まど・みちおさんの「ゆかいなアイウエオ」。ここはまどさんはカタカナを使っていますが、ひらがなでもいいのです。

ここは日本語のことばにかくれている「母音」を意識させることばあそびです。

 

 ゆかいなアイウエオ

            まど・みちお

1)カキクケコに かくれているいる     

アイウエオ               

かまわず ひっぱりだせ         

アから じゅんじゅんに          

カア キイ クウ ケエ コオ       

でたでた アイウエオ           

                         
2)サシスセソを さがせばいるいる

アイウエオ               

さっさと ひっぱりだせ         

アから じゅんじゅんに         

サア シイ スウ セエ ソオ      

でたでた アイウエオ 

         

3)タチツテトに たしかにいるいる

アイウエオ               

たぐって ひっぱりだせ         

アから じゅんじゅんに         

タア チイ ツウ テエ トオ

でたでた アイウエオ 

      
4)ナニヌネノに なぜだかいるいる  

アイウエオ

なぜでも ひっぱりだせ     

アから じゅんじゅんに                     

ナア ニイ ヌウ ネエ ノウ     

でたでた アイウエオ

          
5)ハヒフヘホに はいっているいる  

アイウエオ                 

はっきり ひっぱりだせ          

アから じゅんじゅんに          

ハア ヒイ フウ ヘエ ホオ       

でたでた アイウエオ           

 

6)マミムメモに かくれているいる

アイウエオ

まっすぐ ひっぱりだせ

アから じゅんじゅんに

マア ミイ ムウ メエ モオ

でたでた アイウエオ

 

7)ヤイユエヨに やっぱりいるいる

アイウエオ

やすまず ひっぱりだせ

アから じゅんじゅんに

ヤア イイ ユウ エエ ヨオ

でたでた アイウエオ

 

8)ラリルレロで わらっているいる

アイウエオ

らくらく ひっぱりだせ

アから じゅんじゅんに

ラア リイ ルウ レエ ロオ

でたでた アイウエオ

 

9)ワイウエオで らくちんでいるいる

アイウエオ

わらって ひっぱりだせ

アだけ かくれてる

ワア イヒヒヒ ウフフフ エヘヘヘ オーッホホホ

ゆかいな ゆかいな

アイウエオ

 

メモまだカタカナ学習に入っていないなら、カタカナ部分はひらがなに変えて子どもたちに紹介してもいいでしょう。

 

まどさんは、かつて作った作品でも、何度も書き直したそうです。決定版だった『まど・みちお全詩集』は改訂版が出ています。ただ、編集者の伊藤英治さんが亡くなられてからは、これが困難になりました。返す返すも残念。

 

まどさんの“アイウエオ(あいうえお)”の詩です。

 

♡子どもたちとこれまでに「あいうえお」を使った詩をいくつも読んできたことが、ここでも生きます。

 

♥この詩では母音を見つけ出すということがモチーフになっています。新井竹子さんの『あいうえお』をよんだことや様々な“あいうえお語”で言葉を表すという学習ーあそびをやったので、ここはすっきりと読めます。

 

♥「か行」だから「くれている」、「まわず」と韻を踏みます。

さ行」は「がせば」、「っさと」です。「た行」は「しかに」、「ぐって」と。

 

♥カタカナをそのまま使ってもいいと思います。さりげなく紹介することもまた必要です。「カタカナ学習は二学期です」という人はどうぞ無理などしなくていいけれど、ぼくは融通無碍というものが好きですから、ここであそびます。教科書やその背後にある指導書に縛られてはいませんか。一つの参考にするだけのこと。

 

♥これまでに紹介してきた詩は、折にふれて(例えば授業の最初にさらっと読むなど)読みます。いつもいつもじっくりなんてできませんからね。