「宿題」を考える⑨

『スイミー』の学びの続き(2)

 

保護者の方たちには、毎時の授業場面を『らぶれたあ』で紹介していましたが、さらに次のようなことも書きました。

 

〈『らぶれたあ』に書いた手紙〉
保護者のみなさんへの手紙

保護者のみなさんへ

『スイミー』の学習をしているのに、なぜか子どもたちが家では音読練習をしていないのか、このことを不思議だとは思われていませんか。
ぼくは、「宿題」というかたちで音読練習をさせてはいません。(自分から進んでやることを止めることはありませんよ
。)

保護者の皆さんは、そんなことで大丈夫なの?—ーこうした不安もあるかもしれませんね。
しかし、心配無用です。えらく自信たっぷりに書いていますが、ちゃんと根拠もありますし、これまでの実績もあります。何度も2年生の子どもたちとの学びのなかで確かめています。

ぼくは音読はとても大切だと思っています。実際の授業のなかでも重視しています。
けれど、この場合、文字面を追うような音読練習、それも家庭での「宿題」にするなどという学びは子どもの意欲にはつながらないことが多いので、「宿題」にはしていません。

また、学習途中の音読のチェックを学習場面に参加していない保護者のかたに委ねることなどできるはずもありません。ここで大事なのは「はっきり読む」とか「大きな声で読む」などではなく、
学んだことが音読に生きているかどうかなのです。

これまで教室で学び合った部分までは、全員の子がほぼ暗唱できています。今の段階(まだ「スイミー」は半分程度です。これで「ほぼ」できていること自体すごいことです。

なぜ、そんなことが可能なのか。
それは、これまでも綴ってきたことの中に明らかにしていますが、二つの理由によります。


①絵本で学ぶ

子どもたちに声を出してもらう時に、ぼくは子どもたちの前に立ち、絵本を持ちその場面の絵を見せています。

絵本の方は、絵に短い文がついているだけなので、絵をよく見れば、文が自然と思い出せます。そのとき、子どもたちは机の上に教科書を開いていてもかまいません。

「見ちゃいけない」なんて、了見の狭いことは言いません。「自信が無ければ見てもいいよ」、こういう方が効果大です。見ないものです、子どもたちは。

信頼が子どもを育てる、みたいなことかな。学習途中、見たってかまわないんです。

 

②イメージを大事にし、活動的な学びにする
授業そのものを、視覚的で、活動的なものにし、イメージをつくることを大事にします。ことばと絵とを丁寧にタンテイする(読み解く)ことを中心にするのです。それは自分があたかもスイミーになったかのように読んでいくことです。


つまり、これまでにも綴ってきたように、オモシロイ、イメージ豊かな学び合いをすることが暗唱のカギになるのです。」(『らぶれたあ』より)

 

『らぶれたあ』や学年通信『手をつなごう』で不安に応える

教室での担任したとき『らぶれたあ』という学級通信を年間200号以上書きました。その半分以上は学びについての綴りでした。それも、教材について触れ、子どもの学びの姿、発言、行為、それにぼくの思いを具体的に書きながら。学年通信「手をつなごう」ではお知らせ以外に、学年の取り組みやそのことへの担任集団の思いも書きました。40号になります。

保護者の方たちの不安を解消することは、子どもたちの学びに「参加」してもらうという方策をもっていなければ、実現できません。


『らぶれたあ』に綴った結果、授業についての保護者の方からの『L♡L』(Love Letter)も多数寄せられることになりました。まずはそこの中から一部紹介です。当時、担任して2か月。6月11日(土)のことでした。

 

《TさんのL♡L》

土曜授業参観、1年生の時おたふく風邪にかかり、今回は初めての参観でしたので楽しみにしていました。

国語の時間は、私自身も、絵本と教科書の違いはどこなのか、とても探したくなりました。

子どもたちも一生懸命に違いを探している姿を見ていて、興味を持って学べる素敵な授業だなあと思いました。

きっと、大人になっても記憶に残る「スイミー」になると思いました。

《KさんのL♡L》

みんな静かに集中してからの授業の始まりとなりましたね。

まぐろの大きな絵、よかったです。教科書を読んでいるだけでは学べないこと、たくさん教えてください。

手もあげず、べらべらしゃべっている息子ですが、授業がとっても楽しいそうです。『らぶれたあ』の「スイミー」シリーズ、5年生の姉も楽しんでいます。

黒板いっぱいに描いたでっかい「まぐろ」です。「まぐろ」のうえに「ミサイル」を重ねました。「ひゆ(比喩)」の実際です。

 

《WさんのL♡L》

2時間目の「スイミー」の読み取りを参観して、どうして家で音読練習をしてないのに、「スイミー」を覚えてくるのかが分かりました。

ただくりかえし何回も読めば自然に覚えるのは普通です。

でも文の内容を十分に理解して読めば、数回で覚えてしまうものなんですね。暗記するにもいろいろな方法があるのだと思いました。

「スイミー」は、私の子どもの時にも教科書に載っていました。大人になった今でも覚えています。きっと子どもたちもこの授業を思い出すでしょう。時には子どもに戻り、授業を受けたいなあと思いました。

暗い海の底を泳ぐスイミー。たった1匹で。

「この暗い色はスイミーの気持ちだ」とタンテイした子どもたち。

そこのかぶる文は、4つ。したこと(行動)と心の中。

「スイミーは およいだ、くらいうみのそこを。

こわかった。 さびしかった。 とても かなしかった。」

この画面を見るだけで、この4文はスイミーに同化して、すぐに暗唱できます。

絵本で学ぶからこその音読、暗唱はこういうことです。

 

この保護者の声は次の⑩にも続きます。