についても、安全性もそうですが、フォローのデータベースがきちんと

あって、有効性と安全性のシグナルをきちんと発見するシステムが必要です。

 これは非常に大事な問題だと認識しつつ、この薬剤の有効性、安全性の代理エンドポイントと、真のエンドポイントの限界を十分に承知し、認めたとしても、いかに安全に使っていくかということについては、委員会として共有した方がいいと思います。それは決して遅らせるということではなくて、どういう使い方をするか、そして、その後の安全対策をどうするかです。薬のライフサイクルの中でどういうふうに有効性、安全性を見ていくのか、その道筋を示していただくと、薬を国民に提供するのに、有効性も安全性も現時点の科学でいいという共通認識が持てるのではないかという感じがします。もし次回に今日議論があったものをお示しいただいて、認可することがどれぐらいの患者さんに不利益をもたらすかどうかということもあると思うのです。これから予防医学において、アジュバントのような新規の薬剤を、しかも、今の科学で有効性、安全性の予測に限界があるというものを認可するときの枠組みをここで議論できたらと願っています。

西島委員 言う必要もないかとは思うのですが、今の予防の議論の中で、主として個人の予防ということを皆さん強く意識されているのですが、ワクチンの効果としては、個人だけではなくて社会全体の予防にもなるので、その点も考えて我々は議論しなくてはいけない こうして

ワクチンを強制していき、受けない人を(あるいは狙いをつけた人を

“受けないと言った”ことにして)刑務所送りにしていく予定では?  思っております。その点は分かっているかと思いますが、意見として述べさせていただきました。

松井委員 私も今の西島委員の意見に賛成です。この次の機会は1か月後ぐらいでしょうか。

望月分科会長 12月です。

松井委員 できれば、もっと早い方がいいのかもしれませんが。私は実はHPVワクチンについての専門家のお話を聞いたことがあるのですが、そういう方をお呼びして、そして予防効果、単なるこの薬の有効性というよりは、むしろ社会的な予防効果について、それから、どのようにしたらシステムとしてこの社会に定着することができるかといったような展望を話していただければ、委員の皆さんも納得していただけるのではないかと思いますので、そのような機会を、できれば早く設定していただけないでしょうか。

機構 申請資料の「開発の経緯」の1.5の3ページに記載しておりますが、日本での子宮頸癌の発症率、罹患率は10万人当たり8例です。我々も真のエンドポイントによるデータが何とか欲しいということで、申請者にも、追加の情報が何とか得られないか、せめて治験に参加した人たちの実際の発症の防止がどれぐらいできるかを検討できないか打

診いたしました。が、この年齢層の人たちは就職あるいは進学、結婚等でフォローするのが難しく、他の分野の治験等でも、同様のことを聞いており、1社の国内でのデータの確認できる範囲を少し超えるだろうと考えております。

 発現が10万例中8例の症例について網を張って情報を取るというのは、申請者の責任で実施するというよりも、日本国内でのがん対策といいますか、がんの調査などの対策の中でやらないとカバーし切れない部分もあるのではないかと考えております。

 海外でも臨床試験が、万の単位の症例数で行われております。その継続的な情報収集の範囲では、中間段階ではありますががんの発症は抑えられているという情報を得ております。確定的なデータが報告されるのはもう少し先になると考えられますので、現時点で我々が入手可能な情報、1品目の承認により申請企業に対して求められる対応、それから、

我々の審査とその後の対応としてできる範囲には限界があると感じるところです。

溝口委員 私も医薬品第二部会の委員ですので、そこでも議論をさせていただきました。このワクチンは、欧米先進国ではもう認められているのに欧米先進国のすることは全部真似しなければという

カルトですね日本では認められていな

いということで、日本女医会などもその点を問題にいたしました。優先審査になったことに関しましては、いろいろな要望があったからされたのだと思います。

 HPVに関しましては、DNAのタイプがもう100以上あります。その中で、この16型と18型が子宮頸癌に関連するということが分かってきたのですが、そこら辺にいるウイルスですので、繰り返し感染を受けたり、持続すると子宮頸癌になりやすいということでしたら、10歳からやっても早すぎることはないと思うのです。10歳から始めなければ

いけないということではなくて、任意接種ですから10歳以上でしたら何歳からやってもいいのではないかと考えます。

 有効かどうか、本当に発症を予防するかどうかというのは、長期観察が必要ですので大変難しいとは思いますが、抗体価が上がることは確かです。今後の問題として、追加免疫がいつ必要かですが、これは海外のデータを参考にできると思います。がんの検診に関しては、それなりの年齢になってからやるべきものだと思います。

 これは任意接種ですので、私が心配しましたのは、こういうことでは希望する人はいないのではないかということで、こういうものがあるということをどういう方法で広げていただけるかということを第二部会では質問させていただきました。今日伺いますと、接種を受ける人あるいはその親への説明の仕方とか、接種方法にはいろいろ問題があるかとは思います。仮承認という言い方があるかどうか分かりませんが、余り遅れないうちに今回、遅くとも次回には承認していただきたい。その後の接種方法その他は早急にまとめて、委員の方々に伝達して承認を得る必要があるかと思いますが、絶対廃案にはしていただきた

くないと考えております。よろしくお願いいたします。