※ 4月29日に贈る!田中冽さんのブログの無断転載です:
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2010年04月29日
居座るやつらの一番すみっこにあぐらをかき、腹がへっていたので、さっそくかーちゃんにこさえてもらったにぎりめしをぱくついた。
腹がくちくなると、至極ご機嫌だ。
そうなると、食後の一服はどうしたってやめられない。
「路上喫煙は禁止されています」
くゆらせるたびに、おまわりどもに、ここぞと因縁をつけられたもんだ。
「一度ついた火は、消せねーぜ」
「やめないと、罰金2000円です」
「なんじゃ、そりゃ?」
「千代田区の条例です」
「そんな条例は、まちがっているぜ。悪いが、にーちゃん、条例のほうを取り締ってくれや」
はじめの頃はいちいち、泡を吹いてやりあったもんだ。
今回は、どういうわけか、気持ちに余裕があった。
目と鼻の先の銀杏の木で、にーちゃんおまわりがこっちを盗み見していた。
さあ、おいで。
いつでもどうぞ。
「な(に)?」「(う)ん?」「あ(あ)?」の、ぼそっ、ぼそっの一語でいなして、追っ払うとするか。
それなのに、どうした?
不審に思って見ると、やっこさんはさっと視線をそらした。
ひとりじゃ怖いので、上司を待っているのか。
公安が連れだってやって来た。
それでも、やってこない。
あれがこれか。
たかり屋に持ちあげられてうはうはしていた銀ばえ野郎がでたらめこいて、戦争へ、戦争へ、ビンボー人の火のついたケツを引っぱたいて、戦争へ戦争へとけしかける糞どもの、嘘八百が吹っ飛ばされ、こてんぱんに叩きのめされたあのことが、これか。
おまわりまでをも、ビビらせているわけか。
そういゃあ、秘書どもにかしずかれ、銀ばえみたいな満悦面から金歯をせり出し、一張羅をこれ見よがしにひらめかせて大型バスからぞろぞろ降りていた、陳情団のじじばばも見えない。
「外国人参政権、絶対反対!がんばれ、日本」の、旗色の悪い街宣車もこそこそ逃げ出した。
声援にかけつけた議員バッチどもも、ことのほかご機嫌だ。
「オバマさん、基地は、国際法違反です。きれいにお掃除してちょうだいね」
「踏みつけにしていると、沖縄はヤマトを見捨てるわよ。よくって。アメリカさんも袖にしてシングルマザーみたいに“独立”するわ」
「やんばるの森に、ヘリバッドはいらんね。シューして、きれいにするぞ」
なるほど。
これがあれだ。
孤立無援をくらい、村八分をくらい、兵糧攻めをくらい、冤罪をくらい、一家離散をくらっても、全世界を向こうにまわしてやりあった無名のひとり、ひとりが、心細い手渡しビラと口コミだけを頼りに、何十年も何百年もかけて、やっとこさ、つかみとった“自由”のけはいだ。
むしりとった現実だ。
辺野古、高江、祝島、ハケン切り、過労死、過労自殺、ヤマハ楽器、合同酒精、干潟、ダム、キャパクラ、ヘルパー、三陸、岡山、釜ヶ崎、山谷、広島、仙台、茨城……と、全国津々浦々から、イナゴの大群のごとく飛びだしたひとり、ひとりの、“怒り”の総和が、この世の地獄に二度と後戻りできない“何ものか”をもたらしたのだ。
さあ、踏みだすぞ。
もう一歩“自由”へ向かって。
さあ、行くぞ。
手に手を取りあって。
もう一踏ん張り仮借ない“自由”と“生存”へ向かって。
◆◆◆
5/1(土)。
●野宿者新宿メーデー●
(11:00am新宿中央公園集合。正午に柏木公園で集会。1:00pmよりデモスタート。)
5/3(月)。
(新宿中央公園で1:30pmより炊き出し、5:00pmよりサウンドデモへスタート。)
私たちが棄民である。はじめまして。お久しぶり。
この社会が営々とつくりだす奔流。庭師、清掃、警備、テーマパークの芝生管理、型枠大工、畳職人、キャスト、アイヌモシリから、介護、ダスキン、土方、塾講師、ニート、カヤック、かつて南米大陸へ、ウェイター、パチンコ屋の並び、弁当工場、作家、台湾へ、校正、軽作業、重労働、ひきこもり、八百屋、リネン、航空郵便、郵便仕分け、板金塗装、アクティビスト、いま南米大陸から、ガソリンスタンド、デザイン、リサイクルショップ、アニメーター、編集者、絵の先生、朝鮮半島へ、NPO職員、交通量調査、スリーパー、水道工事、派遣営業、ショップ店員、デリヘル、失業者、政党職員、大学院生、カメラ助手、琉球へ、サクラ、寺の寺務、朝鮮半島から、レジ打ち、検品、運転手、ゲーマー、事務員、中国から、カメラマン、パン職人、セクシュアルマイノリティ、ボーイ、バーテン、アンケート調査員、セクキャバ、玄界灘を越えて、野宿者、新聞勧誘、キャッチ、生保受給者、プログラマー、菓子販売、テレアポ、POP作成、ポスティング、コンビニ、ライター、駐車監視員。それが私たちです。
ニューディーラーを超えて、パンドラの箱が開く。
生存と尊厳の蓋。