昨日の記事は、光村「国語」教科書4年生の新学期教材の『春のうた』について書きました。(データ希望の方は、どうぞ)

 

2年生の新学期の教材は、『ふきのとう』(工藤直子)です。

その学びのためのデータも綴っています。その具体的な資料の前に、『ふきのとう』をどのように読むのか、そのことを先ず書きます。

 

     むらさき音符音符ピンク音符音符ブルー音符

    

「ふきのとう」のタンテイする読みのために

 

「ふきのとう」(くどうなおこ)は 、光村「国語」2年生の最初のよみもの教材です。

今回は「タンテイする読み」を紹介してみます。

 

国語とする意味

                                                               とまず普通に使っている教科名、学校で使われている国語という語をそのまま表記せず、「 」をつけて国語と書いて使います。

ここには、自分なりのことばへのこだわりがあります。(このこだわりで言えば、「言葉」と書かず「ことば」と表記するのもそうです。これは「ことばを文字にとじこめない」という主張、そしてその実践をしています。その実践データも紹介しています。)

 

日本という国家での共通する言語(ナショナル・ランゲージ)を「国語」と呼び、学校などで使うことについては強い違和感を持ちます。ここで学ぶのは、日本語(そのことば)です。

戦前から、日本の学校は「国語」ということばを使っていましたが、そこには、日本の国家主義というものが投影しています。

 

井上ひさしの作品『國語元年』はその問題意識に迫ることばをテーマにしたコメディでした。

明治初期、全国のお国ことばを統一するという使命をおびた役人とその一家の奮戦記。

 

中公文庫からの新潮文庫。ぼくが読んだのは中公文庫版。

(懐かしの井上ひさしさんの手書き文字)

 

江戸時代までは統一された話しことばは無く、全国六十余州<66の国と壱岐、対馬を入れると68州>にお国ことばがありました。日本の近代的な国家体制を整えるためには、どうしても日本全体に共通する話しことばの確立が急務でした。

その共通のことばの徹底を図る目的で、学校教育で「国語科」が設定されました。

 

日本帝国主義植民地下の朝鮮や台湾、更に南太平洋の島々では、「皇民化政策」が取られ、日本語をそれらの国の人々のことばを奪い、日本語を「国語」として押し付けました。これらの国の人々にはことばだけでなく、生活習慣まで日本化を強いました。

日本の歴史をかつては「国史」と呼んでいました。ここには、神話も入り込んだ史実とは異なる天皇制国家・日本礼賛の内容でした。

戦後、「国史」ではなく、日本の歴史、日本史ということばになったのは当然です。

そうした意味で、国語にはぼくは違和感があり、敢えて使うなら、せめて「国語」とします。無頓着に国語とは使いたくないのです。

 

タンテイする読み

「国語」の授業と言えば、何度も音読して、読解するというイメージが強いものです。

しばしば使われてきた読解、それは硬苦しい、窮屈なことばです。物語や詩、説明文をタンテイするように読んだらどうか、こう考えて始めたのが「○○をタンテイする」という学びです。

 

その実際は、例えば「ふきのとう」であれば以下のようにシリーズ化しています。

『ふきのとう』をよむ ( 5 )

https://ameblo.jp/sanni1132/theme-10080767859.html

 

<その概要は以下です>

①読むとはタンテイすること

 ・ことばを手がかりに名探偵コナンのようにタンテイしよう。

②「ハイ、ハイ」はいらないよ

 ・聴き会う教室をつくりたい。「ハイ」「ハイ」の飛び交う教室より、しっとり聴き会う教室をめざす。深く思考すること。

③<じんぶつ>をはっきりさせる

 ・人物のイメージをことばを手がかりにつくる。音読はそれと一体に。

④タンテイのヒントになることばは?

 ・「ささやく」とは?身近な例で楽しむ。

⑤身体をくぐった音読に

 ・身体化、動作化も使いながら、音読、イメージを豊かに。

⑥ふきのとうになって、雪におおいかぶさってもらう

 ・動作あそび…音読が一変した。

⑦「ふきのとう」と「春」

 ・「春」という漢字の成り立ちにもふれて。

⑧オモシロさを感じ、意味がわかる

 ・苦役の漢字学習よ、さよなら~、「春」…“ちゃんはですよ、おさまにちかって”。

⑨音声表現の大事なこと

 ・ことばは音だ、文字にとじこめない。

⑩参考にしたい井上ひさしさんのことば

 ・「にほん語観察ノート」(中央公論社)より

 「…たいていのことばは音声と文字の二本柱からできている。文字については、書き取り、筆順、送り仮名と、ずいぶんきびしく訓練されているが、音声の訓練はほとんどなおざりにされている。それが近ごろあの浅く平べったい発声となって表れているのではないでしょうか。」

 ぼくにとっての、ことばの学びを考えるときの師生だった人。

 

キラキラ具体的な「ふきのとう」の授業展開のデータはリクエストしてください。

 

なお、1年生・2年生の物語文のタンテイシリーズも、このブログに綴っています。

・「おむすびころりん」  ・「おおきなかぶ」

・「くじらぐも」  ・「ずっとずっとだいすきだよ」

・「たぬきの糸車」

 

・「ふきのとう」  ・「スイミー」

・「お手紙」  ・「スーホの白い馬」

これらは、それぞれのシリーズごとにまとめ、データ化していますから、希望の方は連絡をしてください。自分のパソコンのアドレスをどうぞ。他にも様々なデータを提供しています。

 

霜村 三二   shimomura-sanni@jcom.home.ne.jp