タンテイする読みを求めて

  
「たぬきの糸車」の文中には、これまで「きこりのふうふ」の住むところとして、「山おくの一けんや」と表現されていました。さらに、ここを「こや」ということばでも二回使われています。
子どもたちのなかにはは、「一けんや」というものを、今の自分たちの生活感覚で、マンションのような集合住宅ではない一戸建て住宅とイメージする子もいます。

 

「山おくの一けんや」とはそういうものではないのだから、ここでは「こや(小屋)」として押さえましょう。「やぶれしょうじ」の貧しい、粗末な生活と合わせ、小屋のイメージをタンテイしておきましょう。
子どもたちの知るこや(小屋)とは、飼育小屋、犬小屋など、動物を飼う小さな風や雨露をしのぐ所です。体育小屋(倉庫)などを上げる子もいます。
雪が降り始めると、きこりのふうふは冬の間、小屋を離れ、ふもとの家で過ごします。雪の山では、きこりの仕事は出来ないからです。そんなことも確かめておきます。

 

そして、春になって、温かくなり(雪も消えてかな)きこりのふうふは小屋にもどって来ました。

≪本文より≫
 とをあけたとき、おかみさんはあっとおどろきました。
 いたの間に、白い糸のたばが、山のようにつんであったのです。そのうえ、ほこりだらけのはずの糸車には、まきかけた糸までかかっています。
「はあて、ふしぎな。どうしたこっちゃ。」
 おかみさんは、そうおもいながら、土間でごはんをたきはじめました。


「こや」もそうでしょうが、「いたの間」「土間」も子どもたちには未知のことばでしょう。子どもたちが知らないことは、説明し、教えればいいでしょう。

 

「糸のたば(束)」も黒板に絵を描いてみます。漢字の成り立ちにも触れてもいいかもしれません。さりげなく、漢字に触れることは大事です。興味や関心を広げるからです。

 


 

小屋の中はどうなっているの

 

タンテイしてみます

絵を描きながら、タンテイしたことを明らかにしていきます。



小屋ですから、部屋数がいくつもあるはずがありません

(ドアではありませんね)を開けたら、そこに土間(どま)があるでしょう。

その土間の奥に炊事場(すいじば)があるはずです。

おかみさんが戸をあけたときに板の間に、白い糸のたばが山のように積んであるものが目に入ったというのだから、戸の近くにあったことがわかります。

前の場面でやぶれしょうじがあるのだから、これも小屋に描いてみました。

その後炊事場でたぬきに気づくのだから、おかみさんが入った時にはたぬきはいなかったということになります。

内言と外言
教室の中では、「内言(ないげん)」と「外言(がいげん)」ということばを使います。

難しくはありません。絵を描いて説明します。マンガで使う二種の吹き出しです。思ったことは、「内言」、言ったことは「外言」です。

「「はあて、ふしぎな。どうしたこっちゃ。」これはどっちになるの?」(3・2)

子どもたちは「口に出してしゃべっていたら、たぬきが逃げていた」「だから、内言だ」と言います。
「おもいながらと書いてあるから、内言だ」と、文にショウコを見つけてタンテイもします。
「あっとおどろきました」の「あっ」も実際に声をあげたのではない、とタンテイしました。

タンテイする読みは楽しい。共同の活動です。知的で、かつステキです。

(続きます。)

 

    スター スター スター

 

昨夜遅く、「ハンセン病問題」の「黒髪校(小学校)」事件についてブログ記事をアップしました。この事件の意味をぜひ読んで考えていただきたいと思ったからです。(データのリクエスト、どうぞ。)ハンセン病資料館にガイドした人には、こちらで送るかもしれません。よろしくお願いします。

 

と、朝ドラを観ながら書いていたら、本日の「ブギウギ」は、愛助さんの危篤とスズ子さんの出産場面が重なっていました。今はうるうるになってしまって……。明日、一層つらい場面になるなあ。(実話だしなあ。)