「そうだ村の村長さん」の音読に、子どもたちは大いにノリます。昨日のtomokoさんのクラスの子どもたちの様に。

 

ここでのあそびうたは、阪田寛夫さんのつくったものです。もともと、このことばあそびは、全国各地に伝わって歌われていたようですが、いまはこうしたわらべうたは、消えつつあります。

だからこそ、教室などであそぶ意味があるということでしょう。

 

 全国各地に「そうだ村」のわらべうた

 

鳥取県立博物館のホームページに、わらべうた「そうだ村」についてのことが紹介されています。たまたま調べていたら、発見しました。

 

そうだ村の村長さん(地口歌)米子市熊党

昭和56年(1981)10月25日、米子市熊党で採集

<歌詞>

そうだ そうだ
そうだ村の村長さんが
ソーダ飲んで 死んだそうだ

葬式まんじゅに あんがなかったそうだ(伝承者:昭和22年生)
音声再生
 

<解説>

 ことば遊び歌に属するこの歌で遊んだ方も多いことだろう。各地に類歌は存在している。米子市淀江町九区のもの。

そうだ、そうだ、ソーダ屋の宗助さんが、
ソーダ飲んで、死んだそうだ
葬式まんじゅうは、うまかったそうだ

〈倉吉市湊町〉
ソーダ屋の宗さんが、ソーダ飲んで、死んだそうだ
葬式まんじゅう うまいそうだ


〈島根県浜田市金城町今福の歌〉
そうだ そうだ
そうだ村の村長さんが
ソーダ飲んで 死んだそうだ
葬式まんじゅう うまいそうだ


キラキラキラキラキラキラキラキラキラキラ


かつて、筑摩書房から出ていた雑誌『言語生活』に、全国の「ソーダ村」についてのアンケート調査結果が紹介されていたそうです。それによると、以下の様に、わらべうたとして遊ばれていたそうです。

 

【北海道】
「ソーダ村の村長さんが ソーダ飲んで死んだそーだ 葬式饅頭くれないそーだ そんな葬式ないそーだ」
「(~)葬式みんなデッカいそうだ そうだそうだそうだった」(道北)
「(~)葬式饅頭なかったそうだ そうだそうだと言ったそうだ」(函館市)
「(~)葬式饅頭くれないそーだ ソーダばっかり飲んでたそーだ」(札幌市)
「早田村の村長さんが ソーダ飲んで死んだそうだ 葬式饅頭デッカイそうだ」(札幌市) 

【青森県】
「ソーダ屋のソーダさんが ソーダ飲んで死んだそうだ(~)」(青森市)
「(~)そーだから、そんなもの飲むんじゃねえぞ そーだ、そーだ」(南部)

【岩手県】
「ソーダ村のソーダさんが(~)葬式饅頭でっかいそうだ 中にはあんが詰まったそうだ」
「(~)葬式饅頭でっけぇそーだ なかにアンコへぇってねぇそーだ だれも食うやついねぇそーだ」(南部) 

【宮城県】
「(~)ソーダー村の葬式饅頭 ソーダ入ってうんめぇそーだ」
「(~)ソーダジュース飲んで死んだそうだ 葬式饅頭デッカイそうだ」

【秋田県】【山形県】【福島県】
「ソーダ村の村長さんが(~)中のあんこがないソーダ」

【茨城県】
「ソーダ村の 村長さんは ソーダ飲んで 死んだそうだ」(南部 1990年代末)

【栃木県】
「(~)葬式饅頭まずいそーだ 中にあんこが入らんそーだ」(南部)
「(~)ソーダーソーダー死んだそーだ 葬式饅頭死んだそーだ」
「ソーダ村のソーダーじいさん(~)」(北部) 

【群馬県】
「(~)葬式饅頭でっかいそうだ 中にはあんこがないそうだ」
「(~)葬式饅頭食ったそうだ 中にはあんこがないそうだ」(西南部)

【埼玉県】
「ソーダ村の村長さんが ソーダ飲んで死んだそーだ 葬式饅頭でっかいそうだ 中にあんこははいってないそーだ しょっぱいそーだ にがいそーだ くさってるそーだ その葬式饅頭オラにはくれないそーだ」
「(~)葬式饅頭でっかいそうだ 誰にも負けないそうだ」(北部)
「(~)葬式饅頭でっかいそうだ  中身のあんこは小さいそうだ」(東部)
「(~)葬式饅頭でっかいそうだ オイラが行ってもくれないそうだ 中にはあんこがないそうだ」(南部)
「(~)葬式饅頭ないそーだ」
「(~)葬式饅頭でっけぇそうだ ソーダは入ってねぇそうだ」(北部)

(~)葬式饅頭開けたソーダ 中身はないソーダー」(東部)

【千葉県】
「(~)葬式饅頭食ったそうだ」

(~)葬式饅頭でっかいそーだ そういう話もあったそーだソーダ」
「ソーダ村の村長さんが ソーダ飲んで死んだソーダ」

【東京都】
「(~)葬式饅頭だしたそーだ」
「(~)ソーダ飲んで死んだそーだ そんな話もあったそーだ」(町田市)
「(~)葬式饅頭も喰ったそうだ」
「(~)そんな話はないそうだ」(多摩区)
「そうだそうだ 惣田村の村長さんが(~)それはまったくかわいそうだ 葬式饅頭でっかいそうだ 中にあんこはないそうだ」
「ソーダ村の村長さんの 総領息子が死んだソーダ 葬式饅頭でっかいソーダ 中のあんこは少ないソーダ ソーダソーダと大騒ぎ」(品川区)
「ソーダ村の村長さんが ソーダ水を飲んで死んだそうだ 葬式饅頭も食べたそうだ」
「(~)葬式饅頭でっかいそーだ 中にはソーダが入ってるソーダ」 

【神奈川県】
「ソーダ村のソーダさんが死んだソーダ 葬式饅頭うまかったソーダ」(西部)
「ソーダ、ソーダ、ソーダ村の村長さんの 孝行息子が死んだそうだ 葬式饅頭うまそうだ」
「(~)僕らにはくれないソーダ」(横浜)
「(~)葬式派手にやったそーだ」(茅ヶ崎市)
「(~)中のあんこはちっさいソーダ そーだそーだまったくだ」(川崎市)
「(~)葬式饅頭中身がないそーだ そんなことはないそーだ」
「(~)葬式饅頭食ったそうだ そうだそうだそうだった」(西部)

【新潟県】
「(~)ソーダ飲んで死んだソーダ でもそれは嘘だったソーダ」
「ソーダソーダクリームソーダ ソーダ村の村長さんが ソーダ飲んで死んだソーダ 葬式饅頭でっかい饅頭 中にはあんこがないソーダ」(北部)

【富山県】
「(~)葬式饅頭あたらんだ そーだ そーゆー話もありそーだ」(魚津市。「あたらんだ」は富山弁で「もらえなかった」という意味になるそうです)

【福井県】
「(~)中にはあんこがないそうだ。村の人が困ったそうだ」(大野市)
「(~)中のあんは白いそうだ 白いあん食べたら死んだそうだ 葬式饅頭うまそうだ 中のあんは黒いそうだ 黒いあん食べたら死んだそうだ」(大野市)

【山梨県】
「(~)夜中にオバケが出たそうだ」
「(~)くいしんぼうは食いたいそうだ みんなが行ってもくれないそうだ」(中部)

【長野県】
「(~)葬式饅頭大きかったそうだ 小さかったそうだ それを喉に詰めて死んだ人が出たソーダ」(松本市)
「(~)中にはアンコがないそうだ 坊主のお経は長そうだ」(長野市)
「ソーダ村の村長さんが ソーダ飲んで死んだそうだ おかわり10杯したそうだ」(南部。やや原詩に近いです)
「ソーダ村の村長さんの惣領息子が(~)」(中南信)
「ソーダ村のソーダさんが ソーダ飲んで死んだそうだ ソーダさんの葬式には ソーダ饅頭なかったそうだ」(南部)

【岐阜県】
「(~)ソーダ、ソーダ、もっともそうだ」(土岐市)
「(~)ソーダ飲んで死んだそーだ そーだーそーだ死んだソーダ」(岐阜市)
「(~)まんだ葬式でんそうだ」(本巣郡)

【静岡県】
「(~)かわいそうだー」(浜松市)
「(~)葬式饅頭でっかいそーだ それでもまだまだ足りないそーだ」(中部)
「(~)葬式饅頭飾ったそうだ」

【愛知県】
「葬式まんじゅう美味かったそうだ」(豊田市)

【三重県】
「(~)葬式饅頭まずかったそーだー」(北勢地区)

【滋賀県】
「(~)物騒だ」
「(~)葬式まんじゅううまかった」
「(~)明日の葬式 ソーダさんが出るそうだ」(南部)

【京都府】
「(~)葬式相当立派なそーだ 葬式饅頭はくれないそーだ」

【大阪府】
「(~)あすの葬式うるさいそうだ」(北区)
「(~)そしてみんなで泣いたそーだ」
「ソーダ屋のソーダくんが(~)葬式饅頭うまそうだ」
「(~)かわいそーだ」
「(~)葬式饅頭大きいそうだ あんこがギッシリ詰まってそうだ 棺桶小さく入らなかったそうだ 葬式来た人わけたそうだ」
「(~)立派な葬式あげたそーだ」(北部)

【兵庫県】
「(~)かわいソーダ ソーダ左右田に出たソーダ」(神戸市)
「(~)立派な葬式だったソーダ 葬式饅頭美味かったソーダ」
「(~)葬式しょぼくてかわいソーダ」
「(~)それでも葬式無いソーダー」(東部)
「ソーダー村の総代さんが(~)」

【奈良県】
「(~)ソーダ明日の葬式 ソーダ出るソーダ」(奈良市)
「(~)明日葬式するソーダソーダ」

【和歌山県】
「ソーダ村のソウダさんが ソーダ飲んで死んだそうだ 葬式饅頭くれないそうだ」

【岡山県】
「(~)そうだ葬式だ」

【山口県】
「(~)葬式行ったらソーダー饅頭出たそうだ うまかったそーだ」(岩国市)
「ソーダ会社の総領息子が(~)そーりゃーまーた かーわいそーだ(~)」(山口市)

【徳島県】
「(~)かわいそうだ 家族はみんな泣いたそうだ そりゃそうだ」

【香川県】
「(~)ソーダとみんなが言うのは物騒だ」
(~)明日葬式するそーだ」

【愛媛県】
「ソーダ、ソーダ、ソーダさんが葬式饅頭食うて死んだそうだ」(越智郡)
「(~)葬式まだ済まないそうだ」(越智郡)

【福岡県】
「ソーダ会社のソーダさんが(~)ソーダ、ソーダ、そういう話もあるそうだ」(北九州市)
「ソーダ会社の総長さんが(~)」(北九州市)

【佐賀県】
「(~)ソーダさんの葬式にはソーダが出たソーダ」(北部)

【長崎県】
「(~)葬式なんてないソーダ」
「(~)まだ葬式ないそうだ そうだそうだ」(佐世保市)

【熊本県】
「(~)葬式そうだ なかったそうだ」(天草地方)

【大分県】
「(~)そうだからソーダ飲んじゃいけないそうだ」(大分市)

【地域不明】
「ソーダ屋さんのソーダさんが ソーダ飲んで死んだそうだ そーだそーだ」
「ソーダー村のソーダーじーさん(~)」
「(~)葬式饅頭のこったそうだ」
「(~)葬式になっても一本もソーダ置いてくれなかったソーダ」
「(~)明日の葬式ソーダ出るそうだソーダ」
「ソーダ村のソーダさんがソーダ買って死んだそーだ」 

 

 

 なぜに「そうだ村」が各地に?

 

こんなにも各地でわらび遊び歌ふうにうたわれていた事、何故でしょうか。

「葬式」「葬式まんじゅう」「そうだ饅頭」あたりが、何やらヒントかな。

葬式というもの、子どもにとって、あまりいみのわからぬことです。

むかしは、葬式というものは、地域や自分の家などで行われていました。それらをじっと我慢して過ごすどもたち。

ヘンな話ですが、そこで出される葬式まんじゅうは「そうだ饅頭」でしたから、それを”たのしみ”にしていたのが、多くの子どもだったのでしょう。

 

もう少し、この「そうだ村」の不思議を調べる必要がありそうですね。

子どもたちのノリ、ノリのわけも。(ここは、リズム、テンポに結びつく打楽器などの意味もありますね。)